Select Language

注目のブロックチェーンプラットフォーム、Harmony(ONE)について解説

注目のブロックチェーンプラットフォーム、Harmony(ONE)について解説

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2023.03.16 15:30
注目のブロックチェーンプラットフォーム、Harmony(ONE)について解説

update 2023.03.16 15:30

仮想通貨(暗号資産)市場では、ブロックチェーン開発が活況となっています。ブロックチェーンにはレイヤー1と呼ばれるカテゴリがあり、これはDApp(分散型アプリ)を含むシステム全体の土台となっています。Harmony(ONE)もレイヤー1ブロックチェーンであり、有望なプロジェクトとして注目されています。

当記事では、Harmonyの概要から技術的な特徴、将来性などを解説していきます。また、ハッキング事件についても紹介します。

Harmonyとは

Harmonyは、2019年にリリースされたブロックチェーンです。米大手IT企業でエンジニアを務めたStephen Tse氏を中心に、12名のメンバーで立ち上げられました。

Binanceの投資部門「Binance Lab」から資金提供を受けただけでなく、同取引所でのIEO(イニシャルコインオファリング)でも資金調達を成功させています。このため、将来有望なプロジェクトとして認識されています。また、しばしば他のイーサリアム・キラーと比較されます。イーサリアム・キラー筆頭のポルカドット(DOT)やソラナ(SOL)などと比べると小規模ですが、パフォーマンスに優れています。

point イーサリアム・キラーとは

イーサリアム・キラーとは、DAppプラットフォームとしてイーサリアムの座を狙うブロックチェーンを指します。スマートコントラクトだけでなく、より効率的なコンセンサスアルゴリズムを採用して、高速取引や安い手数料を実現しています。すなわち、イーサリアム(ETH)が抱えている課題をある程度克服しているのが特徴です。

なお、HarmonyはネイティブトークンとしてONEを発行しています。ONEはガバナンストークンとしてだけでなく、取引手数料の支払いやステーキングに利用可能です。

Harmonyの技術的な特徴

Harmonyは、高速かつ安価なブロックチェーンとして開発が進められています。すなわち、約2秒で取引を確定すると同時に、平均取引手数料を1円未満に抑えることが可能です。

これらの性能を実現するために、以下のようなユニークな技術が実装されています。

独自コンセンサスアルゴリズム

ブロックチェーンは、ブロックを生成するコンセンサスアルゴリズムに従って稼働しています。コンセンサスアルゴリズムには、大きく分けてPoW(プルーフ・オブ・ワーク)とPoS(プルーフ・オブ・ステーク)が存在します。

knowledge PoSの可能性

PoSはPoWと比較して新しいコンセンサスアルゴリズムです。一般的に、PoSの方が効率的にブロックチェーンを稼働できます。消費電力も少ないことから、多くのブロックチェーンがPoSを採用し始めています。

Harmonyは、PoSの派生系であるEPoS(エフェクティブ・プルーフ・オブ・ステーク)を採用しています。

通常のPoSでは、バリデータと呼ばれる少数のノード(ネットワークに参加する端末)がブロックを検証・承認します。一方、EPoSでは、1,000以上のノードがバリデータとなってブロックの生成に貢献します。例えば、イオス(EOS)が20、コスモス(ATOM)が100程度のバリデータ数であるのと比較すると、その数は圧倒的だといえるでしょう。

一般的なPoSは、少数のバリデータに権力が集中します。一方、EPoSは分散化させることで効率的なブロックチェーンを実現しています。

PoSにおけるバリデータのイメージ画像

シャーディング

シャーディングとは、トランザクションの検証を複数のバリデータグループで並行して処理する技術です。スケーラビリティ問題(ブロックチェーンの遅延や手数料の高騰を招く問題)に有効だと考えられており、イーサリアムの新ブロックチェーン「ETH2.0」にも実装される見通しです。

Harmonyは、4つのシャードチェーン(シャーディングを実行するブロックチェーン)を展開しています。Harmonyにおけるシャーディングは、実行者に偏りが出ないように、ランダムにバリデータを選出する仕組みが採用されています。

