Select Language

NFTマーケットプレイスのSudoRareで1億円規模の出口詐欺が発生

NFTマーケットプレイスのSudoRareで1億円規模の出口詐欺が発生

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2023.03.16 15:30
NFTマーケットプレイスのSudoRareで1億円規模の出口詐欺が発生

update 2023.03.16 15:30

2022年8月23日、NFTマーケットプレイスのSudoRareで、出口詐欺、すなわちラグプル(Rug Pull)が発生しました。公式サイトがオフラインとなっているだけでなく、Twitter(ツイッター)の公式アカウントを削除して、サービスを完全に閉鎖しています。この出口詐欺の被害総額は、約1億円にのぼると報告されています。

SudoRare以外の事例とともに、被害の状況を紹介します。

SudoRareとは

SudoRareは、イーサリアム(ETH)上の人気NFTマーケットプレイス「LooksRare」と「SudoSwap」を融合させたような、新しいサービスとして登場しました。NFTの売買ができるだけでなく、自動マーケットメイカー(AMM)としての役割を兼ね備えています。

point 自動マーケットメイカーとは

自動マーケットメイカーは、英語でAMM(Automated Market Maker)と表記されます。その名の通り、自動化されたアルゴリズムでDEX(分散型取引所)などに流動性を提供します。すなわち、スマートコントラクトに預け入れられた資産を利用して、仮想通貨(暗号資産)の交換に対応します。

また、各種仮想通貨をステーキングできると宣伝していました。ステーキングできる銘柄として、例えば、LooksRareのネイティブトークン「LOOKS」や、NFT関連銘柄「XMON」、イーサリアムと同等の価値を有する「wETH」などがあります。

出口詐欺で約1億円を持ち逃げ

ラグプルは、出口詐欺と同義です。運営会社などが資金を持ち逃げする詐欺です。ちなみに、英語表記のRugは「じゅうたん」で、Pullは「引っ張る」です。絨毯の上を歩いていたら、後ろからいきなり絨毯をはがされて転んでしまう様子を示しています。

ラグプル

今回、SudoRareでは、運営側が流動性プールの仮想通貨を持ち逃げしました。流動性プールには、創設者チームのみがアクセスできる状態になっており、ETHやLOOKS、USDCなどの仮想通貨が外部に送金されたことが確認されています。

流出した仮想通貨は、UniSwapでイーサリアムに交換されています。その合計は519ETHとなっており、当記事執筆時点(2022年8月)での評価額は、約1億円に達します。

ブロックチェーン分析会社のPeckShieldによると、その後、これらの仮想通貨は3つの異なるウォレットアドレスに送金されており、その内のひとつは米大手取引所Krakenに属することが明らかになっています。結果的に、SudoRareは開始6時間でサービスを停止しました。

以前から詐欺を疑われていた?

Twitter上では、SudoRareが詐欺なのではないかと、事件の発生前から疑われていました。

海外コミュニティでは、仮想通貨関連の情報を発信する「@2shabby」氏が「このチームは、匿名であり身元を公開していないので、詐欺の可能性が高い」と警告していました。[1]

信頼できるプロジェクトでは、開発者や運営が顔や実名、LinkedIn(リンクトイン)やTwitterなどのSNSの情報を公開していることが多いです。匿名であれば、詐欺を働いても捕まりづらいですし、信用を失うこともありません。このため、身元の公開は、プロジェクトの良し悪しの判断材料としてしばしば考慮されます。

加えて、SudoRareが他取引所のコピーであることや、ウェブサイトの作りが雑なことなども指摘されていました。日本のコミュニティでも、SudoRareを怪しむツイートや、出口詐欺の報道後には予想通りの結果になったというツイートが投稿されています。

NFT分野で多発する出口詐欺

仮想通貨市場では、出口詐欺は日常茶飯事です。特に、NFTがブームとなっていることから、格好のターゲットとなっています。過去には、以下のような詐欺も発生しています。

Magic Eden

Magic Edenは、ソラナ(SOL)ブロックチェーンのNFTマーケットプレイスで、世界最大のOpenSeaに次ぐ規模となっています。Magic Edenでは、2022年2月に2件の出口詐欺が発生しています。

「King of Chess」と「Balloonsville」の2つのNFTプロジェクトで、合計約9,000万円が持ち逃げされました。Play to EarnのNFTでは、デジタルアートなどとは異なり、ユーザーの目的は収益を上げることです。このため、ゲームが完成しなかったり運営が開発を放棄したりすることが、大きなリスクとなります。

point Play to Earnとは

Play to Earnとは、遊んでお金を稼ぐことを意味します。すなわち、NFTや独自仮想通貨などの報酬を得られるブロックチェーンゲームです。運動して稼ぐMove to Earnなども、仮想通貨市場で台頭しています。

