作成日
:2018.10.26
2021.08.31 15:22
台湾金融監督管理委員会(Financial Supervisory Commission)【以下、FSCと称す】の議長であるWellington Koo氏は、投資プロセスの簡略化やトークンの流動性を高めることを念頭に、ICO(イニシャルコインオファリング)に関する規制草案を作成中であることを明らかにした。草案の完成は来年6月を予定しており、同規制の導入によりICOが株式と同様に、容易に投資ができるようになるということだ。
今回のICO規制案では、全てのトークンが対象となるわけではないようだ。例えば、コンビニエンスストアで商品購入などによって獲得できるポイントや航空会社のサービスを利用することで手に入るマイレージなどのユーティリティトークンは、規制の対象とはならないという。
Koo氏によると、規制の目的はイノベーションを妨げる制度を回避するための予防策でもあり、証券の特性を持たない限り、FSCは仮想通貨市場の創造性や生産性を阻害する意図はないとのことだ。FSCの議長を務めるKoo氏は、中国や韓国のように仮想通貨に関する活動を禁止するつもりは無いことを議会で発言している他、ブロックチェーン技術の開発や適応を促進する方針も示すなど、仮想通貨分野に関して寛容的な姿勢を見せている。
Koo氏と同じ見解をもつひとりである台湾の国会議員Jason Hsu氏は以下の様にコメントしている。
中国や韓国がICOを禁止したからといって、台湾がその流れに沿う必要はありません。仮想通貨の発展は、将来的な経済成長につなげる大きなチャンスです。我々は、証券市場の様に仮想通貨市場を高度な規制と監視で管理する日本を真似るべきです。
Jason Hsu, a Member of Parliament - CCNより引用
今年初めにICOアドバイザリーファームのSatis Groupによって提出された報告書によると、81%のICOが詐欺と識別されているという。
台湾政府もその脅威を認識しており、FSCの方向性を懸念する者も少なからず存在する様だ。release date 2018.10.26
欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)に技術的な助言を授ける立場にある証券市場利害関係者グループ(The Securities and Markets Stakeholders Group)【以下、SMSGと称す】は、今月中旬に36ページにも及ぶレポートを発行し、仮想通貨の実態に沿った規制が必要だと説いている。SMSGの見解によると、ユーティリティトークンも証券としての役割を有さないとは一概には言い難く、その中で譲渡可能なものは既存の証券法の対象とすべきだという。台湾の新しい草案では、どこまで厳密にトークンの種別を定義するかはわからないが、規制が緩ければ必ずそこを突く者が現れることが予測される。仮想通貨に寛容的な台湾だけに、市場からはバランスの良い規制の構築が望まれることは間違いない。
作成日
:2018.10.26
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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