作成日
:2018.02.28
2021.08.31 15:23
マレーシア中央銀行は、仮想通貨取引所の匿名性を重視した顧客受け入れ態勢を懸念し、国内の仮想通貨取引所に対し、顧客の個人情報を登録する際に遵守すべきKYC(Know Your Customer、顧客管理)要件の詳細を正式に発表した。
これまで、小売ブローカーや主に機関投資家を顧客とするブローカーは、長年に渡りマネーロンダリング対策(AML)の規制を遵守し、顧客の個人情報を収集してきた。これに対し、仮想通貨業界では、匿名性が貴重な資産となっていることから、各取引所は、これまで個人情報に対して厳しい条件を設けることなく、顧客を受け入れてきた経緯がある。
しかし今後は、今回発表されたKYC要件を満たすために、マレーシア国内で仮想通貨取引のサービスを提供している全ての取引所は、顧客に身分証の提出を義務付け、顧客の身元を特定して確認する必要がある。確認すべき項目には、国民IDカード番号、住所、生年月日、国籍、顧客氏名の他に、取引の目的を記載する項目も含まれている。
これは、今年初めにマレーシア政府によって可決され、2月27日に発効された新たなマネーロンダリング防止法に基づく動きであるといえる。
昨今の仮想通貨業界は、様々な管轄区域から多くの規制要求を受け対応に苦慮している。特に顧客サービスに関する要求内容においては、取引所のサポートデスクも過負荷状態であるようだ。顧客管理の強化はKYC要件を追加しただけでは十分でなく、また、これに加え取引所は顧客の信ぴょう性を検証するための追加リソースの導入が必要となる。そのため、仮想通貨取引所は、人員増員または顧客管理プロセスを担う信頼できるパートナーを探す必要が出てくるだろう。
規制の枠組みは、主に仮想通貨におけるマネーロンダリングの側面に焦点を当てていることから、仮想通貨取引を提供する機関に対し、更に厳しい要件を課す方向に動いているようだ。
release date 2018.2.28
作成日
:2018.02.28
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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