作成日
:2019.02.22
2021.08.31 15:27
ソーシャルトレーディングサービスを提供するフィンテック企業のayondo(本社:Niddastraße 91 60329 Frankfurt am Main, Germany
)が、中国にてソーシャルトレーディングプラットフォームを運営するiMaiboと、テクノロジーやマーケティング分野などにおける戦略的パートナーシップ契約を締結したことが明らかとなった。ayondoは、この度のパートナー契約を通じ、ソーシャルトレーディングに関心を高める中国人投資家向けに利便性の高いサービスを提供していく意向だ。また中国の個人投資家動向に精通したiMaiboと協働し、ayondoが誇る執行インフラや金融商品、ソーシャルトレーディングプラットフォームのWeTradeなどの活用を推進していくとのことである。ayondoは、これらの商品・サービス提供により、グローバルアセットアロケーションや新たな金融商品への投資といった中国人投資家のニーズを満たすことに狙いがある模様だ。更に、ayondoが100万ドルのローンを借り入れるべく、iMaiboによるサポートを受け入れる見通しである。ayondoはこの資金を、ayondoの事業再構築やiMaibo株式の取得、そして新たなビジネス領域の拡大に利用するという。
ayondoとiMaiboの提携に際し、ayondoの暫定CEOであるMark Street氏とiMaiboの創業者であるWater Cheung氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。
我々は、今後も主力事業であるソーシャルトレーディングビジネスに注力すると共に、アジアにおける既存・新規のパートナーとB2B戦略を推進させていく考えであります。財務基盤を強固にし、欧州におけるB2Cのソーシャルトレーディング業務を強化することに加え、iMaiboとの戦略的パートナーシップ契約を通じ、中国を筆頭にアジアにおいて市場拡大を図っていきます。
Mark Street, Interim-CEO of ayondo - ayondoより引用
ayondoとの提携は、中国のみならずアジア全域でソーシャルトレーディングビジネスを拡大・強化していくうえで、非常に大きな機会となると思います。我々は、ayondoと大いにシナジーを発揮することで、協働事業を成功に導けると確信しております。
Water Cheung, founder of iMaibo - ayondoより引用
ayondoは、個人投資家から機関投資家に至るまで広範な顧客層にサービス提供を行っており、ayondoのソーシャルトレーディングプラットフォームは195か国、21万人に上るユーザーに利用されている。また、ayondoは足元までに、アジア地域において、ホワイトレーベル(FX事業者などに顧客取引機能やバックオフィス機能を提供するサービス)のパートナーやイントロデューシングブローカー(IB)など、25社とB2Bのパートナー契約を結んでいる。ayondoがフィンテク企業として初めて上場を果たしたシンガポールにおいては、地場のブローカレッジファームであるKGI Fraser Securitiesとも提携し、ayondoのTradeHubシステムを基にしたCFD取引プラットフォームをリリースしている。
一方のiMaiboは、中国の個人投資家向けにソーシャルトレーディングプラットフォームを提供している。ayondoとの提携により、顧客はトップトレーダーや影響力のあるオピニオンリーダーにアクセスでき、投資判断を参考にすることもリアルタイムにコンタクトを取ることも可能となる見通しだ。
ayondoは、BUXにayondo英国法人の売却に向けた交渉を行っていると報じられた際に、地盤の欧州にてソーシャルトレーディングアプリケーションの提供を続けると共に、アジア市場に注力する意向を示していた。この度、中国市場に強みを持つiMaiboと提携したことで、ayondoが戦略地域に位置づけるアジアにて確固たるプレゼンスを確立できるか注目されよう。
release date 2019.02.22
ayondoは2008年にドイツで創立され、主にCFD取引に使用されるプラットフォームを開発・提供し、その利便性の高いサービスには定評がある。2014年にはシンガポール法人を設立するなど、アジア市場を重視した展開を行ってきた。一方のiMaiboは2012年に中国深センにて創立され、株式のソーシャルトレーディングプラットフォームの開発、提供を行うフィンテック企業である。2014年には、10万人だった利用者がたったの9ヶ月の間に65万人にまで増加するなど急成長を見せており、アグレッシブで利用者に定評のあるサービス展開を行ってきた。世界第一位を誇る人口ボーナスにより、短期間に膨大な利用者の増加が起きる可能性があるなど、中国市場は世界展開を行う企業によって有望な市場であることは間違いないが、人民元建て決済への対応や、政府による規制への対応など、進出は容易であるとは言えない。今回のパートナーシップ協定締結は、アジア市場を重視した展開を行ってきたayondoによっては非常に合理的な判断だと言えるであろう。iMaiboにとってもユーザーへayondoの質の高いサービスを利用可能となるなど、お互いにメリットのある内容だ。両社の今後のサービス拡大に期待したい。
作成日
:2019.02.22
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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