作成日
:2025.01.21
2025.01.21 14:19
MTF分析(マルチタイムフレーム分析)は、複数の時間足を組み合わせて相場全体を把握する分析方法です。MTF分析は、相場の世界で生き抜くうえで必要不可欠と言っても過言ではないほど、トレーダーにとって重要なものといえます。
トレードにMTF分析を取り入れると、複数の時間足を組み合わせた分析により相場の全体像を把握でき、エントリーの方向やタイミングを掴みやすくなります。
慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、身に付ければ必ず役に立つので、ぜひ身に付けていただきたいと思います。この記事では、MTF分析をより簡単に行うための便利なツール「MTF-MA」について詳しく解説していきます。
上位足の移動平均線でマルチタイムフレーム(MTF)分析をする理由は、相場の全体像を把握し、エントリータイミングを掴みやすくするとともに、リスク回避にもつながるためです。
移動平均線(MA)はトレンドの方向性や強さを視覚的に把握しやすいインディケータです。特に、「20SMA」や「200SMA」といった期間のMAは、サポートやレジスタンスとして機能しやすいため、MTF分析と相性が良いツールとして活用されています。
以下のチャートは、移動平均線(MA)を使ったマルチタイムフレーム(MTF)分析の一例です。ドル円の4時間足では20SMAが下落し、ローソク足がMAの下に位置していることから、下降トレンド中であると判断できます。
このようにMTF分析をしておくことで、1時間足で20SMAをローソク足が上抜け、さらに直近の抵抗も上抜けたとしても、その後下落する可能性が高いという予測がたてられます。
また、MAはサポート・レジスタンスとして機能することもあります。例えば1時間足のローソク足が20SMAを下抜けしていますが、4時間足ではMAが上昇トレンドを示しています。
このように、上位足のトレンドを確認しておくことで、短期的な下降に騙されにくくなります。
MAに限らず、ボリンジャーバンドを始めとする他のインディケータもMTF分析で活用できます。
下図はボリンジャーバンドを活用したMTF分析の一例です。1時間足だけを監視していると、直近の目立つ高値付近の水準で上ヒゲ陰線が出現しています。
さらにバンドが収束しているため、逆張りの売りをしても良いタイミングに見えます。しかし、上位足の4時間足ではバンド幅が拡大しているため、これからトレンドが発生する可能性が高く、このタイミングでの売りはリスクが高いことが分かります。
1つの時間軸だけでなく複数の時間軸を確認することで、不要なエントリーを防げる場合があるため、損失の機会を減らすことが可能です。
ボリンジャーバンドには、バンド幅が収束する「スクイーズ」と、バンド幅が拡大する「エクスパンション」があります。
バンド幅が狭くなる「スクイーズ」では、価格変動が抑えられ、トレンドの転換や新しいトレンドの開始を示唆する場合があります。一方、バンド幅が広がる「エクスパンション」では、現在のトレンドが強まる可能性が高いことを意味します。
移動平均線を使ってマルチタイムフレーム(MTF)分析をする方法の1つとして、上位足のMAを、下位足に換算して表示させる方法があります。
例えば、1時間足20SMAを5分足に表示させたい場合を考えてみます。この時、1時間足は5分足×12本であるため、5分足には、20SMA×12=240 SMAを表示させれば良いです。
このように計算することで上位足の移動平均線を下位足に表示させることは可能ですが、この方法には以下のような課題があります。
移動平均線を使って手動でMTF分析をしようとすると、計算ミスをしたりチャートが複雑になったりするでしょう。
この課題を解決する1つの方法として、カスタムインディケータを使用する方法があります。カスタムインディケータを使えば、上記の計算や設定が簡単になり、手動よりも正確なMTF分析を行うことが可能になります。
MTF分析を行う際は、表示する時間足を切り替えながら分析するのが一般的です。しかし、この従来のやり方だと、計算が面倒だったり、トレンドの変化に気付きにくかったりという課題があります。
そこで、皆さんに試していただきたいのが「MTF-MA」のカスタムインディケータです。MTF-MAは上位足のMAを下位足チャートに表示できるカスタムインディケータです。