ホライゾン・ブリッジのハッキング事件

ホライゾン・ブリッジは、Harmonyにおけるクロスチェーンブリッジです。イーサリアムやBNBチェーンなど、異なるブロックチェーンとの架け橋となります。

point クロスチェーンブリッジとは

クロスチェーンブリッジとは、複数のブロックチェーンをつないで、規格の異なる仮想通貨を利用可能にする技術です。この技術が普及すれば、ブロックチェーンを跨いで仮想通貨をやり取りできます。ブロックチェーンが乱立している現在、クロスチェーンブリッジは仮想通貨市場で重要な存在です。

2022年6月、ホライゾン・ブリッジから、1億ドル相当の仮想通貨がハッキングされました。犯人のハッカーは、ミキシングサービスのトルネードキャッシュ(TORN)を使っており、マネーロンダリングで足取りがわからないように工作しています。

仮想通貨市場では、クロスチェーンブリッジを狙ったハッキング事件が頻発しており、コミュニティが痛手を被っています。Harmonyは、ブロックチェーン分析企業や米FBIと協力して事件解決を目指していますが、当記事執筆時点(2022年8月)で、劇的な進展の報告はありません。

ONEのチャート

ONEは、Harmonyのネイティブトークンです。BinanceやGate.io、Bybitなどの大手取引所で取り扱われています。当記事執筆時点(2022年8月)の時価総額は380億円程度で、仮想通貨市場全体の100位前後に位置しています。

価格推移を確認しますと、2019年に上場してから2021年に入るまで、ほとんど1円以下の価格帯で小刻みな値動きでした。

ONEと日本円の価格チャート

画像引用:CoinMarketCap

しかし、2021年初旬から高騰し、2022年1月には、40円超えの史上最高値を更新しました。その後、ビットコインと仮想通貨市場全体の値動きに引きずられる形で、ピーク時と比較して約10分の1付近まで落ち込みました。当記事執筆時点では、3円付近で推移しています。

Harmonyの将来性

Harmonyでは、開発活動が活発に行われています。当初からエコシステムが拡大しており、将来性はどのように見込まれているでしょうか。

2026年に向けたビジョン

Harmonyは、2026年までにWeb3.0のインフラ機能を強化し、多くのプロジェクトを呼び込むことを計画しています。

point Web3.0とは

Web3.0とは、分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では個々のユーザーが重要な役割を担います。

具体的には、DAO(自立分散型組織)とゼロ知識証明を活用することで、公平で透明性の高いエコシステムを構築しようとしています。DAOとは、コミュニティの運用をより民主的にできる構造で、ゼロ知識証明はユーザーのプライバシーを保護する仕組みです。

これを実現するために、Harmonyは技術的な開発を進めると同時に、3億ドル規模のエコシステムファンドを立ち上げました。このファンドは、各種プロジェクトに支給される見込みです。既に25のDAOが資金供給を受けています。

今後のロードマップ

2022年1月、Harmonyは最新版のロードマップを公開しています。

その中では、2022年の第3四半期までに取引確定までの時間を1秒に短縮することや、競合でもあるブロックチェーンのコスモスとポルカドットとの互換性を確保すること、メタバース(インターネット上に構築された三次元空間)関連の取り組みを盛り上げるイベント実施などが計画されています。

それ以降は、ゼロ知識証明を基礎にしたソリューションであるzkRollupや、シェーディングのセキュリティ強化なども予定されている状況です。

ONEの買い方

日本国内の取引所はONEを取り扱っていません。そのためONEを購入するなら、Bybit(バイビット)やGate.io(ゲート)などの海外取引所を利用することになります。

日本語対応の海外取引所における、ONEの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。

取引所 現物 デリバティブ
Binance(バイナンス)
Bybit(バイビット)
Gate.io(ゲート)
CoinEX(コインイーエックス)
MEXC(メクシー) ×
BingX(ビンエックス)
Bitget(ビットゲット) × ×

Binance(バイナンス)

現物 デリバティブ

Bybit(バイビット)

