作成日
:2018.11.01
2022.04.19 13:51
ロンドン証券取引所にも上場するイギリスの金融デリバティブブローカー、CMC Markets UK plc(本社:133 Houndsditch London EC3A 7BX
)【以下、CMCと称す】は、提供する仮想通貨CFDサービスにビットコインキャッシュ(Bitcoincash)とライトコイン(Litecoin)、リップル(Ripple)を追加することを10月30日に発表した。CMCは、今年3月にプロ投資家向けに仮想通貨CFD取引サービスを開始していたが、その後、7月にリテール投資家の需要に応じてサービス対象を拡大している。この度の取引可能な仮想通貨銘柄が追加されたことにより、約6万人のCMCユーザーは、既に取扱われていたビットコイン(Bitcoin)とイーサリアム(Ethereum)に加え、上記3種類の通貨を米ドル建で売買することが可能となる。
近年では、FXやスプレッド取引、CFDブローカーなどの間では、仮想通貨をベースとした金融派生商品への需要が高まっており、特に仮想通貨CFDの提供は各社が進んで取り組んでいるようだ。その中でも、CMCは後発での市場参入となり、既に市場でのシェアを確立しているAdmiral Markets、Gain Capital's City Index、Plus500 Ltd.、IG Group Holdings Plcといった競合他社を追う状況となっている。
仮想通貨を原資産とした金融派生商品の優位性についてCMCのコマーシャルディレクター、David Fineberg氏は以下のようにコメントしている。
スプレッド取引やCFDは、資産として保有することなく、仮想通貨の値動きに対してポジションを取ることができる有効な手法です。大手ブローカーを利用すれば、入出金も簡単で、仮想通貨取引所へ資金を預けるリスクを回避することができます。
David Fineberg, Commercial Director at CMC Markets - ELVENEWSより引用
この業界のトレンドとは裏腹に、大手事業者の中には、規制当局の動きを警戒して仮想通貨デリバティブの導入を敬遠している企業もあるという。今週には、英国が仮想通貨CFDの取引禁止を検討していることが報道されたが、欧州市場の仮想通貨を取り巻く環境が今後どのように動いていくのか、注視していきたい。
release date 2018.11.01
欧州市場での仮想通貨CFDの提供は、まさに今、過渡期を迎えていると言えるだろう。先月初めにも、CMCと同じくイギリスに拠点を置く、大手金融ブローカーのFXCM Group, LLCが、自社初となるビットコインCFDの取扱い開始を発表している。仮想通貨CFDでの取引は、仮想的なポジションを差額決済することで資産を保有する取引とは本質的に異なり、ウォレットなどで仮想通貨資産を管理する必要がなく、また、取引コストも通常よりも低く抑えることができるというメリットがある。こうした特徴から、既存の大手金融企業を中心にCFD取引の採用が進んでいるのだが、一方で、市場の複雑性が増すことや金融機関が市場への影響を強める可能性などが懸念され、各国政府は慎重な対応を見せている。欧州地域の金融市場は、今のところ、ESMAの新規制導入によるレバレッジ制限やICOの取締りなど、顧客保護の観点で仮想通貨市場を規制する方針だが、仮想通貨CFDなどの金融派生商品に関しても何らかの規制の動きがみられることが予想される。
作成日
:2018.11.01
最終更新
:2022.04.19
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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