作成日
:2019.03.11
2021.08.31 15:27
大手仮想通貨取引所のBinance【以下、バイナンスと称す】は、アルゼンチンの工業生産・労働省(Minestry of Production and Labour)との協業により、同国でのブロックチェーン関連プロジェクトへ継続的な出資を行う計画があることを明らかにした。
発表によると、アルゼンチン市場でのブロックチェーン関連プロジェクトへの出資は、同国政府のアクセラレーター企業であるFounders Labと、バイナンスのインキュベーター企業であるBinance Labを通して実施されるようだ。この試みは、今後4年間に渡り継続される予定であり、プロジェクトあたり最大5万ドルの資金提供を受けることが可能となっている。
Binance LabのCEO、Ella Zhang氏は、アルゼンチン市場について以下のようにコメントしている。
アルゼンチンは、積極的にブロックチェーン技術を取り込んでいる地域の中でも最前線にあり、我社は、同国の市場が勢いのあるブロックチェーンコミュニティに成長していることを目の当たりにしました。
Ella Zhang, CEO of Binance Lab - Binance Blogより引用
このニュースが発表された数日後、バイナンスのCEOであるChangpeng Zhao氏は、アルゼンチン国内で、法定通貨での入出金をサポートする仮想通貨取引所を新しく立ち上げる可能性があることをほのめかすツイートをしている。これまで、バイナンスは、シンガポールやリヒテンシュタイン、ジャージー代官管轄区、ウガンダなどで同様の取引所の立ち上げに成功しており、アルゼンチンでのサービス開始も十分に信憑性があると言えるだろう。
バイナンスによるアルゼンチン市場での動きは、同社の教育プラットフォームであるBinance Academyがインドネシアの公用語であるバハサへ対応したことを発表した後に報道された。Binance Academyのコンテンツは、英語を含む多数の言語に翻訳されており、これまでに投稿された全726の記事中、およそ10%に該当する80記事がバハサに対応している。バイナンスによると、インドネシアは、150万人のビットコイン投資家を抱えており、その数は株式投資家数の118万人を超え、無視できないほど巨大な市場へと成長しているという。バイナンスのBinance Academyのインドネシアへの展開は、仮想通貨市場が回復の兆しを見せる完璧なタイミングで実施され、同国でも注目を集めている。
このように新興市場での事業立ち上げを積極的に行うバイナンスの事業戦略から、米国やその他の西洋諸国の大国ではなく、新興市場に仮想通貨やブロックチェーン技術が根付く可能性があると確信していることが伺える。
release date 2019.03.11
これまでバイナンスは、ブロックチェーン技術への投資を積極的に進めており、世界中の仮想通貨市場に影響を与えて来た。今年に入ってバイナンスはBinance Jerseyという新サービスを英国および欧州市場向けに開始している他、先月末には、バイナンスの新しい分散型取引所(DEX)のライブテスト実施に際して、総額10万ドル相当の独自通貨、バイナンスコイン(Binance Coin)を寄与することを発表している。バイナンスが手掛ける分散型取引所は、バイナンスが開発したブロックチェーンであるバイナンスチェーン上に構築された仮想通貨の取引プラットフォームで、完成すればより安価で自由な仮想通貨取引が可能となることが予想される。すでに分散型取引所を運用している企業も存在するが、これほど多くのユーザーベースを抱える仮想通貨取引所による試みは前例がない。完成までには、さらなる開発やそれに伴うテストなどに投資する必要があるものの、この発表を受けて、バイナンスコインは、一時10%近く値を上げるなど、市場の期待が高まっていることが伺える。
作成日
:2019.03.11
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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