作成日
:2023.10.20
2024.08.07 04:18
仮想通貨(暗号資産)の「ラグる」とは、「ラグプル」という言葉から派生した俗語です。
ラグプルとは出口詐欺を意味し、仮想通貨プロジェクトなどの運営者が資金を持ち逃げすることです。そして、「運営がラグった」などの形で「ラグる」という言葉が一般的に用いられます。
当記事では、ラグるという言葉の意味やラグプルの手口、被害にあわないための注意点などについて解説します。
「ラグる」とは出口詐欺を指し、投資の世界では古典的な手法です。
仮想通貨(暗号資産)の場合、新仮想通貨を発行して資金を調達し、あたかもプロジェクト開発を推進すると見せかけて、集めた資金だけ持ち去るケースが見られます。DeFiやNFTなどの領域でも運営者がラグることがあり、その手口は巧妙化する一方です。
なお、「ラグる」の語源であるラグプルは英語のRug Pullが由来で、Rugは「絨毯(じゅうたん)」、Pullは「引っ張る」を意味します。
絨毯の上に立っている人が後ろから絨毯を引っ張られて倒れてしまう様子と、いきなり資金を持ち逃げされて投資家が崩れ落ちる様子が似ていることから、出口詐欺をラグプルと呼ぶようになりました。
ラグプルには、以下の2種類があります。
ハードラグプルは、スマートコントラクトを悪用したもので、仮想通貨特有の詐欺手法です。
スマートコントラクトは契約を自動履行するプログラムです。自動販売機でたとえると、「利用者が必要なお金を投入する」「特定の飲料のボタンを押す」という二つの契約条件が満たされた場合に、自動的に「その飲料を利用者に提供する」という契約が実行されます。
一方、ソフトラグプルはより人為的な詐欺であり、似たような事例は仮想通貨以外の投資でも起こり得ます。
以下、ハードラグプルとソフトラグプルについて、仮想通貨投資のどのような場面で起こりうるのか、その手口も含めて解説しましょう。
ハードラグプルは悪意あるスマートコントラクトを使う詐欺で、DEXで何度も実行されました。
具体的には、以下の事例が報告されています。
スマートコントラクトを悪用することで、ユーザー側が購入・保有している資産の取扱いに強制的に制限をかけたり、データを改ざんしたりします。
ソフトラグプルは、市場操作で仮想通貨の価格を吊り上げた後、発行者が売り抜ける詐欺行為で、手口は以下の通りです。
ソフトラグプルは法的にはグレーな行為であり、犯罪行為として取り締まれるとは限りません。
例えば、真っ当なプロジェクトであったとしても、発行者が運営資金の確保のために手持ちの仮想通貨を売却して、結果的に価格が下がってしまった場合です。これをソフトラグプルとみなすかどうか、判断は難しいでしょう。
ここからは、ラグプルの実例を取り上げ、具体的にどのような流れでラグプルが発生し、投資家側は騙されるのかを解説します。
2022年8月、NFTプロジェクトの「Gearverse(ギアバース)」でラグプルが発生しました。
Gearverseは、近未来的な女性がデザインされたNFTコレクションで、当時はTwitterでも盛んにギブアウェイが行われるなど、一定の人気を得たプロジェクトでした。
X(旧Twitter)では、アローリスト(当時の呼び名はホワイトリスト)の提供からミントに至るまでのスケジュールを確認できます。
画像引用:Twitter
このスケジュールを踏まえ、Gearverseがどのようにラグったのか、その経緯をまとめます。
アローリストを配布し、ユーザーがNFTを購入するところまでは実施されました。しかし、リビールは行われず、今もOpenSeaにはリビール前の大量の画像が並んでいます。
デザインが不明なNFTを販売し、売却後に見えるようにすることです。販売時点でNFTのデザインがユーザー側に見えてしまうと、人気のデザインやレア度の高いNFTばかりが買われ、逆に人気がないNFTは売れ残ることがあり、これを予防するために講じられます。一種の「ガチャ」のような方法です。
画像引用:OpenSea
その後、GearverseのTwitterアカウントは非公開となり、Discordサーバーも削除されました。このため、ラグプルだったと判断されています。
画像引用:X(旧Twitter)
OpenSeaに残っている総取引額は、2023年10月19日現在で9ETHとなっており、当時の価格で約200万円の被害が出たことになります。
