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韓国中央銀行、プレミアム価格での取引に警鐘

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update 2021.08.31 15:22
韓国中央銀行、プレミアム価格での取引に警鐘

update 2021.08.31 15:22

投機熱の高まりにより国外との価格差が40%以上にも

9月11日に韓国の中央銀行が発行した最新のレポートでは、韓国市場では主要な仮想通貨が海外と比べて、割高のプレミアム価格で取引されるリスクを依然として抱えていることを警告している。現在の国内市場は落ち着きを取り戻しているが、再度需要が高まればまた、以前のような国内外の価格差が拡大する事態に陥ることが予測される。

世界中のメディアで、このような韓国市場特有の仮想通貨、特にビットコインにおける価格差をキムチプレミアムと称している。同時期のアメリカドル建てのビットコイン価格は、世界平均よりも0.31%、ユーロ建ては0.19%、割安に取引されていることから、韓国市場の過熱ぶりが際立って見て取れる。また、去年12月から今年1月にかけて、イーサリアム(Ethereum)、リップル(Ripple)、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)などの通貨も、韓国市場では軒並み高値で取引されていた。

このプレミアム価格の原因は、仮想通貨への投機的な需要の高まりと言われており、特に2017年12月にビットコイン価格が高騰したことが、韓国市場の関心を大きく引き寄せ、世界的な仮想通貨ブームに乗る形で熱狂の渦へと巻き込まれて行った。当時の韓国国内の仮想通貨市場では韓国ウォンが溢れかえり、2018年1月以前に仮想通貨のグローバル価格が大幅に変動した時、韓国での価格の乱高下はそれ以上のものだった。

理由の一つとして、韓国の投資家たちがグローバル価格のトレンドを後追いしていた為に起こったとの見解が報告されている。韓国市場では金融機関の市場参入よりも、仮想通貨取引で利益を狙う個人投資家の影響が大きく、仮想通貨の取引量に上限があることから、需要過多に傾いていた。さらに、ビットコイン送金手数料の高騰も投資家の保有ポジションの清算を滞らせ、韓国市場でのキムチプレミアムに拍車をかけた。

韓国政府は、マネーロンダリングや脱税を防止する目的で取引所への実名登録制の実施や、仮想通貨を取引するための資金送金額の制限(Foreign Exchange Transactions Act)など、仮想通貨取引に対しての規制を行なっており、結果的にさらなる需要増加を一時的に抑制することに成功している。しかしながら、このような規制は国内と海外との価格差に対する根本的な問題解決には至っておらず、再び仮想通貨市場が加熱し供給不足となれば、また韓国の仮想通貨価格はグローバル価格との大幅な価格差を生み出すだろう。

release date 2018.9.12

ニュースコメント

韓国における仮想通貨への新しい取り組み

韓国は世界第4位の取引量を誇るほど、仮想通貨取引が盛んに行われている国である。 昨年末から急激に仮想通貨への投機熱が高まっており、グローバル価格を大幅に上回る価格(キムチプレミアム)で取引されるなど、韓国国民の仮想通貨に対する熱狂ぶりが伺える。こうした韓国で、仮想通貨に対する新しい取り組みが話題を呼んでいる。
韓国地方自治体のひとつである慶尚北道は、地方経済の活性化と資本移動の防止を目的として、独自通貨、慶北コインの発行計画を進めており、すでに約9000万ドル相当の独自コインが商品券として発行されている。また、今年6月に起こった韓国大手仮想通貨取引所のBithumbやCoinrailのハッキング被害を受け、韓国大手保険会社のハンファ損害保険が、ハッキング被害を補償する保険の開発を新たに取り組んでいることが発表された。韓国政府が仮想通貨に対する規制を強化する一方で、国内では仮想通貨を利用した新しい取り組みが今後も活発になっていくことが予想される。


Date

作成日

2018.09.12

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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