作成日
:2022.05.31
2024.07.05 21:01
ユーザーにとって利便性の高いMetaTrader4(MT4)は2005年に開発されたもので、近いうちに利用できなくなるのではないかとの不安の声が上がっています。
実は、メタクォーツ社(MetaQuotes)は2018年1月に既にMT4を段階的に廃止する方針を明らかにしており、MetaTrader5(MT5)への移行を目指しています。
メタクォーツ社は2022年現在でもMT4のセキュリティアップデートやバグの修正などは対応しており、完全にサポート終了する日時は公表していません。しかし、新規機能の開発は終了しており、MT5への移行を推奨しています。
将来的にはMT4廃止が見込まれていることも背景に海外FX業者は続々とMT5に対応しています。しかし、完全にMT4が使えなくなる時期は明示されていないことから、引き続きMT4を利用するユーザーも多い状況です。
この記事では、メタクオーツ社の移行の方針や、MT4への移行が進まない理由などを解説します。
2022年9月24日、アップルストアでMT4/MT5の取り扱いが停止されました。アップルストアで「メタトレーダー」を検索しても、MT4・MT5ともに表示されない状態です。この事態を受けて、各社の独自アプリやブラウザで利用できるウェブトレーダーの利用が増加しています。
MetaTrader4(MT4)とMetaTrader5(MT5)はどちらも、メタクォーツ(MetaQuotes)社が開発した取引プラットフォームです。MT4が2005年にリリースされ、MT5はその後継版として2010年にリリースされました。
気配値表示やナビゲータなど、画面の配置や操作性はMT4との共通点も多く、MT4利用者であれば比較的スムーズに利用することができます。
MT4のリリースから13年後の2018年、メタクォーツ社は、「MT4は時代遅れのプラットフォームであり、業界の期待に沿えなくなった」ことを理由に段階的に廃止する方針を決定しています。現在は完全にサポート終了しているわけではありませんが、バグの修正等に限定されています。
メタクォーツ社は、2018年1月に新規ブローカーに対するMetaTrader4の提供廃止を発表しています。これにより、2018年以降、メタクォーツ社との契約を2018年以降にした場合、MT4の提供はできず、MT5のみを提供するようになっています。
仮想通貨に注力していることで知名度があるFXGT(エフエックスジーティ)は2019年に設立された新興ブローカーです。メタクォーツ社が新規顧客へのMT4の提供を廃止したあとに設立されたブローカーであるため、取引プラットフォームはMT5のみです。今後設立されるブローカーは、原則MT5のみの提供となり、業界全体でMT5へと移行させるというのがメタクォーツ社の狙いのようです。
MT4の提供廃止は新規ブローカーに対してであり、契約中の既存ブローカーはMT4を継続利用することができます。完全なサポート終了ではないため、この廃止がユーザーのMT5の移行への決定打とはなっていません。
メタクォーツ社は、MT4やMT5のバージョンアップを継続して行っており、ユーザーが自身のPCでアップデートを拒否すれば、旧バージョンを使い続けることもできます。
しかし、古いバージョンのMT4は順次サポートが終了され、利用が不可能になっています。
2021年8月25日には「MetaTrader4 Build1320以前のバージョン」サポートが終了することが発表されています。Build1320以前のMT4は、2021年10月1日以降サポートが停止され、ログインもできなくなりました。MT4を利用する場合は、1320より後のバージョンを利用することになります。
メタクォーツ社はMT4の新規開発を終了しており、今後は不具合修正やセキュリティ強化のみの対応であることを発表しています。しかし、最新バージョンを含めていずれ全てのMT4が利用できなくなるのかどうかについては特に発表を行っていません。
MT5も10年以上前に開発された取引プラットフォームであり、ユーザーの間からは、近いうちに後継機としてMetaTrader6(MT6)がリリースされるのではないかと予想する人もいます。
しかし、メタクオーツ社は今のところ、MT5のアップデートを積極的に行っており、MT6の開発を行っているという情報はありません。
MT5は、動作スピードも早く、今の時代でも十分利用できる取引プラットフォームであるため、当面はMT5を使い続けられると考えて問題ないでしょう。
MT4のサポートを段階的に打ち切ることでメタクォーツ(MetaQuotes)社は積極的にMetaTrader5(MT5)への移行を促してはいますが、実際のMT4からMT5への移行はメタクォーツ社の期待ほどに進んでいません。
それには、以下の理由が考えられます。
1つ目は、MT4の完成度が非常に高かったということが考えられます。
2005年にリリースされたMT4は、シンプルな操作性を持ち、テクニカルチャートやオブジェクトの表示が充実しており、FX取引に十分な機能をしっかりと備えていました。
一方、MT5はMT4の後継版として一部機能が改善されているものの、基本的な操作性ではMT4とほとんど変わらず、既存ユーザーにとってMT5への移行のメリットが感じられなかったことが要因の1つです。既存のユーザーにとって、それほど機能に不満がないのであれば、MT4を利用し続けるというのは自然な選択といえます。
