作成日
:2018.10.30
2021.08.31 15:22
ベルギーを拠点にする韓国資本の投資会社であるNXMH(本社:53 Avenue des Arts, 1000 Brussels, Belgium
)が、仮想通貨取引所を運営するBitstamp Ltd(本社:5 New Street Square, London, EC4A 3TW, United Kingdom )【以下、ビットスタンプと称す】 を買収したことが明らかになった。NXMHは、ビットスタンプと今月25日に契約を締結しすでにビットスタンプの株式の過半数を取得しており、その結果、ビットスタンプに資金提供を行っていたPantera Capitalの保有率は6%となった。ビットスタンプのCEOであるNejc Kodric氏の保有株式は少数となったが、ビットスタンプの運営は引き続きKodric氏の下行われるという。なお、株式の売却額などを含む取引の詳細は公開されていない。
NXMHの親会社であるNXCは、韓国の大手取引所であるKorbitや、PCとモバイル向けの人気ゲーム企業Nexonを運営しており、業界や企業のポテンシャルを見込んでビットスタンプの戦略的な買収に踏み切ったと説明している。NXMHは、ビットスタンプの理念に概ね合意しており、この度の株主交代によって、顧客への対応に影響が及ぶことはなく、ビットスタンプのロードマップに関しても変更はないという。Kodric氏によると、今まで数年、ビットスタンプはNXMHと提携関係にあり、今後も既存の金融システムと仮想通貨の架け橋となるべく事業を展開していくとのことだ。またビットスタンプは、ユーザーエクスペリエンスや顧客対応の強化、トレード機能の拡充、セキュリティの向上などに注力していくことも発表している。
この度の発表に際してKodric氏は、問題となっていたビットスタンプの出金処理の遅れについても言及しており、コルレス銀行が仮想通貨関連の取引を凍結または審査するようになったため過去数か月にわたって影響があったと説明し、顧客への影響を軽減するために継続的に問題解決へ向けて取り組んでいることを明かした。また、今月初めに数分間で28%もビットコインが急落した原因については、顧客の取引アルゴリズムが暴走したことにより、いくつかの大規模な取引執行を誘発したと述べ、最優先に対応していくことを約束した。Kodric氏は、この件は顧客側の過失であると認識しているものの、被害を招いたことは事実で、ロードマップでの技術的改善点として取り扱うとコメントしている。
release date 2018.10.30
仮想通貨に対して徐々に締め付けが強まりつつある銀行取引だが、その影響は今年に入って各取引所の運営に現れつつある。先日は、取引銀行との関係のねじれや過去の経緯から、大手取引所として知られるビットフィネックスが法定通貨の入金を一時停止しており、その数日後にはユーザーからの報告でビットフィネックスの出金の遅れが発覚し、コミュニティで大きな話題となった。ビットスタンプも今年に入って、フォーラムなどでよく出金の遅れが報告されるようになっており、何らかの問題を抱えているのではと噂されていた。これに対しビットスタンプは、取引銀行の対応が厳しくなったためだと、問題が発生していることを認める声明を出しているが、その不安がいつ解消されるのかは定かではない。そんなビットスタンプだが、2016年には一部地域の顧客向けに、なんと金地金、すなわちインゴットでの出金オプションを設けている。苦肉の策という見方もあるが、中央銀行にも金融業界にも管理されることがないという点においては、もっとも確実な出金方法とも言えるだろう。もちろん今後拡大していくためには厳しい手段ではあったが、新生ビットスタンプにも、このように業界の常識を覆す挑戦を期待したいものだ。
作成日
:2018.10.30
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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