作成日
:2023.07.18
2024.08.09 14:18
仮想通貨AZEROが注目を集めています。その注目度は高く、広く一般から資金を集めてステーキングするサービス「CDP(Crypto Diffusion Project)」が登場しました。
しかし、マルチ商法(ネットワークビジネス)の仕組みを採用していることなどから、物議をかもしています。
この記事では、CDPの仕組みやリスクなどを紹介します。
CDP(Crypto Diffusion Project)を簡単に説明すると、CDP運営者がお金を集めてステーキングし、収益を分配する仕組みです。
ユーザーはCDPが発行するAZERO Point(AP)を購入し、売上の60%はステーキング、残り40%は広告費用として使われます。
ロックアップ期間(運用期間)は少なくとも1年間で、満期を迎えるとユーザーは報酬を得るとともにAPをAZEROに交換できます。交換レートはAZEROの価格に連動するので、AZERO価格が上昇すると報酬に加えてキャピタルゲインも得られます。
Aleph Zeroに直接ステーキングするのではなく、非公式のCDP運営者を経由するのが特徴で、この運営者が信頼できるかどうかが問題になります。
画像引用:CDP
Aleph ZeroはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用しており、AZEROを所定の方法でロックするとステーキング報酬を受け取れます。
PoSはブロック生成ルールの1つです。ビットコイン(BTC)などが採用するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)と比較して、電力消費が少ない点や拡張性が高い点などで注目されています。
ステーキングとはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)の仮想通貨で採用される仕組みで、ブロックチェーンの維持に貢献する対価として報酬を得ることを指します。また、仮想通貨を貸し出して報酬を得られるサービスをステーキングと呼ぶこともあります。
ステーキングはPoSの仮想通貨で一般的に採用されており、詐欺ではありませんし誰でも自由に参加できます。しかし、ステーキングするには一定の知識と資金が必要であり、CDPは一般ユーザーが簡単にステーキングに参加できるようにしています。
ただし、CDPは広告費の割合が40%と高いなど、さまざまなリスクがあります。
AZEROは自分でステーキングが可能で、この場合は広告料40%の負担は不要です。
CDP参加者に付与される年利は参加プランによって異なり、6%~12%とされています。
CDP参加者に対して配当されるバリデート報酬のパーセンテージが年利で最大で約12%ほどである。
参加プランによってパーセンテージは変動するが、最低でも年利6%ほどは受け取ることが出来る。
CDP公式サイト - より引用
AZEROをAleph Zeroで直接ステーキングする場合の報酬は、10%から20%で推移する見込みです。そして、CDPに参加すると投入額の40%を広告費として引かれるため、最大12%になります。
参加プランによって報酬は6%になりますが、広告費を考慮するとこれもありうる数字です。
仮想通貨AZEROはAleph Zero財団が発行しており、ポーランドの会社Cardinal Cryptographyが開発チームの中心となっています。Myforex編集部がAleph Zeroの運営に質問した結果、以下の趣旨の回答を得ました。
パブリックブロックチェーンでは、要件を満たせばだれでもPoSのステーキングができます。
SNSやYahoo!知恵袋などでCDPの評判は非常に悪く、マルチ商法(ネットワークビジネス)だと批判されています。
ここでは、CDPの仕組み等から考えられるリスクについて紹介します。
CDPの公式サイトには運営者情報が掲載されておらず、連絡先はLINEのみです。素性の分からない人に自分のお金を出すことは、大きなリスクです。
また、2023年4月には活発にセミナーを開催していたようですが、その後は活動が止まっている可能性もあります。
CDPの運営に唯一問い合わせができるLINEですが、うまく機能していない可能性があります。Myforex編集部でCDPの公式LINEにメッセージを送ってみたものの、少なくとも2週間以上既読がつかない状況です。
こういったずさんな対応も、CDPが怪しいと疑われる理由の一つだといえるでしょう。
広告費用の高さも、CDPが詐欺と疑われる理由になっています。CDP公式サイトでは、購入金額の60%でAZEROをステーキングし、残りの40%は広告費用に使うとされています。
CDP参加プラン は購入金額の60%をステーキングし、40%を広告費用に回すプランのみとなります。
