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ESMA、今年中を目処に欧州市場でのICO規制を検討

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update 2021.08.31 15:22
ESMA、今年中を目処に欧州市場でのICO規制を検討

update 2021.08.31 15:22

デジタル資産を金融商品とみなし広い視点での規制を進める構え

フランスのパリに本部を置く欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、欧州市場で急速に広まるICO(イニシャルコインオファリング)に対し、今年中に規制する方針であることを明らかにした。

ESMAは、これまでICOプロジェクトへの過度な締め付けは控えてきたが、ICOにおける現状の問題点として、投資家がICO投資に伴うリスクを深く理解できていないことや、EUの法律や規制の保護下にないことを懸念しており、現在は規制外にある仮想通貨も本来であればケースバイケースで審査されるべき対象であるとし、広い視点でデジタル資産を管理するべく規制の整備を目指すことを決定したようだ。

ESMAの議長であるSteven Maijoor氏は、今回の規制検討に関して以下のようにコメントしている。

ICOの中には金融商品のような特性を持ったものも存在します。それらは、既存の金融法の下で管理されるべき対象だと言えます。今後は、どのようにICOと付き合っていくべきなのか考慮する必要があります。

Steven Maijoor, Chairman of ESMA - The New York Timesより引用

EUでは、仮想通貨取引所などの事業者をアンチマネーロンダリングおよびテロ資金対策法の下で管理することを望んでおり、やや強硬な姿勢を見せている一方で、国家単位で見ると、フランスが仮想通貨への課税率を引き下げることを決定するなど幾分好意的な国も見られる。

仮想通貨に関する方針を欧州すべての国々で統一させることは難しく、各国は独自の対応を推し進めている状況だが、全般的に言えるのは許可のない仮想通貨取引所は厳しく取り締まられているということである。欧州全体の基準となる汎用的な法律が存在しないことが、規制方針統一の妨げとなっているのは明白で、ドイツとフランスが仮想通貨の規制を提案するなどしているが、未だ実現できていないのが現状だ。異なる組織や国家の思惑が渦巻く欧州の仮想通貨事情だが、果たして規制に関してコンセンサスを形成することはできるのか、今後も動向を見守りたい。

release date 2018.10.9

ニュースコメント

ESMAによる仮想通貨市場へのアプローチは功を奏すか

ESMAは、欧州内の海外FXブローカーを対象に、CFD取引のレバレッジ低減、バイナリーオプション取引禁止、ボーナスやリベートを引き換えにしたインセンティブトレード禁止などの規制を施しており、先月末にはこのESMAの新規制の期間延長を発表している。この規制は、取引量が収益の多寡に直結するブローカーにとっては痛手となっているようだが、ESMAは投資家保護を目的に厳しい姿勢を貫いている。仮想通貨市場において、どれほどの強度で規制をかけるべきかは未知数とも言えるが、行きすぎた規制は事業者にとってはあまり良いことではない。最近では、欧州市場でもデューカスコピー銀行やユベントスFCでのICO計画が相次いで報道されており、仮想通貨の有効利用が進んでいるように思える。多数の芽が育ちつつあるだけに、規制で苗床を潰してしまうこともないだろうが、今後、ESMAが仮想通貨市場でどのような舵取りを行うのか注目していきたい。


Date

作成日

2018.10.09

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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