画像引用:OpenSea
このように、途中までは正常なNFTプロジェクトに見えたのに、運営側が売上を手にした瞬間、姿をくらませてラグる可能性はゼロではありません。
そこで、ラグプル被害にあわないための対策について解説します。
ラグプルの被害にあわないために最も重要なことは、「自分は騙されないから大丈夫」という思い込みを捨て、自分が触れる仮想通貨(暗号資産)・NFTのプロジェクトについては必ず徹底的に調べることです。
その上で、ラグプル被害を避けるための対策を紹介します。
運営者や開発者が誰なのかを確認することは、非常に重要です。
仮想通貨やNFTのプロジェクトの運営自体は、匿名でできます。このため、自身の身分を明かさずにプロジェクトを立ち上げ、最初から資金を持ち逃げすることを考えている運営者もいます。
web3界隈では、本名で活動している人は必ずしも多くないかもしれませんが、それでもニックネームと匿名では大きな差があります。
ニックネームの場合、本名ではありませんが、そのニックネーム自体が広く知られていれば、信頼できる可能性は高まります。ニックネームが広く知られるためには時間と努力が必要で、ラグプルをすると時間と努力の結果を捨てることになるからです。
これに対し、匿名の場合は素性が一切わからないため、ラグプルのリスクも高まります。プロジェクトの運営者・開発者が誰なのか、最初に確認しましょう。
以下の公式情報は、最も参考にすべき情報です。
スペルミスや誤字脱字が多いプロジェクトは、注意が必要です。また、実現不可能と思われる内容を記載しているプロジェクトも疑った方がよいでしょう。
例えば、2023年時点のホワイトペーパーに「2024年にはメタバースで仮想通貨・NFTを活用した経済圏を完成し、Play to Earnの要素を盛り込むことでメタバース内で人々が仕事をできるようにする」などと書かれていたら、怪しいと言わざるを得ません。
さらに、パートナーや出資先の情報も必ずチェックしましょう。有名なベンチャーキャピタルが出資していれば、それだけで信用度は高まります。
プロジェクトの宣伝において、有名人やインフルエンサーが起用されることがあります。
しかし、そのインフルエンサー自身もプロジェクトの素性は知らされないまま、とりあえずプロモーションにだけ参加しているという例があります。
有名人が関わっているという理由だけで信用するのではなく、他の情報も含めて総合的に判断しましょう。
仮想通貨やNFTのプロジェクトでは、運営者自身も一定量のトークンを保有していることがあります。
運営者の保有割合が高すぎる場合、あるいはその情報が開示されていない場合、注意しましょう。
運営者のトークン保有割合が高いと、市場に出回るトークンの量が少なくなります。その結果、運営者にとって価格が操作しやすい状況が生まれ、タイミングを見て一気に売り抜けることが可能になります。
仮想通貨やNFTがロックアップされている間は、運営者もユーザーもトークンを売れません。これは、運営者自身もトークンを売らずにプロジェクトに取り組むという意志の現れでもあります。
したがって、ロックアップ期間が長いほど、運営者自身がトークンを売り抜ける可能性は低いと言えます。
一方、ロックアップ期間が短いプロジェクトの場合は、運営者自身が早々にトークンを売り抜けてラグる可能性があります。
ロックアップの有無、およびその期間を確認するようにしましょう。
仮想通貨プロジェクトにおいては、運営者側がラグる可能性は常にあると考えておくくらいがちょうどよいでしょう。
ラグプルの手口はより巧妙になり、技術が発達すれば新しい詐欺の手法も生まれるはずです。
その時に、自分の身を守る最も有効かつ唯一の手段は、自分の手でプロジェクトのことを隅々まで調べることです。
本記事の内容を参考に、ご自身が触れる仮想通貨プロジェクトについては徹底的に調べることで、ラグプルの被害を避けるようにしてください。
作成日
:2023.10.20
最終更新
:2024.08.07
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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