作成日
:2019.05.24
2021.08.31 15:26
日本の金融庁(Japan Financial Services Association, JFSA)は、仮想通貨取引所に対する規制を厳格化することでマネーロンダリング対策(AML)の強化に動いていることが、報道により明らかになった。
今回のマネーロンダリング対策の厳格化は、金融庁およびその他の政府機関が、取引所への現地監査を実施した2018年に着想されたとのことだ。金融庁は仮想通貨も含む資金決済法の改定案も発行しているが、当時の金融庁は、みなし業者となっていたFSHO株式会社などで、疑わしい取引が行われていることを確認しており、この取引がマネーロンダリングに該当する可能性があると示唆していた。結果的にFSHO株式会社が正式な事業者として認可されることはなかったが、それ以来、金融庁は適切なマネーロンダリング対策およびKYC(顧客確認)を実施していない取引所を問題視するようになった。
今秋までにも、新しい規制の精査が実施される予定だが、それに先駆けて日本政府は、今年の夏に開催されるG20でマネーロンダリングに関して各国首脳と議論を交わす模様だ。仮想通貨を利用したマネーロンダリングは、テロリストや北朝鮮などの経済制裁を受ける国家の活動を促進することにも繋がるため、マネーロンダリング対策は国際社会での重要性を増しており、日本政府は対策面で他国に遅れを取ることを嫌っているようだ。
今年3月、国際連合安全保障理事会(United Nations Security Council)は専門家より、北朝鮮からのサイバー攻撃は少なくとも5回成功し、5億7,100万ドル相当の仮想通貨が盗み出されたとの報告を受けているという。仮想通貨を狙った北朝鮮からのサイバー攻撃は、追跡することが困難なことから、経済制裁を回避するひとつの手法とされているため、国際社会での懸念が高まっている。また、ロシアやイラン、ベネズエラなども、仮想通貨を経済制裁を回避する方法として利用しようとしたことに対し、非難の声が上がっているようだ。これらの仮想通貨の不正利用を防ぐ為には、国際的な包囲網を構築することが必要となるが、今後、日本がその流れをリードする存在に成れるか、期待を込めて見守っていきたい。
release date 2019.05.24
仮想通貨を利用したマネーロンダリングは、国際的にも早急な対策が求められる課題となっており、それを監視する役目にある金融活動作業部会(Financial Action Task Force)も規制に動き出している様子だ。今年2月、同機関は、仮想通貨関連サービスを提供する事業者に取引記録や利益など、個人情報の受け渡しを義務化することを提案し、各国政府や仮想通貨業界に協力を求めている。しかしながら、仮想通貨業界は、このような締め付けが分散型取引所(Decentralized Exchange)を代表とする非中央集権型サービスを拡大し、世界の金融システムに更なる危機を招くだけだと猛反発している。仮想通貨市場では、アプリケーションなどによる簡易的な個人取引が加速しているだけに、政府機関が全てを管理することは難しくなっていると考えられるが、日本をはじめとする主要国はどのような対策を取るのか、今後の動きに注目していきたい。
作成日
:2019.05.24
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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