MTF-MAを使用すると、1つのチャート画面でMAを使ったMTF分析を行えるため、楽に分析できるようになります。
下図は、MTF-MAを利用して1時間足チャートに日足と4時間足、1時間足それぞれの20SMAを表示した例です。
わざわざチャートを切り替えなくても、1つのチャート画面で別の時間軸の移動平均線が確認できます。
MTF-MAは、MAの設定変更が非常に簡単なため、時間足ごとにそれぞれのMAを手動で計算して設定するよりも楽になるでしょう。
パラメータを変更すると、参照する時間足や設定期間だけではなく、MAの種類や適用価格も変更できます。
MTF-MAの中には、移動平均線(MA)以外のインディケータをMTF表示できる機能をもったものも存在します。下図は、Myforexの上位足インディケータ(トレンド系)を使用し、MAと合わせて、パラボリックSARとボリンジャーバンドをMTF表示した例です。
移動平均線以外もMTF表示できるタイプのインディケータであれば、移動平均線を普段使わない人でも利用しやすいでしょう。
今回、MTF-MAの機能を持つ無料のカスタムインディケータを4つ選び、実際に使用してみました。それぞれの使用感を紹介します。
ツール名 | 対応インディケータ | 対応プラットフォーム |
---|---|---|
MT4/MT5 MTF_MA | MA(*1) |
MT4/MT5 |
MTFMASmoothed | ||
MAs_MTF_Slope_Color_toggle | MT4 | |
上位足インディケータ (トレンド系) |
MA(*1)
ボリンジャーバンド
パラボリックSAR
|
MT4/MT5 |
MT4/MT5 MTF_MA | MA(SMA、EMA、SMMA、LMA) |
---|---|
MTFMASmoothed | MA(SMA、EMA、SMMA、LMA) |
MAs_MTF_Slope_Color_toggle | MA(SMA、EMA、SMMA、LMA) |
上位足インディケータ(トレンド系) |
MA(SMA、EMA、SMMA、LMA)
ボリンジャーバンド
パラボリックSAR
|
MT4/MT5 MTF_MA | MT4/MT5 |
---|---|
MTFMASmoothed | MT4/MT5 |
MAs_MTF_Slope_Color_toggle | MT4 |
上位足インディケータ(トレンド系) | MT4/MT5 |
(*1)(SMA、EMA、SMMA、LMA)
移動平均線(MA)は、相場分析でよく使われる基本的なインディケータですが、その計算方法によって以下の4種類に分類されます。
各種類には特徴があり、トレードスタイルや分析の目的に応じて使い分けることが重要です。一般的にはSMA(単純移動平均線)が広く使われているため、初心者の方は迷ったらSMAを選択すると良いでしょう。
MT4/MT5 MTF_MAは、非常にシンプルなMTF-MAツールです。
余計な機能を省いており、チャート操作がスムーズに行える点が魅力です。設定項目は直感的に操作できるため、初心者でも扱いやすい仕様になっています。
実際に使用してみると、MA以外の機能が付いていないため処理に時間がかかることもありませんでした。動作の軽さやシンプルさを重視する方には合っているでしょう。
パラメータの設定項目数が少なくシンプルで一見物足りなく見えるかもしれませんが、MAの種類や適用価格も設定可能なため、MAを使った手法に幅広く対応できます。
MAはステップ表示とスロープ表示の切り替えが可能となっているので、お好みの表示形体で分析可能となっています。
例えば「Drawing mode」を「Slope」に設定すると、以下のようになめらかなラインが表示できます。
MT4/MT5 MTF_MAは、以下のような方におすすめです。
一方、MA以外のインディケータも使いたい場合や、複数の高度な機能を求めている場合は、他のツールを検討したほうが良いでしょう。
MTFMASmoothedは、現在値とMAの値幅を確認できるMTF-MAツールです。
実際に使ってみると、以下のように現在値とMAの値幅がリアルタイムで表示されるため、リスクリワードを計算しながらトレードを進める際に非常に便利だと感じました。
