作成日
:2019.03.12
2021.08.31 15:27
アナリストのRoss Sandler氏によると、大手ソーシャルネットワーキングサービスであるFacebook, Inc.(本社:1 Hacker Way, Menlo Park, California 94025
)【以下、Facebookと称す】の仮想通貨分野での売上が、2021年までに30億ドルから190億ドル規模に達する可能性があるという。2017年のFacebookの売り上げは、406億ドルを記録しており、そのうち399億ドルは広告収入によるものであったが、Sandler氏は、Facebookが開発する独自仮想通貨のFacebook Coinに搭載するマイクロペイメント機能が、今後既存事業の再活性化を誘導すると予想している。Sandler氏は、Facebookの仮想通貨事業に関して不明な点が多いと指摘しているものの、同社にはFacebook Creditsと呼ばれる仮想通貨の導入事例が存在するため、幾分楽観的な見方を示しているようだ。
Facebookの仮想通貨事業について、Sandler氏は以下のようにコメントしている。
Facebook Coinは、シンプルなマイクロペイメント手段として、2010年から2012年に展開されたFacebook Creditsのビジネスモデルを再興する存在となるかもしれません。しかしながら、このプロジェクトは、特にPayPalの元CEOであるDavid Marcus氏が加わった時点で、もっと大きい目的を持った可能性があります。
Ross Sandler, Analyst at Barclay - CoinDeskより引用
Sandler氏によると、Facebookが仮想通貨分野で成功するためには「ペイメント分野で価値を創造する」こと、「2018年の個人情報流出による信用問題を克服する」ことという2つの主要な課題を抱えており、どのようなアプローチを取っていくか考慮する必要があるという。これに対して、CEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は、先週Facebookにて、今後はプライバシー志向の運営を心がける旨の投稿を行なった。この投稿では仮想通貨に関しての言及はなかったが、決済や暗号化についての話題は頻繁に上がっており、注力分野として開発が進められていることが予想できる。
ここ数か月の間、Facebookは、仮想通貨分野で活発な採用を行っており、企業買収による人材採用(Acqui-Hiring)を少なくとも1回実施している。加えて、Facebookのキャリアウェブサイトでは、関連テクノロジー分野に精通した人材を20のポジションで募集するなど、同社の仮想通貨関連事業は加速するための準備段階に入っているようだ。
release date 2019.03.12
過去にFacebookが提供した独自仮想通貨のFacebook Creditsは、同社のプラットフォーム上で実行されるゲームやそれ以外のアプリケーションでアイテムを購入するために利用されていた。1ドルあたり15通貨を獲得することができたFacebook Creditsは、150ものデベロッパーが開発する650以上のアプリケーションで消費され、当時のFacebookデジタルコンテンツの売上で約70%程度を稼いでいたという。現在でもFacebook Creditsのウェブサイトは、有効になっているが、Facebookは近々、このシステムを廃止する予定であることを公表している。Facebook Creditsに代わる独自仮想通貨Facebook Coinの開発を進める中、先月末には、リスティングを見据えてFacebookが仮想通貨取引所と交渉段階に入ったことが報じられるなど、リリースが近づいていることが伺える。世界的なIT企業の仮想通貨市場への参入は、大きな影響を持つと考えられるが、Facebookの取り組みには今後も注目していきたい。
作成日
:2019.03.12
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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