作成日
:2019.03.04
2021.08.31 15:27
インド国内での仮想通貨取引に関する請願書を受けた最高裁は、中央政府に仮想通貨の規制案を提出するよう要請していたが、ここにきて、政府委員会の検討がいよいよ最終段階に迫っていることが報告された。
兼ねてより最高裁は、業界団体であるInternet and Mobile Association of India【以下、IAMAIと称す】から、インドの中央銀行であるインド準備銀行(Reserve Bank of India)【以下、RBIと称す】による仮想通貨取引の禁止措置撤廃を求める請願書を受けていたものの、これまで長くにわたり審理中の状態を維持してきた。最高裁は、先月25日に開催された法廷審問の後、最終的な審理は政府が策定する規制案の内容を考慮した上で行うとの判断を下しており、インド政府に4週間の猶予を与えている。また、最高裁は、これが時間的に最後のチャンスであると述べ、インド政府や市場にとって重要な局面となることを示唆した。
最高裁の決定に対して、IAMAI側の弁護士であるJaideep Reddy氏は不満を抱いており、請願書への回答や政府委員会による規制案の報告、RBIの禁止措置の妥当性などの問題は、個別に議論されるべきだとの見解を示している。加えて、Reddy氏によると、こうしている間にも、仮想通貨取引所に従事する社員の生活が圧迫されていることが、重大な懸念事項となっているという。RBIが、国内の金融機関に仮想通貨関連事業者との銀行取引禁止を通達したのは、昨年4月の出来事で、それが実際に施行され、取引所などの仮想通貨関連サービスから法定通貨の出金が不可能となったのは、翌々月の6月のことだ。
このRBIによる仮想通貨取引の禁止措置は、インド国内の仮想通貨市場に傷跡を残す結果を招き、インドの大手取引所であるZebpayなども、国内での仮想通貨取引事業を停止している。しかしながら、取引所の中には、このような状況下にも関わらず、個人間の直接取引を可能とするP2Pの取引ソリューションを提供しているところもあり、RBIの禁止措置に影響されない取引手段として人気を博しているようだ。
release date 2019.03.04
仮想通貨取引がインド国内で禁止されて以来、早くも1年が経過しようとしており、一部、非合法な手段での取引も見られるようだが、インドの仮想通貨市場は停滞が続いている。これを受けて、フラストレーションが溜まるインド国内では、仮想通貨取引の合法化を望む声の拡大が見られ、インターネットを通じて4万5,000件を超える署名が集まったという。その甲斐もあってか、反対一辺倒だったインド政府内部でも、仮想通貨を完全に禁止することは得策ではないとの考えを主張する者も現れ始め、仮想通貨市場に光が射し始めている。事実、13億人もの人口を抱えるインド市場は、ここ数年でGDPが急伸を見せ、全体の6位まで上げてきており、これに加えて、中国と並ぶ巨大な送金市場を持つという仮想通貨利用に適した土壌も持ち合わせているようだ。そのポテンシャルの大きさは計り知れず、独自の仮想通貨開発を進めるFacebookも進出を狙っているほどだ。今回の最高裁の決定で進展が見られることが予想されるが、どのような結末を迎えるのか、今後も見守っていきたい。
作成日
:2019.03.04
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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