さらに、ショートカット機能でMAの表示/非表示を切り替えることができるため、必要な情報だけを瞬時に表示させることが可能です。ただし、複数のMAを同時に使用する場合、それぞれのショートカットキーを覚える必要があるため、少々煩雑に感じることもあります。
このインディケータは、以下のような方におすすめです。
一方で、値幅表示の機能が必要ない場合や、シンプルなインディケータを求める方には向いていません。他のツールも検討することをおすすめします。
MAs_MTF_Slope_Color_toggleは、最大6本のMTF-MAを同時に表示できる便利なインディケータです。複数のMAを一括で管理しやすい点が大きな特徴で、トレンドの傾向を色で表示して視覚的に分かりやすくなっています。
実際に使ってみると、一度の設定で複数のMAを一括表示できるため、時間足を切り替えずにトレンドの把握やエントリーポイントの分析がスムーズに行える点が便利でした。
多数のMTF-MAを活用した例が下図です。15分足を表示したまま、日足と4時間足20SMAに気を払いつつ、1時間足のパーフェクトオーダーの状態を確認するという想定で5本のMAを表示しています。
多数のMAを表示すると、ローソク足やオブジェクトが見にくくなるという難点がありますが、本インディケータは表示のON/OFFをワンクリックで切り替えられる機能がついています。
MA以外に集中したい時には、チャート左上のボタンをクリックすることで手軽に表示を消すことができます。
複数本のMTF-MAを使用したい人にとって便利なツールですが、MT5には対応していないため、MT5を使っている人は他のツールを検討する必要があります。
このインディケータは、以下のような方におすすめです。
本ツールはMT4のみ対応のため、MT5を主に使用している方は使用できません。
上位足インディケータ(トレンド系)は、MAに加えてボリンジャーバンドやパラボリックSARのMTF表示にも対応しており、複数のトレンド系インディケータを一括で活用できるのが特徴です。
上位足インディケータのパフォーマンスを最大限に活用するため、MAに限らずボリンジャーバンドとパラボリックSARも併せて試用してみました。実際にチャート画面に表示すると以下のようになります。
MAに加えてボリンジャーバンドも確認できるため、トレンドの状態をより把握しやすい点が好印象です。また、上位足のパラボリックSARで長期的なトレンドの転換を確認することもできます。
MAとボリンジャーバンド、パラボリックSARはそれぞれ表示のON/OFFが切り替えられるので、必要なものだけ表示できる点も便利でした。
このインディケータは以下のようなトレーダーにおすすめです。
一方で、複数のインディケータを同時に表示できる反面、チャートが複雑になってしまう点はデメリットかもしれません。チャートをスッキリさせたい人や、処理が軽いインディケータを探している人には向かないでしょう。
これからトレードを続けていく中で、MAだけでは十分な分析ができないケースもあるでしょう。そのような場合は、ボリンジャーバンドやパラボリックSARなど、他のインディケータをMTF表示した方が分析しやすいかもしれません。
その際に、上位足インディケータの使い方に慣れておけば、他のインディケータを使ったMTF分析もしやすくなるでしょう。今はMAの機能のみがあれば十分という場合でも、その他の機能にこだわりがなければ上位足インディケータを使うことをおすすめします。
上位足インディケータ(トレンド系)
上位足インディケータ(トレンド系)は、表示している銘柄のチャート上に、チャートの時間足と同じかそれより上位の時間足のテクニカル指標の値を表示できるインディケータです。
また、Myforexでは上位足インディケータ(オシレーター系)というインディケータも提供しています。オシレーター系を使用すると、MACDとRSI、ストキャスティクスのMTF表示が可能です。
トレンド系とオシレーター系のインディケータそれぞれの特徴を活かすことで、より精度の高いトレードが可能となるでしょう。
せっかくMTF-MAを利用するのであれば、パフォーマンスを最大限に発揮させられるように設定にこだわりましょう。設定の際は、以下2つのポイントを心がけてみてください。
より精度の高い分析をするためには、MTF_MAは適度な時間軸で設定することをおすすめします。なぜなら実際にトレードする時間足と表示するMAの時間足が離れすぎている場合、分析が上手くいかないことが多いからです。
