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2019年初頭から仮想通貨のOTC取引で強まる買い圧力

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update 2021.08.31 15:27
2019年初頭から仮想通貨のOTC取引で強まる買い圧力

update 2021.08.31 15:27

年末から続いた税金対策での売りがひと段落

昨年末から続く上昇トレンドが形成する楽観的な市場心理の影響を受けて、買手と売手が1対1で売買を実施する仮想通貨のOTC取引(Over the Counter Trading)において、2019年に入り買い圧力が高まっていることが明らかとなった。[1]

同トレンドはOTC取引サービスを提供する多くの企業が実感しているようで、業界大手のCumberlandは、先週から買手と売手の不均衡が急激に進んでいることを今月8日にツイートしている。Cumberlandによると、同社のOTC取引サービスではこのように極端なバランスの乱れが発生することは珍しく、買いと売りの比率を表す指標が先週から60%買いの方向に上昇しているという。[2]また、Genesis TradingのCEOであるMichael Moro氏も、2018年末と比べてOTC取引での買い注文が増加していることを指摘している。昨年末は、投資家が税金対策や年次清算のために仮想通貨を手放す方向に動いたことから売りが多くなっていたが、2019年に入ってからは売りの勢いが弱まり、反対に買い優勢で推移しているようだ。

これら2社に加え、Galaxy Digitalも市場の潮目が変わったことを感じているようで、資産管理会社や基金口座からの税金対策のための取引が年末にかけて増加したと主張している。Galaxy Digitalによると、今月初めから年末にかけて売却された資産を買い戻す形での注文が増えており、更にEMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)やアジアといった地域からの新規買い注文が流れ込んできているという。これに同調するように、取引所とOTC取引サービスの両方を運営するPaxosのCEOを務めるPaul Ciavardini氏は、年始から新興市場からの買い注文が活発になっていることを確認している。

また、CircleのOTC取引でも同様の傾向が見られており、デリバティブ取引において発生する受け渡しのための取引量は、昨年12月にわずかに上昇したものの、今年1月にはその流れは反転したことが報告されている。Circleでは、アルトコインやステーブルコイン取引の活性化が観測されるなど、新しい買いの流れが生まれていることも明らかになった。DV Chainなどの一部企業では、それほど強い傾向は見られないようだが、それでも買いが優勢なことには変わりない。

OTC取引では、大口の金融機関などを中心に数十億ドルに相当する巨額の取引が執行されている。そのことから、OTC取引は一般的なスポット市場よりも仮想通貨市場の現状を表すと言われており、投資市場のマーケットコンサルティング企業であるTabb Groupでフィンテック部門のディレクターを務めるMonica Summerville氏も、大局を把握するためにOTC取引の傾向を重要視しているという。Summerville氏によると、OTCによる取引量は、Krakenやコインベース、バイナンスなどの個人投資家を中心とした小口取引を取り扱う仮想通貨取引所と比べると、2倍から3倍規模が大きいと推測できるようだ。一般的な取引所では、注文できる取引量に制限がかけられている上、執行も分割して実施されることがあるため、OTC取引との住み分けができているという。

OTC取引での買いの急増が意味するところは、トレンドの反転かもしれないが、今の所ビットコインをはじめとする仮想通貨価格は、いまひとつ好材料が不足している感がある。2019年、好スタートを切った仮想通貨市場だが、どのような展開を見せるのか今後も注目していきたい。

release date 2019.1.10

出典元:

ニュースコメント

仮想通貨分野でも拡大するOTC取引の利用

OTC取引は、相対取引や店頭取引と呼ばれており、外国為替、デリバティブ、CFDなどの取引市場では、よく利用される取引方法となっている。メリットとしては、売手と買手が仲介者を通さずに売買契約を締結することで、双方の合意があれば価格や数量など、スポット市場よりもある程度自由に取引できることが挙げられる。また、マーケットの価格変動や流動性の影響を受けることが少ないということも、取引所を通した一般的な取引と比べて優れている点だと言えるだろう。デメリットとしては、当事者同士の契約が不透明なリスク要因として作用する可能性やスポットレートが急激に変動した際の対応の難しさなどが考えられる。そんなOTC取引だが、前述の通り、大口の取引執行を必要とする金融機関の市場へのアクセス手段ともなっており、仮想通貨市場でもそれは例外ではなくなってきているようだ。例えば、昨年12月末にHuobiが、仮想通貨のイオス(EOS)を軸とした新サービスを開始し、Huobi OTCというOTC取引サービスを展開している。大手仮想通貨取引所のOTC取引提供の動きは今後激化することが予測されるが、仮想通貨市場に金融機関を呼び込むゲートウェイとなることが期待される。


Date

作成日

2019.01.10

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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