この結果を受けて、Magic EdenはNFTのプロジェクトに対して、より厳しい制限を設けることとなりました。例えば、担保金となる資金を預け入れることや、プロジェクトを説明するホワイトペーパー、開発計画を示すロードマップを提出することなどを求めています。

Big Daddy Ape Club

Big Daddy Ape Clubは、デジタルアートのNFTを中心とした、ソラナブロックチェーンにおけるプロジェクトです。

同プロジェクトは、NFT発行に際して、およそ9,000SOL(1億5,000万円相当)を集めました。しかし、そのNFTは発行されず、開発者はDiscord(ディスコード)を閉鎖して、資金を持ち逃げしました。ブロックチェーン等の監査機関「Civic」で身元確認の手続きを経ていたため、出口詐欺はコミュニティを驚かせました。

NFT投資には注意が必要

SudoRareの詐欺事件を受け、NFTマーケットプレイスのSeaCowsは、「完全匿名のチームが開発したNFT・AMMプロトコルでまたラグプルが起きてしまった」と発言した上で、投資の前に自身でリサーチを行うよう注意を促しています。[2]

仮想通貨市場で詐欺が頻発したことで、投資家もリテラシーが高まって詐欺に対する免疫が付いてきています。しかし、新しい技術やトレンドが生まれるにつれて、詐欺も形を変えて被害を生み出しており、自己防衛の意識が重要です。NFT投資に興味があるのであれば、SudoRareなどの例を頭に入れて、自身で情報を集めてみることをおすすめします。


Date

作成日

2022.08.25

Update

最終更新

2023.03.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingが年末トレード大会を開催!ランク外でも賞金獲得のチャンスあり

Vantage Tradingが、年末恒例となる大型トレード大会「年末ミリオンジャンボ2025」の開催を発表しました。今回のイベントでは副賞も用意されているので、ランク外でも賞金獲得のチャンスがあります。この記事では、参戦を検討しているユーザー向けに、各種条件やルールを説明します。
update2025.11.28 19:00

Bitgetが代替手段に?Bybitが日本撤退で日本ユーザーの新規登録禁止

Bybitが日本ユーザーの新規登録停止を発表しました。Bybitの代替取引所としてはBitgetが挙げられ、Bybitと遜色ないサービスを利用できます。本記事では、Bitgetの特徴や海外取引所への規制動向などを解説します。
update2025.11.25 19:00

Money Charger(マネチャ)情報流出で問われるキャッシュバックサイトの運営体制と安全性

Money Chargerは2025年10月25日、ユーザーの個人情報が外部に流出したことを公表しました。キャッシュバックサイトはうまく活用すれば取引コストを抑えられる一方で、個人情報を扱う性質上、安全管理体制が極めて重要です。本記事では、安全性や透明性の観点から主要なキャッシュバックサイトを比較します。
update2025.11.17 19:00

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

豪華なのに難しい?XMTradingが開催中のクリスマス入金ボーナスプロモーションは「アリ」なのか?

XMTradingで最大$25,000を獲得できる入金ボーナスキャンペーンが開催され注目を集めています。一見すると豪華なキャンペーンにみえますが、一般的な入金ボーナスとは条件が異なり、一部では条件が厳しいとの声もあります。本記事では、参加する価値のあるイベントなのかを説明します。
update2025.11.26 19:00

Exnessの乗り換え先としてXSはアリ?スペックを比較

取引環境の良さから玄人にも人気のExnessですが、最近は出金トラブルなどが発生しており、今後の取引環境に不安を抱くユーザーも増えています。本記事では、有力な乗り換え先であるXS.comと取引環境・条件を比較し、乗り換え先として相応しいかどうかを検討します。
update2025.11.20 19:00

Funded7で出金が認められない事例が増加?ルールの不透明さが原因か

Funded7で出金拒否に関する投稿がSNS上で増加しており、利用者の間で不安が広がっています。「利益が取り消された」「短時間取引が理由で無効になった」などの報告が投稿されています。当記事では出金拒否の原因を整理し、他のプロップファームとFunded7のルールを比較します。
update2025.11.21 19:00

Vantage Tradingが入出金額の上限を変更、100万円以上の出金は自動分割

海外FX業者のVantage Tradingが、銀行振込の入出金額の上限を変更しました。今後は銀行振込で一度に出金できる額が100万円に制限されます。本記事では、変更された条件や高額送金時の注意点などを説明します。
update2025.11.11 19:00

Bybit P2P利用で銀行口座凍結・詐欺容疑者に?海外FXユーザーが知るべき巻き込まれリスクとは

Bybit P2Pを利用したユーザーが銀行口座凍結されたことに加え、詐欺容疑者として取り調べを受けたというSNS投稿が話題になっています。本記事では、話題となった投稿の内容や、海外FXユーザーがP2P取引の利用を避けるべき理由などを解説します。
update2025.11.12 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30
promotion promotion

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル
close
promotion
今すぐ参加する

次回から表示しない