Select Language

MacOSを狙い仮想通貨を盗難するマルウェアが発見される

MacOSを狙い仮想通貨を盗難するマルウェアが発見される

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:27
MacOSを狙い仮想通貨を盗難するマルウェアが発見される

update 2021.08.31 15:27

クッキー情報を利用して2段階認証を回避する手口

米国のシリコンバレーを拠点にサイバーセキュリティに関するサービスを展開するPalo Alto Networks, Inc.(本社:3000 Tannery Way, Santa Clara, CA 95054[1])【以下、パロアルトネットワークスと称す】は、仮想通貨を不正入手するクッキーマイナー(CookieMiner)と呼ばれるマルウェアが発見されたことを発表した。[2]

パロアルトネットワークスのリサーチチームであるUnit 42によると、このクッキーマイナーは、MacOS(Appleが開発するOS)をターゲットとしたマルウェアで、2段階認証が必要なログインシステムにも、セキュリティを回避して侵入することができるという。その手口は、Chrome(Googleが開発するウェブブラウザ)に保存されたユーザーのパスワードやその他クッキー情報(ブラウザが一時的に保存しているユーザー情報)を取得することで、仮想通貨ウォレットなどへの侵入を可能としているようだ。クッキーマイナーは、MacOSユーザーの中でも、コインベースやバイナンス、Poliniex、Bittrex、ビットスタンプ、MyEtherWalletなどの大手仮想通貨サービス、その他イーサリアム(Ethereum)を基礎としたサービスの利用者を標的としている。

通常、2段階認証が有効になっていれば、Chromeからパスワードを抜き取られたとしても、それほど重大な脅威とはなり得ないという。しかし、クッキーマイナーは、セッションIDに紐づく情報となる認証時のクッキーも取得し、これを利用することで、まるで前回のセッションを継続させるようにログインを試みることができる。この方法だと、ログインシステムは、前回のセッションで承認した同一人物によるアクセスだと判断して、2段階認証を要求してこないため、ハッカーにとっては2段階認証の回避策となるという。

Unit 42でディレクター代理を務めるJen Miller-Osborn氏は、クッキーマイナーと、既に発見されているその他のマルウェアとの違いについて以下のようにコメントしている。

ブラウザに保存されたクッキー情報をターゲットとしたマルウェアは、新しいものではありませんが、クッキーマイナーは、取引所へのアクセスを目的とし、2段階認証のセキュリティを回避するという方法を併せ持つ新しい手口であるといえるでしょう。

Dupity Director of Threat Intelligence of Unit 42 at Palo Alto Networks, Inc. - TNWより引用

加えて、クッキーマイナーは、ユーザーに悟られることなくマイニングソフトウェアをインストールする機能を有しており、仮想通貨を盗み出すことに失敗したとしても、ユーザーの端末を不正に利用して仮想通貨をマイニングさせることができるという。これに対して、パロアルトネットワークスは、ブラウザに認証情報を記録させないことや、取引所などにログインした際にキャッシュ(一時的な情報の保存領域)を消去することを勧めているようだ。

昨年10月、CoinTickerと呼ばれるビットコイン価格をリアルタイムでメニューバーに表示させるMac OS向けのアプリケーションが、様々な方法で悪用される危険性があることが明らかにされるなど、ハッキングによる脅威の拡大が懸念されている。

release date 2019.02.04

出典元:

ニュースコメント

マルウェアの蔓延で個人にも対策が求められる

マルウェアとは、コンピュータなどの不正かつ有害な動作を行うことを目的に作成された悪質なソフトウェアの総称で、インターネットが普及した2000年代以降、ユーザーの脅威となる存在として認知されてきた。仮想通貨に関連する実例でいうと、北朝鮮のハッカーグループによるmacOSのマルウェア開発が発覚するなど、これまで比較的数が少ないとされていたmacOSを標的としたマルウェアの数も近年急速に伸びており、すでに2017年第1四半期には過去最高となる700,000件以上が発覚している。一方で、マルウェア対策を行う団体も進化を遂げており、GPUマイニング(個人コンピュータに適したマイニング方法)の特性を利用したモネロ(Monero)のクリプトジャッキングに対して、状況の改善を図ったモネロ財団は学習サイトを立ち上げユーザーのリテラシーを向上させるなど対策を打っている。しかしながら、仮想通貨を対象としたハッキングは、年々、進化していることも事実で、今回のクッキーマイナーのように巧妙な手口でセキュリティを無効化する新型のものまで出てきているのが現状だ。これまで、仮想通貨業界は、被害が甚大化しやすいことから、取引所におけるセキュリティ対策に力を入れてきたが、今後は教育や個人向けのソリューション開発で、これらの脅威からユーザーを守ることが期待されている。


Date

作成日

2019.02.04

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨SOLVの将来性は?ビットコインのステーキングプロトコルSolv Protocolを解説

仮想通貨(暗号資産)SOLVは、ビットコイン(BTC)のステーキングプロトコル「Solv Protocol」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨SOLVの特徴やSNSでの評判、将来性、トークンの使い道などを解説します。
update2025.01.10 19:30

【無料ツールも】MT4/MT5で複数チャートを同期スクロールし、分析を劇的に変える方法!

MT4/MT5ではインディケータを使うことで複数チャートを同期してスクロールできます。この記事ではMT4/MT5の複数チャートを同期してスクロールできるインディケータについて、実際に使ってみた感想も交えながら紹介していきます。
update2024.11.07 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

MT4/MT5でも日本時間を簡単に表示できる!日本との時差については図解で理解しておこう

MT4/MT5では通常、表示される時間が日本時間から6時間ほどずれています。頭の中で「表示される時間 + 6時間」などと計算すれば、日本時間に変換可能です。しかし慣れないうちは少し不便なので、日本時間を表示させる外部ツールも活用されています。
update2024.11.27 19:30

bitbankからBybitに送金してみた!トラベルルールの対応状況も解説

Myforex編集部では、bitbank(ビットバンク)からBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.11.28 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00

初心者でも安心!MT4ストラテジーテスターの使い方完全ガイド ~EA活用とバックテストで一歩先のトレードへ~

MT4でEAを使って自動売買をするならストラテジーテスターにより利益が出るかテストが必要です。本記事では、ストラテジーテスターの実践的な使い方や疑問を感じやすいポイントを解説します。
update2025.01.10 19:00

XMTradingがおみくじプロモ2025を実施!総額1,000万円越えのキャンペーン

海外FX業者XMTradingは、1月2日~1月31日までの期間限定で「おみくじプロモ2025」を実施すると発表しました。賞金総額は1,000万円以上であり、抽選で100名に最大75万円の現金がキャッシュバックされます。
update2025.01.06 19:00

このローソク足あと何秒!?残り時間を表示するMT4/MT5のインディケータを比較

MT4やMT5でトレードする際、インディケータを使えばローソク足が確定するまでの残り時間を表示できます。アラート機能付きや残り時間以外の情報も表示するインディケータもあります。本記事では、MT4・MT5にローソク足の残り時間を表示するインディケータを紹介します。
update2024.12.12 19:30

SONYのレイヤー2「Soneium」がIP侵害を理由にミームコインをブラックリスト化

ソニーグループによるイーサリアムレイヤー2のSoneium(ソニューム)が、メインネットローンチの同日に、IP侵害のあるミームコインをブラックリスト化し、SNSで話題となっています。本記事では、Soneiumの概要やブラックリスト化の内容、SNSでのユーザーの声などを解説します。
update2025.01.17 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル