作成日
:2017.10.24
2022.01.28 12:22
10月23日、イスラエルにおけるバイナリーオプション業者の活動を禁止する法案が可決された。最終投票は、夏季休暇に入り延期されていたが、イスラエルの国会であるクネセトにて冬季会期の初日に行われ、全会一致の53対0で可決された。これにより、バイナリーオプションに関する新法案は、3ヶ月後の2018年1月末から法律化されることになる。
イスラエルのバイナリーオプション法は、イスラエル証券庁(Israel Securities Authority)によって既存の法律の内容を修正した法案から起草されており、バイナリーオプションのみを禁止する内容に修正されることになった。イスラエルを拠点とするバイナリーオプション業者の支援を受けた資金力のあるロビイストが条項の削除を求めていたが、その要求は通らず、法案は、バイナリーオプションに加えて、バイナリーオプション取引に必要なソフトウェアサービスの提供、バイナリーオプションの取引を目的とした支払いサービスの提供、バイナリーオプションサービスのマーケティング活動などの、バイナリーオプションビジネスに関連するすべての業務が禁止の対象となった。
法案が可決したことで、イスラエル国内外の顧客を対象としたバイナリーオプションのブローカー業務は、罰則の対象となり、最高2年の懲役刑が処せられ、さらに、アンチマネーロンダリング法(AML)を違反しているとみなされた場合は、懲役刑の刑期や罰金額が加重されることもある。
新法案においても、既存のバイナリーオプション業者を運営する者が他のサービス提供ブローカーへと転身し、引き続き活動を続けることは可能であり、事実、バイナリーオプションブローカーのオーナーなど多くの者は、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨サービスを提供するブローカーに転身するなどしており、中にはICO詐欺を行い次のビジネスへ向けて資金調達をしようとしている者も存在しているようだ。
新法案の法律化により、イスラエルのバイナリーオプションは全面禁止となるため、法案制定を前に、バイナリーオプション業者はキプロスやウクライナなどへ移転している。バイナリーオプションは、中国など一部の地域にて盛んに取引されているが、これらはイスラエルを基盤としたプラットフォーム上で取引が行われていることが多く、残りのバイナリーオプション業者も今後活動の場を移していくことが考えられる。
release date 2017.10.24
作成日
:2017.10.24
最終更新
:2022.01.28
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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