エキスパートアドバイザ(EA)やカスタムインディケータは、メタクォーツ社が提供しているものではなく、MT4/MT5のプログラム言語であるMQL4/MQL5を利用してプログラムを作成します。しかし、MT4とMT5はプログラム言語が異なっており、MT5で利用するためにはMT5のプログラム言語であるMQL5で作成し直す必要があります。
MQL5に対応できる作成者が少ないことから、MT5用のEA・インディケータがあまり販売されておらず、入手しづらい状況です。
このため、こうしたツールを引き続き利用したいユーザーは、MT5へ移行しにくいという事情があります。
2020年頃からメタクォーツ(MetaQuotes)社によるサービス改善等を受け、最近になってMetaTrader5(MT5)を導入するFXブローカーの数は増えつつあります。
当初、XMTrading (エックスエムトレーディング)やExness(エクスネス)といった大手ブローカーが先駆けてMT5を導入していましたが、その他の海外FX業者も続々とMT5の提供を開始しています。
大手・中堅問わず海外FX業者がこぞってMT5を導入している背景には、導入しないと顧客を逃してしまうリスクがあるからだと考えられます。MT5を希望するトレーダーが他の海外FX業者を検討している場合、MT5に非対応だと選択肢から外れる可能性が高まります。
その他、多くの海外FX業者がMT5を導入している中で、MT4しか提供していなければ、古いサービスを提供しているという印象を持たれてしまうでしょう。さらに、今後MT5が主流となって、メタクォーツ社がMT4のサポートを完全に打ち切った場合、MT4しか利用できなければ顧客がいなくなり、大きな損失が発生してしまいます。
MetaTrader5(MT5)は近年は拡張機能の追加によって、ユーザーからの人気も着実に高まりつつあります。具体的には以下のとおりです。
MT5はMetaTrader4(MT4)と比較すると、基本的な各種機能が充実しています。
項目 | MT4 | MT5 |
表示できる時間足 | 9 | 21 |
テクニカルインディケータ | 30 | 40 |
オブジェクト | 30 | 38 |
一括決済機能 | × | 〇 |
経済カレンダー | × | 〇 |
表示できる時間足
MT4 | MT5 |
---|---|
9 | 21 |
テクニカルインディケータ
MT4 | MT5 |
---|---|
30 | 40 |
オブジェクト
MT4 | MT5 |
---|---|
30 | 38 |
一括決済機能
MT4 | MT5 |
---|---|
× | 〇 |
経済カレンダー
MT4 | MT5 |
---|---|
× | 〇 |
テクニカルインディケータの数は、MT4が31種類なのに対してMT5は40種類と大きく増加しています。また、オブジェクトの種類はMT4が30種類なのに対してMT5は38種類となり、表示できる時間足の種類についてもMT4は9種類、MT5は21種類と選択肢が大きく広がりました。
MT4は決済機能に弱点があり、複数のポジションを保有している場合、1つずつポジションを決済しなければならない仕様になっていました。この決済機能の弱点により、超短期取引スタイルであるスキャルピングをするトレーダーの中には、MT4ではなく、決済機能が充実しているcTraderを好んで利用している人もいます。
2022年5月にMT5のアップデートが実施され、MT5に一括決済・注文機能が追加されました。ポジションの一括決済はもちろん、10種類以上の一括決済・注文機能が利用できるようになっています。
重要な指標発表経済カレンダーといったサポート情報もMT5の機能に追加され、これらの情報を見るためにブラウザに切り替えて外部サイトを参照する必要もなくなりました。
スマートフォンアプリ版「MT4/MT5」では、インディケータやオブジェクトを利用した本格的なトレードが可能です。スマートフォンでのインターネット利用が主流になりつつある昨今、メタクォーツ(MetaQuotes)社もスマートフォンアプリの開発に力を入れています。
PC版MT5よりも表示できるインディケータやオブジェクトの種類は少なく、画面は小さいですが、基本的な機能はしっかりと備わっています。また、MT5版アプリには、ワンクリック注文機能などMT4版アプリにはなかった機能が追加されています。
全体的な機能面でも、MT5の方が充実しているといえるでしょう。
メタクォーツ(MetaQuotes)社は2018年よりMetaTrader4(MT4)廃止に向けた動きをしていますが、海外FX業者も2020年に入って続々とMetaTrader5(MT5)の導入を開始しています。
まだMT4が完全廃止されるとの情報は入っていませんが、2018年に段階的な廃止が決定されていることから、ずっと使い続けられることが保証されているわけではありません。
多くの海外FX業者がMT5に対応していますので、今後の完全移行に備えてMT5を利用してみるのがおすすめです。
当サイトMyforex(マイフォレックス)では、MT5の使い方を詳細に解説した、「MetaTrader5 ご利用ガイド」を公開しています。
作成日
:2022.05.31
最終更新
:2024.07.05
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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