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フランス金融市場庁、2018年度年次報告書を公表

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update 2022.01.27 13:43
フランス金融市場庁、2018年度年次報告書を公表

update 2022.01.27 13:43

2019年夏にESMAの新規制策を恒久化させる意向

フランスの金融監督当局であるフランス金融市場庁(Autorité des marches financiers)【以下、AMFと称す】は5月7日、2018年度の年次報告書を公表した。[1]

2018年度の年次報告書によると、AMFは2018年8月に欧州証券市場監督局(European Securities and Markets Authorities)【以下、ESMAと称す】が導入した一時的な新規制策を恒久化させる意向であることが判明した。AMFは2019年3月に、3か月ごとに更新手続きが必要となっているESMAの新規制策に依存しない旨の声明文を発表していることに加え、2018年度年次報告書において国策として2019年夏に同規制策の恒久化を図る見通しであると言う。なお2019年5月1日、欧州各国当局に対しESMAは永続的なCFD規制の導入を要請しており、少なくとも欧州域内ではリテールブローカーに対し厳格な規制を継続的に講じていくことが予想される。加えて、AMFは欧州域内の6つの企業がESMAの新規制策を遵守しておらず、該当国の規制当局に警告を行ったことを発表しているが、企業名と該当国は明らかとされていない。

またトレーディング業界において最も関心の高い分野となっているサイバーセキュリティに関して、AMFはサイバー犯罪者の狙いがバイナリーオプションやFXから仮想通貨市場にシフトしていると指摘している。AMFが2016年に公表した報告書によると、個人投資家のFX及びバイナリーオプション取引詐欺に関する申し立ては3,768件に達していた一方、仮想通貨に関してはたった18件であったとのことである。それが2018年には、FXとバイナリーオプション取引に関連した申し立てが968件のみに留まったのに対し、仮想通貨取引詐欺に関しては2,600件に拡大している状況だ。またAMFは仮想通貨市場が急速に発展し市場に与える影響度が増すに連れて、シンプルなネットワークを構築すると共に謀略をめぐらす個々の犯罪者が組織化するなど詐欺行為がより巧妙化しているとの見解を示している。加えて投資分野における最新の詐欺の傾向として、個人情報を盗み取ることを目的にインターネット上にて投資を勧誘するバナー広告が利用されていることを踏まえ、個人投資家に注意を促している。

なおAMFが公表した2018年度年次報告書においては、これまでと同様にトレーディング業界に対する厳しい姿勢を見て取ることができ、例えば報告書内では「投資被害に繋がる不適切商品から投資家を保護」や「フランスの投資家はサイバー犯罪者の標的」といった具合に中身のほとんどがトレーディング業界に関連した内容となっている。また、AMFがリテールブローカーに対しこのような厳しい表現を用いるのは初めてのことではなく、2018年には同庁のRobert Ophèle長官もFXや仮想通貨ブローカーを激しく非難しており、今回2018年度の年次報告書の中身を勘案するに、AMFが今後もリテールブローカレッジ業界に対し厳格な規制を敷くことが予想される。

release date 2019.05.08

出典元:

ニュースコメント

EU圏内でのさらなる規制強化の流れが予想

ESMAによる欧州各国の監督当局(National Competent Authority)への永続的なCFD取引規制策の導入要請の後、オランダ金融市場庁(Authority for the Financial Markets)が規制策を導入しているが、今回、EUの経済大国であるフランスの監督当局AMFが新たに発表を行ったことは、今後のEU各国におけるさらなる規制強化の流れを決定づける出来事として注目されている。各国の規制当局は規制内容を追従しあう傾向があり、これまでにも自由な取引環境をもとめて、同じ欧州にあって、ESMAによる規制の影響を受けないスイスにトレーダーが押し寄せ るなど、EU圏内に拠点を置くブローカーからの顧客の流出が止まらない状況となっており、決して好ましいとは言えない市場状況が続いている。暗い話題の続くEU市場ではあるが、eToroが株式とETF取引手数料無料サービスを開始するなど、新たな収入源を求めた生き残りをかけた変革もみられている。欧州の目まぐるしい状況に、ブローカーはどのように対処していくのか注視していきたい。


Date

作成日

2019.05.08

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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