例えば、5分足レベルでのトレードをする時に4時間足のMAやボリンジャーバンドを表示しても、値動きの規模がかけ離れているため参考になりません。4時間足のMAは上昇トレンド中でも、5分足レベルでは大きい規模の逆行をすることが多々あります。
下図は、5分足チャートに4時間足の20SMAとボリンジャーバンドを表示した例です。4時間足の20SMAが上向きでボリンジャーバンドが広がっている最中であり、長期的には上昇が期待できます。
しかし、5分足では図のように下落トレンドが連続して発生しているため、短期的には下落基調です。4時間足のボリンジャーバンドを参考にロングをしても、短期的には良い結果にはならないでしょう。
下図のように、5分足であれば15分足や1時間足のMAを使うなど、離れすぎていない時間軸での分析を心がけましょう。
程よい間隔の時間軸でMTF分析をすることで、相場の状況が掴みやすくなります。
トルコリラのような新興国通貨ペアなどのマイナー銘柄においては、MTF分析が機能しない場面が多くみられます。
マイナー銘柄は流動性が低い影響で上下に長いヒゲが形成されやすいことや、ファンダメンタルズ的な要因で長期的に一方向な値動きが継続していることで、テクニカル分析が効果を発揮しにくい相場環境にあります。
そのような環境ではMTF分析も上手く機能しません。
Myforexの上位足インディケータを使用し、MTF-MAや他のインディケータを組み合わせてトレードして勝率アップを目指しましょう。以下にトレード例を紹介します。
最初に紹介するのはMTF-MAとパラボリックSARを用いて順張りを行う戦略です。MFT-MAでトレンドを把握しながら、パラボリックSARを用いたトリガーでエントリーします。
最初にパラメータの設定をしておきましょう。この戦略では、上位足インディケータを2セット使用します。
1セット目はMAとパラボリックSARをONにします。MAは4時間足20SMA、パラボリックSARは1時間足に設定しておきます。
2セット目はMAのみONにして、日足20SMAをセットしましょう。
設定が完了したら1時間足のチャートを確認し、以下の条件を満たすのを待ちましょう。
ロングの場合
ショートの場合
上記の状態を満たした状態から、ローソク足がパラボリックSARを抜けたらエントリーします。
パラボリックSARをエントリー時と反対側に抜いたら決済します。
次に紹介する戦略は、1時間足20SMAと15分足ボリンジャーバンドを用いて、5分足で押し目買い・戻り売りを狙うスキャルピングの戦略です。
パラメータ設定で1時間足20SMAと15分ボリンジャーバンド(期間20、偏差2.0)をセットしましょう。
設定が完了したら、5分足チャートを監視し、以下の条件を満たすのを待ちます。
ロング(買い)の場合
ショート(売り)の場合
+2σを終値レベルで下抜けたら、次の足の始値でショートします。
ローソク足が1時間足の20SMAより上にある場合は、エントリーを見送ると、さらに勝率が安定しやすくなります。(ロングの場合は1時間足の20SMAより下にある場合に見送る)
期間を20や200など、使用されることの多い値に設定したMAはレジスタンスやサポートとして機能しやすいです。長期の時間足であるほど意識されやすいため、上位足のMAを一旦の利確の目安として利用すると、反発する前に利確できることが多くなります。
下図は1時間足チャートに日足20SMAと4時間足20SMAを表示しています。それぞれのMAがレジスタンスとして機能していることが分かります。
MTF-MAツールを使えば、従来のMTF分析の手間を大幅に削減できます。
特に、Myforexの上位足インディケータ(トレンド系)は、MAだけでなくボリンジャーバンドやパラボリックSARにも対応しているので、幅広い分析が可能です。
さらにMyforexでは、RSIパネルやマルチタイムフレームトレンド分析など、多機能なインディケータも多数提供しておりますので、ぜひ活用してより快適にチャート分析をしてみてください。
参照:各種インディケータ
作成日
:2025.01.21
最終更新
:2025.01.21
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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