CDP公式サイト - より引用
広告費用の使途は明示されていないものの、公式サイトの説明に基づくと、階層式の報酬制度に使われると考えられます。階層式の報酬制度とはすなわちマルチ商法(ネットワークビジネス)であり、これが批判されています。
CDPをほかの人に紹介すればするほど自身の取り分が多くなるため、積極的な勧誘が行われやすくなります。
なお、マルチ商法(ネットワークビジネス)という言葉には悪いイメージがありますが、ビジネス形態の一種であり違法ではありません。そのため、マルチ商法であることだけで詐欺と断定することはできません。
CDPは、一度契約すると1年間は資金を引き出すことができません(ロックアップ)。途中で解約する場合、プラン購入の10%を解約手数料として支払う必要があります。
その一方、Aleph Zeroで直接ステーキングする場合、ロックアップ期間は最大で14日間です。ステーキング方法によっては、ロックアップ期間は設定されていません(0日)。
ロックアップ期間が1年間である理由は公式サイトに書かれておらず、これも、時間稼ぎの詐欺を疑わせる理由になっています。
運営者が不明で長期のロックアップ期間があるため、ポンジスキームの可能性が疑われています。ポンジスキームとは、資金の運用と配当を約束してお金を集めるものの、実際には運用を行わずに資金を持ち逃げする詐欺です。
CDPがAZEROでステーキングしていない場合、ポンジスキームに該当します。公式発表通りにステーキングしている場合は、明らかな詐欺とはいえません。
さらに、出金手数料が10%に設定されています。このため、参加者がネットワークビジネスの下層に位置する場合、CDPの利益よりも出金手数料が大きくなってトータルでマイナスになる可能性もあるので注意が必要です。
CDPはマルチ商法(ネットワークビジネス)なので、新規参加者を勧誘すると金銭的なメリットを得られます。
商品の購入者やサービスの利用者を紹介する仕組みはアフィリエイトと呼ばれ、一般的な商品でも行われています。紹介者への報酬が高く設定されるほど、その商品やサービスのデメリットを隠してメリットを強調する形での勧誘が行われやすくなります。
CDPは、紹介者への報酬が高く設定されており、このリスクが高い可能性があります。知り合いから勧誘された場合は、信頼するのではなく、CDPの仕組みやデメリットを自分で確認する必要があります。
現時点で、CDP(Crypto Diffusion Project)の評判は非常に悪いです。相談がYahoo!知恵袋に投稿されており、知り合い経由での勧誘が活発に行われている様子がわかります。
Yahoo!知恵袋では、以下のような、知り合いから勧誘を受けたという相談が何件か投稿されています。
知り合いにAZERO CDP というプロジェクトに投資しないかと誘われました。 詐欺ではない、2〜3年後に300万が億になると言われたのですが乗っかるべきでしょうか?
Yahoo!知恵袋 - より引用
これに対して、マルチ商法の可能性や運営者の情報が不明な点を理由に、詐欺と考える回答者が多いようです。
仮想通貨のプロジェクトはTwitterでの宣伝活動が活発に行われることが多いですが、CDPはツイッターでの活動が盛んではないようです。
注目度自体は高くなく、勧誘のツイートを除くと大半が批判的な意見となっています。
CDPは詐欺だと疑われています。しかし、当記事執筆時点(2023年7月14日)で出金できないなどの被害報告はないようです。
出金できないプロジェクトの場合、今後被害報告が出てくる可能性があります。気になる場合は、CDPに参加した人がどうなったかを確認すると良いかもしれません。
CDP(Crypto Diffusion Project)はマルチ商法(ネットワークビジネス)ではあるものの、それだけでは詐欺と断定することはできません。
しかし、運営者が不明で詐欺を疑われても仕方がなく、また、利回りが低い、ロックアップ期間が長い、出金手数料が高いなど、条件面で不利です。
なお、AZEROを有利な条件でステーキングしたい場合、英語のみのサイトでステーキングする必要があります。CDPはこの点に注目して日本語で事業を展開している可能性があります。
CDPに資金を投入したい場合は、誰が運営しているか不明で条件が悪いプロジェクトに資金を投入しても良いかどうか、改めて考える必要があるでしょう。
作成日
:2023.07.18
最終更新
:2024.08.09
ニュース媒体での記者経験を経て、仮想通貨ライターに。公式サイトやコミュニティでの評判、海外メディアの評価など様々な角度から英語ソースでリサーチを行う。安い草コインを宝くじ感覚で買うのが趣味。
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