作成日
:2018.10.15
2021.08.31 15:22
韓国では、金融監督院(住所:38 Yeoui-daero, Youngdeungpo-gu, Seoul, 07321, Financial Supervisory Service
)【以下、FSSと称す】が実施する国内のブロックチェーン関連企業を対象にした実態調査の結果に基づき、韓国政府が11月にICO(イニシャルコインオファリング)に関する対応方針を公表する見通しであることが明らかにされた。FSSは、ブロックチェーン関連企業を対象に、マネーロンダリング対策などを含めた仮想通貨への規制対応に取り組むため市場の実態調査に乗り出しており、現行のICOに関する法的枠組みに関する見解の調査においては、複数の企業がICOの準備段階にあることが明らかとなっている。昨年9月には、韓国でICOが禁止されたが、具体的に効力を持つ法律などは未だ設けられていないのが現状で、多数の企業は、国外でICOを実施しており、引き続き国内の投資家達へICOに参加する機会を提供している。この現状に対して、韓国政府は、10月末に出揃う調査の結果を鑑みた上で方針を固めるとしている。
FSSが実施する調査用アンケートには、これまでのICO実績や今後の可能性、実施の理由やトークンの配布方法などについて事細かい質問事項が記されており、対象となる企業は頭を抱えている。FSSは、あくまでも義務ではなく、実態把握を意図しており、制裁のためではないことを強調しているが、企業側は、政府のブラックリストに載る可能性を危惧しつつも、回答を出さざるを得ない状況にあるという。
一方で、金融規制当局である、金融委員会(Financial Service Commission)【以下、FSCと称す】は、ICOに対して揺るがない姿勢を示している。
FSCの議長である、Choi Jhong-ku氏はICOに関して以下のようにコメントしている。
政府は、ブロックチェーン業界を否定しているわけではないのです。しかし、仮想通貨とブロックチェーンを同一視して語る必要は感じられません。多くの人が、ICOは認可されるべきだと言っていますが、不確実で大きな損害につながる危険性がある事実は拭いきれません。
Choi Jhong-ku, Chairman of FSC - BusinessKoreaより引用
Choi氏は、今年1月に仮想通貨取引所と銀行間の取引において実名登録性を義務化した立役者で、国内全ての仮想通貨取引所に適応を試みたが、アップビット、ビットサム、コインワン、コルビットの4つの大手取引所での実施のみに留まっている。Choi氏は、マネーロンダリングでの利用の危険性なども考慮して、実名登録制を徹底できていない銀行を説得する必要があると、あくまでも強気の姿勢を貫いている。
release date 2018.10.15
FSCは、今年9月に国内でのICOを全面的に禁止する方針を発表しており、蔓延する仮想通貨を利用した詐欺に警戒心を露わにしている。確かに仮想通貨への投資は、従来の投資商品に比べて、ブロックチェーン技術や分散型ネットワークといった新しいテクノロジーを利用しているため複雑で、一般的には理解し難い構造となっている。また韓国では、一時国内のビットコイン価格が国外取引所より最大で40%ほども高騰し、仮想通貨が韓国プレミアム価格で取引が行われるなど、国内の仮想通貨に対する関心が強く、市場が再び過熱する事態も懸念されている。また、2016年ごろから、立て続けに発生している韓国取引所のハッキング被害などで大きな損失をだしていることから、仮想通貨には常に負のイメージがつきまとっているため、投資家保護の観点からも政府の対応が厳しくなりがちなのは致し方ないところではある。市場への影響も少なくない韓国政府だけに、市場からは慎重な対応が望まれているだろう。
作成日
:2018.10.15
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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