Select Language

2019年秋のFATF審査に向け対策強化に取り組む金融業界

2019年秋のFATF審査に向け対策強化に取り組む金融業界

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:27
2019年秋のFATF審査に向け対策強化に取り組む金融業界

update 2021.08.31 15:27

仮想通貨取引所も審査の対象に

2019年10月から11月ごろに予定されているマネーロンダリングに関する金融活動作業部会【以下、FATFと称す】の第4次対日審査に向けて、日本の金融庁が金融業界全体のマネーロンダリング対策強化に取り組んでいるようだ。

FATFは、マネーロンダリングの国際協調を進めるために設立された政府機関で、FATFによる監査は日本では2008年以来およそ11年ぶりの実施となる。前回のFATFによる第3次対日審査では、日本は27カ国中18位という低水準な結果に終わっており、特に銀行を含む金融機関全体のAML(マネーロンダリング対策)およびCFT(テロ資金供与対策)では、49項目中25項目において要改善の評価を受けている。FATFの評価は金融機関の国際取引にも影響が及ぶ可能性があるため、金融庁は犯罪収益移転防止法を2011年と2014年に2度改正し[1]、法整備に努めているという。しかしながら、2017年には、愛媛銀行が関与した数億円規模のマネーロンダリングの疑いがある海外送金が見過ごさられるなど、改善の余地もまだまだ存在するのも事実であり、特に人員規模も小さく、法令遵守に対する意識も比較的薄い地方銀行は、システムへの投資や金融リテラシーについて大幅な改善が求められる場合が多いようだ。

これまで既に21カ国が第4次審査を終えているが、合格の基準に達したのは英国やイタリアなどわずか5カ国のみだという。前回芳しくない結果に終わった日本は、今回も合格基準に満たないことが予測されており、国内最大手の三菱UFJ銀行がマネーロンダリング対策が不十分だとして、先月、米通貨監督庁から重大な警告を受けた例からもその厳しさは伺える。ちなみに米国自体も第4次審査で合格に届いていないものの、日本の水準はそれよりもやや劣るレベルにあると見られている。

FATFの評価対象となる金融機関は、銀行、証券会社、資金移動業社、保険会社、資産運用会社が主とされていたが、第4次審査からは、仮想通貨取引所が新しく対象に加わるという。仮想通貨取引所は、重点分野としても挙げられているため、良い評価を得ることができれば、日本の仮想通貨市場の安全性を世界にアピールするチャンスとなることが考えられる。日本の仮想通貨取引所には、マネックスグループに買収されたコインチェックやフィスコグループ傘下のZaif、SBIホールディングス子会社のSBIバーチャルカレンシーズなど、大手金融会社と資本関係にある企業も存在するが、金融庁の懸念は、こうした企業以外のリソース不足が懸念される小規模な取引所に向けられていると言えるだろう。

今後は、第4次対日審査に向けて、自主規制団体である日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)を中心に仮想通貨取引所の規制強化が進んでいくと予想される。現在の取り決めでは、ライセンスを有さない取引所や海外の取引所は、日本の居住者を対象にした営業が許可されていないことから、金融庁は、国内企業やバイナンスを含む海外企業に警告書を度々発行している状況だという。これらの取引所の利用は、マネーロンダリングの温床となる可能性もあるため、徹底的な対策が課せられることが予想される。

release date 2019.03.04

出典元:

ニュースコメント

大手取引所を中心に犯罪対策強化の流れ

金融メディアのウォール・ストリートジャーナルの調べによると、2016年からの2年間で46カ所の仮想通貨取引所と、少なくとも8,800万ドル相当の仮想通貨資金がマネーロンダリングに利用されていることが明らかとなった。加えて、2,500もの仮想通貨ウォレットを追跡調査した結果、資金の多くが複数のサービスに渡っていることが突き止められている。法定通貨に比べ、マネーロンダリングの規模自体は極めて小さいが、通貨としての特性特性や送金に適した環境を併せ持つことを考えるとそれでも十分に脅威だと言えるだろう。最近では、コインベースなどの大手取引所を中心に、KYC(顧客確認)プロセスの強化やブロックチェーン分析技術の導入などを進める流れが出来上がっており、仮想通貨業界も犯罪利用を排除する方向に動いていることが伺える。しかしながら、まだ業界のスタンダートとして根付いていないため、各社取り組み状況に格差がみられることは否めない。今後は、FATFのような取り組みを通して安全基準が均一化されることに期待したい。


Date

作成日

2019.03.04

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

【要注意】Axi口座から不正出金被害、セキュリティ対策に不安の声

海外FX業者のAxiで、不正出金の被害が海外フォーラムなどで報告されています。国内で同様の被害は確認されていませんが、日本人ユーザーも無関係ではありません。この記事では、報告されている不正出金の事例やセキュリティの問題点のほか、現状でユーザーがとれる対策を説明します。
update2025.09.29 19:00

Exnessがスプレッドを最大30%OFF!仮想通貨・株価指数で大幅縮小

海外FX業者のExnessが主要銘柄のスプレッドを縮小しています。BTCUSDは16%、ETHUSDでは23%の縮小が確認されています。本記事では縮小後のExnessスプレッドを主要なブローカーと比較しました。
update2025.10.02 19:00

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

【当サイト限定】FXONの口座開設でボーナス15,000円をプレゼント!既存ユーザーも対象

2025年8月1日より、FXONでの口座開設で15,000円のボーナスを獲得できる、当サイトMyforex限定のキャンペーンがスタートしました。この記事では、ボーナスの受け取り方法や注意点などを説明します。
update2025.08.01 19:30

【独自】海外FX利用で銀行口座が凍結・解約された一部始終!「自分には関係ない」は危険かも

みんなの銀行の口座を実際に凍結・解約されたトレーダーから当サイトに寄せられた情報をもとに、解約までの流れを一部始終紹介します。海外FXユーザーにとって、銀行口座凍結は決して他人事ではありません。海外FX利用時に注意すべき送金パターンも説明します。
update2025.08.12 19:00

Wiseでの海外FX入出金をおすすめできない理由とは?アカウント閉鎖の可能性も

海外FXユーザーの間で、Wiseを利用した送金が話題になっています。しかし、Wiseでの入出金はリスクが高いためおすすめできません。この記事ではその理由を説明します。
update2025.09.08 19:00

話題のDCJPYとJPYCの違い|海外FXの入出金に使えるのは?

DCJPYというデジタル通貨が話題となっています。一方で、海外FXユーザーの間ではJPYCへの期待も高まっています。本記事では、DCJPYとJPYCの特徴や違いを比較し、海外FXトレーダーにとってどちらが送金手段の選択肢となるのかを解説します。
update2025.09.26 19:30

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル