作成日
:2019.03.13
2021.08.31 15:27
国際連合安全保障理事会(United Nations Security Council)の北朝鮮制裁委員会によると、2015年から2018年の期間、北朝鮮のサイバー攻撃により、6億7,000万ドル相当の外貨や仮想通貨が盗難の被害にあっていることが明らかになった。
2015年以来、北朝鮮は、海外の金融機関などを対象にサイバー攻撃を仕掛けており、アジアの仮想通貨取引所を中心に少なくとも5回のハッキングに成功したことがわかっている。国際連合安全保障理事会の専門家は、被害にあった取引所名の明言は避けたものの、その中には、2018年1月にコインチェックのハッキングで発生した被害総額5億3,000万ドルのネム(NEM)流出事件も含まれているようだ。このような北朝鮮による攻撃は、韓国でも同様に確認されており、大手イーコマースプラットフォームであるInterparkは1,000万人以上のユーザー情報が盗まれ、データの返還と引き換えに270万ドルの支払いを求められているという。
国際連合安全保障理事会の専門家によると、北朝鮮は、ブロックチェーン技術を経済制裁の回避手段として利用しているとのことだ。例えば、香港を拠点とするMarine Chainは、2018年9月の倒産を迎えるまで、ブロックチェーンを介して北朝鮮と船舶の売買を行なったとされている。さらに北朝鮮は、各国政府の規制が及んでいない仮想通貨を資金洗浄に利用したことから、批判の対象となっているようだ。
今回の報告から、北朝鮮は、新しいテクノロジーを駆使して巨額の仮想通貨資産を得ていることが明らかになったが、各国はこの動きに未だ対応できずにいる。米国や欧州市場では、ブロックチェーン分析の分野でテクノロジー開発が進み、有効なソリューションとなることが期待されているが、日本や韓国などのアジア諸国は、北朝鮮によるサイバー攻撃の脅威にどのように備えていくのだろうか。
release date 2019.03.13
以前から、北朝鮮は、世界各国へのサイバー犯罪に関与していることが報道されてきたが、近年では、金融機関のデジタル化や仮想通貨の台頭で、その被害は拡大傾向にあるようだ。ある企業の調査によると、昨年発生した仮想通貨取引所のハッキング事件は、65%が北朝鮮によるものだとの推測もあり、その影響力の強さが伺える。厳しい経済制裁を受ける北朝鮮では、ハッキングによる攻撃が重要な外貨獲得手段となっており、軍部の特殊部隊として高いスキルを持ったハッカー集団が存在すると噂されている。その経緯を見ると北朝鮮のハッカーは非常に優秀で、現在判明しているだけでも、中央銀行となるバングラディシュ銀行から8,100万ドル、インドの銀行から1,350万ドル、チリの銀行から1,000万ドルを直近の3年間で盗みだすことに成功したという。これまでは、地理的や政治的にも重要度が高い日本や韓国が標的にされていたが、北朝鮮によるサイバー攻撃の脅威は世界に波及しており、各国政府も無関係ではいられない状況となっているようだ。
作成日
:2019.03.13
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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