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ベネズエラ、為替管理政策を緩和

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update 2021.08.31 15:26
ベネズエラ、為替管理政策を緩和

update 2021.08.31 15:26

国内銀行と個人及び企業間でFX取引が可能

ベネズエラ中央銀行が5月7日、混迷する同国経済を下支えすべく為替管理政策を緩和し、国内の銀行による外国為替の売買及びFX取引プラットフォームの導入を許可することが明らかとなった。[1]

ブルームバーグによると、5月7日から民間もしくは国営銀行と個人及び企業の間で外国為替の売買が可能になり、ベネズエラ中央銀行が為替レートを公表するとのことだ。また、同国中央銀行はFX取引プラットフォームの導入時期に関してはまだ明確にしていないと、ロイター通信が伝えている。加えて、関係者の話では、ベネズエラ中央銀行総裁のCalixto Ortega氏と経済担当副大臣のTareck El Aissami氏、銀行監督当局トップのAntonio Morales氏が三者会合を行った後、今回の同国中央銀行による為替管理政策の転換に至る流れとなった模様である。

今回ベネズエラ中央銀行が講じた政策措置は、ハイパーインフレーション(3年間で累積100%以上の物価上昇)と景気低迷に苦しむ国内経済の下支えを目的とする最新の金融政策だ。エコノミストの中には同国の為替管理政策こそが経済の回復を阻害する元凶と見ている者がいる一方で、為替管理政策を転換したとしても経済の立て直しは既に手遅れであるとの見解を示す者もいる。なお、ベネズエラが複雑な金融システムの大幅な見直しを試みるのは今回が初めてではない。ニコラス・マドゥロ大統領が様々な経済情勢に対応すべく金融システムの徹底的な見直しを公言していたものの、同行中央銀行が需要を満たす十分な資金を供給していなかったことから抜本的な金融システム改革を実現できていない状況のようだ。

ベネズエラの経済が危機に瀕する中、同国のFX取引は低水準に留まっている。ベネズエラ中央銀行が公表したデータによると、原油価格の大幅下落が世界最大級の原油埋蔵量を誇る同国経済に大打撃を与えていることと、マドゥロ政権が外貨発給の実施頻度を減らしたことを背景に、国営の外貨発給システムであるDICOMは3,200万ドルしか市場に外貨を流通させていない状況とのことである。また米国がマドゥロ大統領の退陣を求める圧力を強めるべく経済制裁を科したことを受け、ベネズエラ中央銀行がDICOMを通じた外国為替の発給を停止するなど、経済面そして外交面においても苦しい状況に追い込まれている。厳しい市場環境と対峙する中、今回ベネズエラ中央銀行が経済を下支えするべく為替管理政策を転換することになるが、FX取引を解禁することで同国の経済立て直しにどの程度寄与するか市場の注目が集まっていると言えよう。

release date 2019.05.08

出典元:

ニュースコメント

経済回復を目指すベネズエラ政府

ベネズエラにおいては、ニコラス・マドゥロ大統領の半ば強引な指揮のもと、仮想通貨のペトロで給与支払いを行う等、仮想通貨の普及が進められてきた。昨年12月に受給者の合意なくベネズエラ政府が年金をペトロで支給したことが発覚した際には、世界中から非難を浴びることとなった。しかし、ベネズエラ政府は依然としてウォレットサービスやペトロの利用促進が、経済を回復させるための最善のソリューションだと考えているようだ。今回、ハイパーインフレーションによる負の連鎖からの脱却を目指した為替管理政策の転換等、新たな施策が発表されたが、中には逆に経済回復を阻害する要因になるのではないかと反対する者もいる。昨年、ペトロ取引に対応する16の取引所のうち、7か所の所在がインターネット上で確認できなかったという報道もされており、エコノミストの見解に少なからずは影響しているといえよう。今回の施策が今後、経済立て直しに如何に影響するかを含め、ベネズエラ政府の動向には十分に注視していきたい。


Date

作成日

2019.05.08

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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