作成日
:2019.01.17
2022.07.19 12:37
マルチアセットクラスの商品とプライムブローカレッジサービスを提供するInvast Global(本社:Level 27, Aurora Place, 88 Philip Street Sydney NSW 2000
)が、アジアパシフィック地域での市場拡大を図るべく、香港に新オフィスを開設したことが明らかとなった。こうした動きから、Invast Globalは、アジアパシフィック地域での更なる市場拡大に意欲的にコミットしている様子が伺える。世界各国で規制環境が目まぐるしく変化する中、Invast Globalでは既に上海にて確固たるプレゼンスを確立している。続く香港の地は、テクノロジーの活用に重きを置いたブローカレッジファームが参入するには最適な地であると踏み、新オフィスの開設を決断した模様だ。
その香港新オフィス【以下、Invast Global香港と称す】では、当地の金融業界・事情に精通した6人のコアメンバーを形成し、向こう1年以上に亘り、積極的な拡大戦略をとる意向である。当初はInvast Globalのオーストラリアと日本法人のサポートを受けつつ、いずれは香港の地でもマルチアセットクラスのプライムブローカレッジサービスを提供していくことを模索している。そしてInvast Global香港では、まずは事業認可を得るべく、既に香港の証券市場監督当局である証券先物事務監察委員会(Securities and Futures Commission, SFC)に、香港で証券・先物業務等に従事する際に必要な事業者免許の内、タイプ1免許(証券取引)とタイプ2免許(先物取引)の申請を行っており、更にタイプ11免許(店頭デリバティブ取引)とタイプ12免許(店頭デリバティブ取引の清算)の取得も目指しSFCの動向を注視しているとのことだ。
香港オフィスの開設に絡み、Invast Global香港のCEOであるMarcus Fung氏は、以下のようにコメントしている。
まず始めに、我々が顧客として抱えるヘッジファンドやアセットマネジメント会社、そしてブローカレッジ業務関連のクライアントとの強い関係性を構築すべく、香港で最高クラスの人材を引き抜く考えであります。また、アジアは安定的で信頼のおける規制策が整備されていることから、多くのヘッジファンドやアセットマネージャーが集結しており、我が社にとって数多くのビジネス機会を生み出すものと考えられます。
Marcus Fung, CEO of Invast Global(Hong Kong) - Finance Magnatesより引用
Fung氏には、香港の地でInvast Globalの強固なプレゼンスを構築するという大きな役割が課せられている。Fung氏はInvast Global香港のCEOに就任する以前は、Invast Globalのオーストラリア・シドニーオフィスにてプライムブローカレッジサービス・アジア部門の責任者を務めていた。Fung氏のキャリアを更に遡れば、Invast Globalの親会社に当たる日本のインヴァスト証券を含め、日本のブローカレッジファームにて5年超に亘り実績を積み重ねてきている。生まれは中国・広州市ではあるものの、香港と日本にて育ち、教育を受け、それぞれの国において市場関係者と強い人脈を構築しており、多言語を使いこなす技術専門家でもある。テクノロジーを重視するブローカレッジファームが新たに進出する先である香港のトップを任せるには、まさに最適な人物と言えよう。
また、Invast GlobalのCEOを務めるGavin White氏は、伝統的なグローバル投資銀行の代替となるサービス提供への需要が強まっていると主張している。足元までの規制改革や時代遅れのテクノロジーを基盤とした金融システムでは、金融業界に革新や競争が生まれにくいと見ている。一方で、香港はベンチャー企業や先進的なヘッジファンド・ブローカーが生まれやすい土壌が整備されていると考えている。そして、市場が活性化され、且つ競争的な香港において、Invast Globalが誇る高い機動力と最先端テクノロジーを活用した経営戦略がうまく適合し、伝統的銀行が手掛けるプライムブローカレッジサービスを代替する革新的なビジネス展開を図っていくことを楽しみにしていると、Gavin White氏は付け加えている。
アジアパシフィック地域にて積極的な市場拡大戦略をとるInvast Globalにとって、香港の地でも顧客と強固な関係性を構築することで、Invast Global会社全体の業績拡大に大きく寄与することが期待されよう。
release date 2019.01.17
ヘッジファンドの運用に関わる統括的なサービスを提供するプライムブローカレッジ業務は、証券会社にとってかなりの収入源となる業務である。中でも貸株業務(ヘッジファンドが空売りをする際に株を貸し付けること)の収益性は売買取引業務の手数料よりもはるかに高く、投資家がキャップ・イントロ(プライムブローカーが有力投資家へ新規ヘッドファンドを紹介するサービス)を活用してヘッジファンドに投資すれば、プライムブローカーの貸株業務や売買取引業務などのフロー収益が増加するという。なお、プライムブローカーを選ぶ際にヘッジファンドが最も重要視するのが信用力といわれている。プライムブローカーの信用力が低下すれば、決済を依存するヘッジファンドにも支障が生じるためだが、こうした信用力の観点からも、Invast Globalが業界での豊富な経験を持つ人材を集め、長い期間をかけて戦略を練り、勝負に出る考えであることが伺える。また、GAM Fund Management、Hillhouse Capital、MCP Asset Managementなどをはじめとする数多くのヘッジファンドも規制が整う香港に集中しており、プレゼンスを確立する上海のみならず、香港においてもInvast Globalの更なる躍進に期待が見込まれる。今回の新オフィス開設にはアジアパシフィック地域での市場開拓への本気度が伺えるが、市場拡大に意欲的なInvast Globalが香港の金融市場に君臨する日はそう遠くないのかもしれない。
作成日
:2019.01.17
最終更新
:2022.07.19
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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