作成日
:2019.03.29
2022.01.04 10:12
ロシアのソフトウェア会社MetaQuotes Software Corp.【以下、MetaQuotesと称す】が15年前にリリースした取引プラットフォームであるMetaTrader4【以下、MT4と称す】は、依然圧倒的な市場占有率を誇り、足元ではアルゴリズム取引を行うトレーダーの獲得を狙うブローカーによって導入が進むなど、リテールFX市場の業界標準プラットフォームとしての地位を確固たるものにしている状況だ。MetaQuotesは2010年にMT4の後継版となるMetaTrader5【以下、MT5と称す】もリリースしているが、8年ほど経った今でもMT4が市場を席巻している構図に変わりはない。
ある調査の2018年の日本を除くグローバルリテールFX業界におけるMT4上の取引高推移を見ると、2018年の第1四半期には取引高全体の半分ほどがMT4を利用した取引が行われており、第3四半期と続く第4四半期には55%にまでシェアが高まっている。MT4は2018年を通じて安定的に高い市場占有率を誇っている一方で、MT5へのシフトは十分に進んでいないことが伺い知れよう。
また市場では、欧州証券市場監督局(European Securities and Markets Authority, ESMA)による規制強化を受け、トレーダーの高レバレッジのオフショアへのシフトが進んでいるが、顧客はMT4を導入するブローカーを選好し、独自の取引プラットフォームのみを提供する複数のブローカーが顧客を失う展開となっている。IC Marketsブランドを持つInternational Capital Markets Pty Ltd(本社:Level 6 309 Kent Street Sydney NSW 2000 AUSTRALIA )【以下、IC Marketsと称す】のMT4を利用した月次平均取引高の推移を見ると、2018年第1四半期末には月平均で3,080億ドルの取引高だったものが、第4四半期には実に61%増の5,000億ドルほどにまで増加しており、2018年を通して安定的に取引高が拡大していることを確認することができる。
MT4を利用し顧客取引高の順調な伸びを示すIC MarketsはCySECライセンスを取得したほか、同じくオーストラリア・シドニーを拠点とするFP MarketsもCySECライセンスを取得 するなど、オーストラリアを地盤とするブローカーが積極的に欧州市場の顧客開拓を推し進めている。依然世界的に利用拡大が進むMT4を含め、高機能を付帯するだけでなく使い勝手の良い取引システムを提供することが、ブローカーによる顧客獲得戦略において非常に重要なポイントの1つになっていると考えられよう。
release date 2019.03.29
MetaTrader4(MT4)は2005年にロシアのMetaQuotesが開発したFXのトレーディングプラットフォームで、世界中の投資家たちから熱い支持を得ている。2010年に最新版としてMetaTrader5(MT5)がリリースされたが、未だにMT4を愛用しているトレーダーのほうが多いのが現状だ。MT5が普及しない理由としては、MT4のカスタムインディケータやEAが使えないなど互換性に乏しく、MT5に対応しているFX業者もMT4に比べると少ないことが要因だと考えられる。また、MT4は軽快な動作で約定力も高く、多くの海外FX業者が取引ツールとして採用しているため、MT5へと乗り換えるトレーダーも少ないのだろう。ブローカーにとっても、独自に開発した取引ツールやチャートを提供するよりも、MT4を取引ツールに採用することで開発コストの削減と効率化を図れるのであろう。日本でも馴染みがあるMT4は、日本語環境も整備されており、様々なチャートツールや高機能なテクニカル分析ツールが充実している。今後もMT4は世界規模での展開が続くことが予想される。
作成日
:2019.03.29
最終更新
:2022.01.04
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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