作成日
:2019.01.04
2022.11.21 17:27
2019年に入って、昨年後半の価格暴落からの回復を見せている仮想通貨市場だが、今月3日の早朝に発生したドル円相場でのフラッシュクラッシュ(相場が瞬間的に急落すること)が原因で、ビットコイン価格は一時の急落を見せた。
今月3日のドル円相場は、1ドルあたり109円前後で価格が推移していたが、突如のフラッシュクラッシュに見舞われたことで、瞬間的に104円まで値を下げる展開となった。その動きに影響されてか、ビットコイン(BTC/JPY)価格も同時刻に同様の急激な下げを記録している。その後、ビットコイン価格はすぐに反発、直近の安値から半分ほど戻して落ち着きを取り戻した。
このドル円相場でのフラッシュクラッシュは、米国の金利政策や中国との貿易戦争といったリスク要因を下地に、不振から業績を大きく下方修正したApple Inc.(One Apple Park Way Cupertino, CA 95014
)の発表が重なって発生したことが考えられる。不運なことに年末年始の閑散期で流動性が低くなっていたことも、急激な価格変動に拍車をかける要因となった。特にアルゴリズム取引が普及してからは、ちょっとした出来事でも価格が振れやすくなったと言われている。直近のビットコイン(BTC/JPY)価格は、1通貨あたり41万円以上の価格で推移しており、安定的な値動きを見せている。1万6,000円台で取引されるイーサリアム(ETH/JPY)や39円台半ばの値をつけるリップル(XRP/JPY)などの主要な仮想通貨もビットコインと同様の状況だ。
ドル円相場では、現時点で1ドルあたり107円から108円程度で取引されているが、今年に入って2円ほど円高が進んだ計算になる。年始から慌ただしい幕開けとなったが、仮想通貨市場としては堅調なスタートを切っただけに無用な混乱は避けたいところだろう。
release date 2019.1.4
大手金融機関や機関投資家の参入が進んでいる仮想通貨市場だが、米国の仮想通貨調査会社であるSFOXによると、ビットコイン相場を中心に安定性を増していることが報告されている。また、これと併せて、取引量や流通網が拡大することで、取引所間での価格差が是正されていることも明らかになった。しかしながら、一方では、企業の参入による市場の拡大は、アルゴリズム取引の利用を加速させる結果に繋がり、株式相場や為替相場よりも規模が小さい各仮想通貨相場において、システムのエラーなどによる望まれないフラッシュクラッシュを生み出すとの懸念も呼んでおり、事実、昨年10月にはビットスタンプが運営する欧州の大手仮想通貨取引所において、自動取引ボットの暴走によるクラッシュが発生している。今回のドル円相場でのフラッシュクラッシュ、及びにビットコイン価格の一時暴落が、金融機関のアルゴリズムによるものなのかは断定されていないが、その可能性も否定できない。株取引の世界では、アルゴリズム取引の危険性を排除するために規制する動きもあるが、仮想通貨業界も今後何かしらの対策が必要になってくるだろう。
作成日
:2019.01.04
最終更新
:2022.11.21
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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