Select Language

マルタ金融当局がリテール顧客の利用可能な最大レバレッジを1:50に引き下げ

マルタ金融当局がリテール顧客の利用可能な最大レバレッジを1:50に引き下げ

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.28 13:07
マルタ金融当局がリテール顧客の利用可能な最大レバレッジを1:50に引き下げ

update 2022.01.28 13:07

顧客保護を目的に、レバレッジ規制とブローカーの最低資本金の引き上げを実施

2017年4月3日、マルタ金融当局(本社:Notabile Road BKR3000 Attard Malta)【The Malta Financial Services Authority、以下、MFSAと称す】は、ブローカー規制におけるレギュレーション変更に関する声明を出し、レバレッジの引き下げとブローカーの最低資本金の引き上げを実施することを発表した。

今回のレバレッジ規制において、MFSAは、顧客区分を設けており、リテール顧客が利用できる最大レバレッジを1:50まで引き下げ、金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive) 【以下、MiFID と称す】の規制の元、認定された顧客に対しては、最大レバレッジを1:100に引き下げることを発表した。
MiFIDとは、EU域内の金融機関や提供サービス等を規定する規制のことであり、投資家保護の観点では、各国の規則よりも厳しい内容とされている。

ハイレバレッジによる損益の増幅は、損失リスクを拡大させ、最初の入金額以上の損失が発生する恐れがある中で、オンライン金融サービスでは、リスクを十分に理解できていない顧客が更に大きなリスクを負うことが指摘されている。レバレッジを引き下げることで、ブローカー側にてリスク管理が行われ、顧客の損失リスクの軽減が実現できることを、今回のレバレッジ規制の最大の目的としている。

MFSAは、ブローカーの最低資本金の引き上げについても、カテゴリー2のライセンスを取得するのに必要な最低資本金を125,000ユーロから、カテゴリー3のライセンスの条件である730,000ユーロへ引き上げることを発表した。 顧客が抱える取引リスクの面を考慮して、ライセンス付与条件を厳格化したようである。

MFSAは、今回の2つのレギュレーション変更を、投資家保護という観点から定めた決断であることを主張している。
これらレギュレーション変更は、2017年10月3日より有効になるということである。

release date 2017.04.03

ニュースコメント

MFSAがレギュレーション変更に至った背景

今回、MFSAにおけるレギュレーション変更の動きは、EU各国やその他の国々での規制当局によるFX・CFD取引におけるリスクに関する協議や、各国のガイドライン見直し等の影響が原因にあるようだ。レバレッジ制限においても、英国金融サービス機構(The UK Financial Conduct Authority)やキプロス証券取引委員会(CySEC)によるガイドラインの見直し内容と類似している。 今後も投資家保護を目的にレバレッジ規制を実施する規制当局が増えていくのか、各国の規制当局の動向に注目していきたいところである。

新たな政策、資本金の引き上げは投資家保護に有効か...

MFSAライセンスは、取り扱うことのできる金融サービス内容によって、カテゴリ1から4で区別されている。カテゴリ毎に、ライセンス取得時の最低資本金や、申請条件などが異なっており、今回のレギュレーション変更は、MiFIDの元、マルタ国内外に金融サービスの提供が認可されているカテゴリー2とカテゴリー3に関連している。カテゴリー2で取り扱える金融サービス内容は、カテゴリー3に比べて狭まることから、リスク面も低いとされていたのだが、今回MFSAは、新たにリスク面を見直したのである。

レバレッジ制限については、各国の規制当局で見直しや規制の実施が行われているものの、最低資本金の引き上げについては、他の規制当局にはみられない動きである。MFSAは、資本金の引き上げに関しても、投資家保護の目的を主張しているが、投資家保護を目的にするのであれば、もっと別の方法があるのではないかと少々疑問を感じるところである。資本金の引き上げがブローカーにとって、大きなデメリットになった場合、今後MFSAのライセンスは、あまり魅力がなくなってくるのではないだろうか。


Date

作成日

2017.04.03

Update

最終更新

2022.01.28

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

海外FX業者Exnessへの入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExness(エクスネス)で国内銀行送金による入出金を行ったことをきっかけに、銀行口座が凍結されるケースがSNS上で話題になっています。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

海外FXに「兵糧攻め」、bitbank・エポスの利用規制で仮想通貨送金にさらに注目集まる

bitbankが利用規約を一部改定し、今後は海外FXへの直接送金が難しくなりました。エポスカードもFXの利用停止を発表したほか、国内銀行口座の凍結事例も増加しています。こうした背景から、海外FXユーザーは入出金経路の見直しが急務となっています。
update2025.07.04 19:00

スマホ用MT5でZigZagが使える!iOS版に平均足ほか新機能が複数追加

iOS版MT5に待望の新機能が複数追加されたことにより、平均足チャート、ZigZag、マーケットプロファイルの実装に加え、データウィンドウ強化や取引レポート機能など視認性と操作性が向上しました。アップデート内容とトレードスタイルごとの活用例などを紹介していきます。
update2025.07.09 19:30

FXONが「Nintendo Switch 2 争奪キャンペーン」を開催!入金&取引で豪華賞品をプレゼント

FXONが「Nintendo Switch 2 争奪キャンペーン」の開催を発表しました。本キャンペーンでは「Switch 2」のほか、豪華賞品が抽選でプレゼントされます。取引を重ねるごとに抽選権利がもらえる仕組みで、取引するほど当選確率がアップします。
update2025.07.16 19:00

Exnessでスワップフリーが突如剥奪されるバグ発生、対象者には補償予定

海外FX業者のExnessで突如スワップフリーが剥奪されたとするXの投稿が注目を集めています。Exnessはシステムのバグが原因と説明しており、スワップが発生したユーザーに対して補償する方針を示しています。
update2025.07.18 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル