作成日
:2023.09.05
2024.08.12 19:29
仮想通貨(暗号資産)は、普及が進みつつあり、投資対象として認知されてきています。一方、仮想通貨は投資詐欺にも悪用されており、友達や知人による勧誘、SNSなどを使った勧誘行為がトラブルにつながっています。
当記事では、仮想通貨関連の勧誘には注意が必要なことや、なぜ仮想通貨投資の勧誘が行われるのか?といった手口や仕組みなどを解説します。また、実際にあったトラブル事例、詐欺を見分けるポイントなども紹介します。
近年、仮想通貨(暗号資産)関連のトラブルは、増加傾向にあります。
国民生活センターなどに寄せられる相談件数は、2016年度の時点で年間1,000件以下でした。しかし、その翌年からは約3,000件まで増加しており、2021年度では、年間5,000件を超える相談が寄せられています。(*1)
(*1) 2021年度に行った改正により、2020年度以前と2021年度以降での時系列の比較はできないとしています。
画像引用:国民生活センター
また、国民生活センターの情報によると、近年では40代から70代の中高年だけでなく、20代から30代の若者世代の相談件数も増えているようです。特に友達や知人からの勧誘、SNSやマッチングアプリを使った勧誘がトラブルにつながっているケースが多いようです。
もし、仮想通貨(暗号資産)関連の勧誘をされた際には、注意する必要があります。友達などの身近な人からの誘いであっても、簡単に話に乗ると、トラブルに巻き込まれる可能性があります。
仮想通貨市場では、日常的に詐欺が発生しています。もちろん全ての勧誘が詐欺とは断定できませんが、仮想通貨関連の勧誘に遭ったら、騙されている可能性を疑う必要があります。
友達や知人から勧誘された方の中には、なぜ自分に対して儲け話を進めてくるのか気になる方も多いでしょう。仮想通貨関連の勧誘の全てが詐欺だとはいえませんが、中には以下のような手口で詐欺が行われている可能性もあります。
出口詐欺は、投資を募って資金を集め、運営者がその資金を持ち逃げする詐欺です。高額な配当金の支払いや爆発的なリターンなどを約束し、資金を集めるのが特徴的です。
約束通り、部分的な支払いはあるかもしれませんが、最終的には運営が資金を持ち逃げします。そのため、預け入れた資金は戻ってきません。資金を預け入れた時点で、音信不通となる場合もあります。
悪質なケースでは、投資の儲けを出金する際に手数料がかかると言われ、さらなる入金を求められることもあります。
なお、出口詐欺は、英語でRug Pull(ラグプル)と呼ばれます。Rugは「じゅうたん」で、Pullは「引っ張る」を意味する言葉です。絨毯の上を歩いていると、後ろから絨毯をはがされ、転んでしまう様子を意味しています。
仮想通貨投資をテーマにしたセミナーなどを開催し、高額な情報商材を売りつけ、契約させる事例もあります。
「絶対稼げるようになる」「稼げなかったら全額返金」などを謳い文句として、勧誘してきます。しかし、内容は二束三文のもので、期待通りの結果は得られない可能性が高いでしょう。
返金を求めても、何らかの理由を付けて取り合ってもらえず、資金が返ってこない可能性があります。
ネットワークビジネスは、マルチ商法と同義の言葉として使われます。様々な分野で見られますが、仮想通貨に関連するネットワークビジネスも存在します。ただし、ネットワークビジネスはビジネス形態の一種であり、それ自体が違法というわけではありません。
この手の事例では、投資グループや仮想通貨プロジェクトへの参加などの名目で勧誘が行われます。高額な参加費などを徴収しつつ、新規会員の勧誘を推奨します。新規会員の勧誘に成功すれば、紹介者に報酬やキャッシュバックが支払われるため、積極的な勧誘が行われる仕組みになっています。
しかし、参加する投資グループや仮想通貨プロジェクトにはほとんど実態がなく、運営と連絡が取れなくなったり、約束されていた配当が支払われないといったケースがあります。
実際にあった仮想通貨(暗号資産)関連のトラブルとして、以下のような事例があります。
事例1
仮想通貨関連の勧誘は、大学の学生間などでも行われているようです。実際、大学の先輩に仮想通貨のセミナーに誘われ、「海外事業者に仮想通貨で投資をするとAIが自動運用し、月々10万円の配当が入る」「人に紹介すると、さらにお金が入る」と勧誘を受けた事例が報告されています。
50万円の資金を預けるよう言われ、お金がないと断りますが、学生ローンを組むよう促されます。その後、さらに100万円の借金をして追加投資をしますが、約束の配当が支払われることはありませんでした。
また、「出金手続きを停止している」との理由から、最終的に投資したお金は3万円ほどになってしまったようです。
事例2
仮想通貨の勧誘は、SNS上でも積極的に行われています。SNSで知り合った外国人女性と親しくなり、仮想通貨投資の儲け話を持ち掛けられた事例もあります。
被害にあった男性は、女性の指示に従い、国内取引所で口座を開設して330万円をクレジットカードで入金します。その後、指定された海外業者のアプリをダウンロードし、国内取引所からその海外業者の口座に全額送金しました。
利益が出たので出金を申し出ると、税金や保証金と称して合計約170万円を請求され、支払ってしまいます。加えて、残高の約8%に相当する50万円を手数料として支払えば、元金と利益の約600万円を口座に入金すると説明されたとのことです。
事例3
勧誘に遭った女性は、知人の紹介で仮想通貨の投資システムを勧められ、オンラインセミナーに参加します。
「アプリのシステムを使えばお金が儲かる」「このシステムを誰かに紹介すると、さらに自分にお金が入ってくる」との説明を受け、14万円のコースに入会して投資会社にお金を支払ってしまいます。
それとは別に、投資資金として100万円も振り込んでしまいました。後々、怪しいのではないかと感じ始めますが、投資会社の住所や電話番号がわからず、連絡先はメッセージアプリだけだったようです。
消費生活センターのアドバイスもあり、最終的に女性はクーリング・オフを受けられることになったとのことです。
仮想通貨(暗号資産)関連の勧誘をされた際は、詐欺かもしれないと疑う必要があります。その上で、以下のような点が当てはまれば、その危険性は高いと考えられます。
暗号資産交換業者の登録がない企業は、日本国内において、仮想通貨と法定通貨の交換サービスを行うことが禁止されています。従って、正式な認可を受けている企業は、暗号資産交換業者として金融庁・財務局に登録されています。
暗号資産交換業者の一覧は、金融庁のウェブサイトで公開されています。そこに名前がない企業との仮想通貨取引を勧誘された場合、詐欺の可能性が非常に高いです。
仮想通貨関連のトラブルとして、多く報告されているのが出口詐欺です。出口詐欺では、集めた資金を持ち去るのを前提としているので、運営側が資金管理を行います。
基本的にビットコイン(BTC)などの仮想通貨は、個人ウォレットを使って自己管理するものです。取引や運用のために取引所に預け入れる場合もありますが、少なくとも第三者の個人や、詳細を明かしていない企業に預けるものではありません。
ウォレットとは、仮想通貨を管理・保管できる財布のような役割を果たすものです。ウォレットの中にも様々な種類があり、スマホにアプリをダウンロードして使う「モバイルウォレット」や、専用のデバイスで秘密鍵を管理する「ハードウェアウォレット」などがあります。
勧誘を受けた際に、資金管理の権限が相手側にある場合は、詐欺の可能性を疑うべきでしょう。
数万円から数百万円の高額な入会費や手数料がかかるのであれば、その話は詐欺の確率が高いと考えられます。
「絶対に儲かる」といった謳い文句で、高額な費用がかかる仮想通貨のトレードシステムや、投資代行などに勧誘されるケースは多いです。しかし、どのような話でも確実に儲かるという保証はありません。
高額な入会費や手数料を支払った後、運営と連絡が取れなくなり、費用を回収できなくなってしまう可能性があります。
ビットコインを始めとする仮想通貨が、爆発的なリターンを生むことがあるのは事実です。過去には、仮想通貨価格の高騰によって、資産が億を超える「億り人」が続出しました。
億り人とは、金融投資によって1億円の資産を築いた人を指す俗語です。2008年に公開された滝田洋二郎監督の映画『おくりびと』をもじったもので、仮想通貨(暗号資産)が流行した2017年ごろから使われるようになりました。
しかし、異常に高いリターンを約束する投資話は、現実味が欠けています。中には、年率100%、200%といった異常に高いリターンを提示し、仮想通貨投資に勧誘してくるケースがあります。しかし、それだけの高いリターンを長期的に維持するのはほぼ不可能です。
異常に高いリターンが約束されている投資話の勧誘は、詐欺の可能性が高いと疑った方がよいでしょう。
仮想通貨関連の詐欺の特徴として、海外を経由する仕組みになっていることが多いです。例えば、聞いたことのない名前の海外取引所に資金を預けたり、運営母体が海外にあったり、海外の仮想通貨プロジェクトに投資するといった形です。
海外を経由する仕組みが悪いというわけではありません。しかし、海外を経由していると、簡単に実態を調べられなかったり、問い合わせが難しくなったりと、詐欺をする側にとって都合の良い状況が整いやすくなります。
海外を経由する仮想通貨の儲け話を持ち掛けられた際は、詐欺を警戒するのが得策でしょう。
怪しい勧誘を受けた時は、どのように対処すればよいのでしょうか。対処法としては、次のようなものが考えられます。
仮想通貨(暗号資産)関連の怪しい勧誘を受けても、「自分で投資をする」と断ってしまえば、詐欺の被害者となる可能性を回避できます。
このような勧誘は、全く知識のない初心者を標的とします。自身で投資をするだけの知識があることをアピールすれば、詐欺のターゲットとなる可能性は低くなると考えられます。
取引所を使った仮想通貨投資は、特段難しいものではありません。気になる方は、自分で挑戦してみるのもよいでしょう。
仮想通貨投資の勧誘に遭っても、その場で直ぐに判断できないこともあります。そんな時は一旦返事を保留して、インターネットでリサーチすると、より客観的で正確な判断ができます。
例えば、仮想通貨関連のセミナーや情報商材であれば、インターネットで詐欺被害の報告や評判などを確認できるかもしれません。また、勧誘されたプロジェクトに関わる企業や個人を把握できているのであれば、活動実態などの情報収集ができます。
ただし、ポジティブな情報が出てきても、自作自演の可能性もあるので注意しなければなりません。
消費生活センターは、地方公共団体の行政機関で、全国の消費者をサポートする役割を担っています。具体的には、消費者の苦情を受け付けたり、消費者の相談に乗ったり、情報提供を行ったりします。
消費生活センターは、誰もがアクセスしやすい相談窓口として「消費者ホットライン」を設けています。電話で「188番」に発信すると、相談窓口につながります。
仮想通貨関連の勧誘を受けた時は、消費者ホットラインに相談するとアドバイスがもらえるでしょう。詐欺かどうか自分で判断できなければ、消費者ホットラインを利用することをおすすめします。
仮想通貨関連の怪しい勧誘には、関わらないのが最大の防衛策です。美味しい儲け話には必ず裏があると考え、怪しい勧誘は基本的にスルーするのがよいでしょう。もし自分で判断ができない場合は、最寄りの消費生活センターに相談するのがおすすめです。
出典元:
作成日
:2023.09.05
最終更新
:2024.08.12
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
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