作成日
:2019.01.10
2021.08.31 15:27
タイの証券取引委員会(Securities and Exchange Commission, Thailand)【以下、SECと称す】は、タイの財務省が、国内4つの仮想通貨関連事業者に営業ライセンスを与えたことを発表した。
今回ライセンスを取得した企業は、仮想通貨取引所を運営するBitcoin Exchange Co., Ltd.とBitkub Online Co., Ltd.、Satang Corporation、それに加えて、仮想通貨ブローカーおよびディーラー業を展開するCoins TH Co., Ltd.である。SECの発表によると、前述の企業以外にもCash2coin Co., Ltd.とSoutheast Asia Digital Exchange Co., Ltd.の2社がライセンス申請を行っていたようだが、財務省は、標準的な資産管理システムやKYCシステムが一定の水準を満たしていないとの理由で、申請を拒否したようだ。
ライセンスを取得できなかった企業は、すぐさま仮想通貨事業を停止しなければならないが、財務省はこれら2社に対して2019年1月14日までの営業を認めており、顧客資産の返却期間とするよう指示するとともに、顧客資産の返却処理の完了報告を求めているが、それが済めばライセンスの再申請が可能だとしている。なお、別の仮想通貨取引所であるCoin Asset Co., Ltd.も、財務省へのライセンス申請を届け出ているものの、当局が事業運営の実態を精査している段階にあるため、同社に関してはひとまずの営業が許可されているとのことだ。
タイでは2018年初旬、各金融機関に仮想通貨関連の事業展開を控えるよう中央銀行のタイ銀行から通達が出ていたが、5月後半には仮想通貨関連の事業を認可する旨の法令が王室から承認を受けたことで、国内の状況が一変している。さらに、昨年、SECはICO(イニシャルコインオファリング)投資に関するフレームワークを公開しており、多くの企業が仮想通貨分野に進出するきっかけとなった。近年のタイ国内の楽観的な仮想通貨市場の動きは、機関投資家の仮想通貨への投資を促すと考えられる。
Bitkub Capital Holdingsの共同創設者でCEOのJirayut Srupsrisopa氏は、このことについて以下のようにコメントしている。
仮想通貨市場は、今後2年から3年で1,000億ドル(3兆2,100億バーツ)から、その10倍に相当する1兆ドル(32兆1,000億バーツ)への成長を達成することも可能だと考えています。70兆ドルを誇る世界の株式市場と比べると小さいですが、それでも十分な規模だといえるでしょう。
Jirayut Srupsrisopa, Co-founder and CEO of Bitkub Capital Holdings - Bangkok Postより引用
Srupsrisopa氏はまた、仮想通貨の投資家は現在そのほとんどが個人などの小口であるが、仮想通貨関連事業が合法化されたことで、将来的には既存の投資市場のように機関投資家が仮想通貨取引の大きなシェアを握ることが予測されると述べている。なお、Srupsrisopa氏は、現在2つの証券会社とのパートナーシップの提携により、既存の投資市場から仮想通貨市場へ投資を誘導することを検討しているという。
release date 2019.01.10
東南アジアの優等生として、近年、目覚ましい経済発展を遂げているタイだが、社会ではキャッシュレス決済の導入が過渡期を迎えているようだ。これまで、地域経済ではクレジットカードやデビットカードの普及率が上がっているにも関わらず、トランザクションコストがかからない現金での支払いが根強く残っていた。しかし、ここ数年では首都のバンコクでは、Suicaに代表される日本の交通系ICカードのようなRabbit Cardと呼ばれる決済システムや、Lineグループが展開するLine Payなどの導入がコンビニエンスストアやスーパー、百貨店などを中心に進んでおり、また、観光地などでは、中国から押し寄せる観光客向けにAlipayなどへの対応が見られるようになった。この決済インフラの変化は、利便性をもたらすだけではなく、仮想通貨受け入れの基盤を作るという次のステップの意味でも非常に重要だと言える。幸いなことにタイでは現金以外の決済手段はまだまだマイナーなため、仮想通貨決済への移行が本格化すれば一気に導入が進む可能性も考えられる。Srupsrisopa氏が提唱するように急速な成長で規模が10倍に達するかは定かではないものの、いずれにせよタイの仮想通貨市場は、今後の変化が楽しみな期待の市場であることには間違いないだろう。
作成日
:2019.01.10
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。
お問い合わせ先 [email protected]
Milton Marketsが夏トク15%入金ボーナスキャンペーンを開催!
2023.06.21 19:30
XMTradingがF1チームスクーデリア・アルファタウリとスポンサーシップを締結
2023.03.28 20:00
海外FX業者で取引できるエネルギー銘柄は?取引の種類やメリットを解説
2023.02.27 20:00
仮想通貨HOOKとは?将来性は?Hooked Protocolが提供するWild Cashも解説
2022.12.13 21:00
Huobi(旧Huobi Global)は日本居住者向けサービスを停止していない?
2022.12.08 19:30
分散型取引所dYdXの使い方をイチから解説!注意点も紹介
2022.12.01 20:00
免責事項:Disclaimer
当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。
Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー