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バイナンス、英国や欧州向けに仮想通貨取引サービスを開始

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update 2021.08.31 15:27
バイナンス、英国や欧州向けに仮想通貨取引サービスを開始

update 2021.08.31 15:27

ブレグジットが懸念される市場の取り込みを狙う

世界的大手の仮想通貨取引所であるBinance【以下、バイナンスと称す】は、英国および欧州市場に向けて、ユーロやポンドといった法定通貨と仮想通貨の取引を実現する新サービスBinance Jersey(Binance.je)を正式に開始することを発表した。[1]仮想通貨と法定通貨の橋渡し的な役割としてだけではなく、対象地域での仮想通貨の普及に貢献することが期待される。

バイナンスのCFOであるWei Zhou氏によると、欧州地域へのサービス拡大は、新しいビジネスチャンスを創出するためのもので、ブレグジット(英国のEU離脱)によるポンドやユーロが抱える懸念を解消する狙いがあるという。なお、現時点でビットコイン(Bitcoin)とイーサリアム(Ethereum)と法定通貨の組み合わせが通貨ペアとして採用されているが、これら取引サービスを利用するためには、取引所が課すKYC(顧客確認)の条件を満たす必要がある。

英国王室属領のジャージーは、多くの仮想通貨企業が進出するマルタと同様に、規制で身動きが遅い欧州諸国に対して、オフショアサービスのハブとして仮想通貨関連ベンチャーやICOなどを支えてきた。このことから、バイナンスは、ジャージーを欧州市場へアクセスするための重要な拠点だと認識しており、進出を決めたようだ。2018年6月、バイナンスは、Digital Jerseyという現地企業とパートナーシップを締結してジャージー領内の経済発展に尽力することを約束しているが、Binance Jerseyの設立は、その取り組みの一環でもあり、現地銀行との協業発展や人材の発掘などの役割も兼ねているという。

Zhou氏は、このジャージーとの関係について以下のように語っている。

ジャージーにおける仮想通貨規制のフレームワークは、Binance Jerseyが容易に遵守できるものでした。ジャージーは、誰もが認めるブロックチェーン開発の先駆者であり、優れた環境が整っています。Binance Jerseyは、金融業界におけるジャージーの戦略的な優位性を高め、仮想通貨関連ビジネスの発展を促進させることを望んでいます。

Wei Zhou, CFO of Binance - Binance Blogより引用

規制が強まる中、欧州や英国の人々は、より自由な取引環境を求めているが、Binance Jerseyは、これら市場に波及するソリューションとなるのだろうか。今後の市場での動きにも注目していきたい。

release date 2019.01.17

出典元:

ニュースコメント

英国や欧州の仮想通貨普及に期待

英国のEU離脱による影響は、英国および欧州市場全体に及んでおり、先日もブレグジットによる急激なポンドの価格変動に備えて、レバレッジを制限するなど、各ブローカーがブレグジット対策を打っていることが報じられている。銀行や証券会社などの企業は、国外のEU諸国に支店開設を急ぐなどして、リスクヘッジを行なっているというが、もし英国の離脱が可決されるようであれば、英国の金融市場の孤立が進むことは免れない。特に英国内の投資家は、EU圏内での資金移動に少なからず制限がかかることが予測されるため、不安を感じている者も多く存在するだろう。この流れを受けて、近年では、オフショアの銀行やブローカーが注目を集めており、そう言った意味では、今回のBinance Jergeyのローンチは良い時期に重なったといえる。オフショア地域特有の規制の緩さに起因する安全性の問題など、懸念される点はいくつかあるが、欧州で仮想通貨の普及が進行することが期待される。


Date

作成日

2019.01.17

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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