現物 デリバティブ

Gate.io(ゲート)

現物 デリバティブ

CoinEX(コインイーエックス)

現物 デリバティブ

MEXC(メクシー)

現物 デリバティブ
×

BingX(ビンエックス)

現物 デリバティブ

Bitget(ビットゲット)

現物 デリバティブ
× ×
bybit gate.io mexc bingx

海外取引所は、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。

レイヤー1の競争を生き残れるか

仮想通貨市場では、レイヤー1のブロックチェーンプロジェクトが数多くあります。また、イーサリアムも、PoSへの移行が間近に迫っています。

Harmonyは、革新的な技術を採用すると同時に、DAppを開発する企業や開発者が利用しやすい環境を整えることで、競争力を高めようとしています。ホライゾン・ブリッジのハッキング事件という不運な出来事もありましたが、主要なレイヤー1のブロックチェーンとして存在感を発揮することができるでしょうか。

コミュニティは活発に動いており、今後も開発や協業などの活動に期待です。


Date

作成日

2022.08.24

Update

最終更新

2023.03.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨USUALの将来性は?RWA活用のステーブルコインプロトコルを解説

仮想通貨USUALは、ステーブルコインプロトコル「Usual」のガバナンストークンです。Usualは、BlackRockなどからRWA(現実資産)を集約してステーブルコインを発行し、その収益をコミュニティに再分配するプロトコルとして注目を集めています。
update2024.11.20 20:00

Milton Marketsが2024年11月より最大100%分入金ボーナスを開催

Milton Marketsで期間限定の100%入金分ボーナスキャンペーンが開催されます。当記事では100%入金分ボーナスの概要や、注意点を中心に解説していきましょう。
update2024.11.20 19:30

スマホ版MT4のやさしい使い方ガイド~iPhone&Androidの基本操作~

この記事では、優先的に押さえておきたいMT4アプリの機能を5つのグループにまとめ、iPhone版とAndroid版での使い方を解説します。「基本操作を手っ取り早く確認したい!」という方はぜひご活用ください。
update2024.11.20 19:00

ZoomexがクリプトバトルZを開催!毎週開催の取引大会で現物USDTやボーナスを獲得

2024年11月1日、海外取引所のZoomex(ズーメックス)が、取引大会シリーズ「クリプトバトルZ」を開催しました。ラウンドごとの特典総額は3,480ドル相当です。当記事では、クリプトバトルZの詳細や参加方法、注意点を解説します。
update2024.11.15 20:00

ゴールドラッシュXMは本当に儲かるのか?ほぼ破綻リスクゼロのEAの実力は

ゴールドラッシュXMのランディングページで謳われている「1ヵ月で取引資金が2倍に」、「破綻リスクはほぼゼロ」という宣伝文句に違わぬ実力が備えられているのか、フォワードテスト・バックテストを実施して検証しました。
update2024.11.14 20:30

Titan FXがブラックフライデーキャンペーンを開催!取引でキャッシュバックが付与

Titan FXが、2024年11月25日(月)からブラックフライデーキャンペーンを開催します。今回のキャンペーンでは、FX通貨ペア銘柄またはゴールドを1ロット取引するごとに500円のキャッシュバックが付与されます。
update2024.11.14 20:00

XMTradingが仮想通貨CFDのスプレッドを縮小!どのくらい狭くなったか検証

2024年10月25日にXMTradingが仮想通貨CFDのスプレッドを縮小しました。この記事では、BTCUSDとETHUSDのスプレッドの計測結果やほかのFX業者と比較した結果を解説します。
update2024.11.14 19:30

Milton Marketsが11月の1万円FXチャレンジとXリポストキャンペーンを開催!

Milton Marketsで、11月の1万円チャレンジが開催されます。この記事では、開催期間や上位入賞の条件、これまでの1万円チャレンジと変わった点などを解説します。
update2024.11.14 19:00

XMTradingがお歳暮プロモを開催!100%入金ボーナスを付与

海外FX業者のXMTradingが2024年10月15日から11月15日までお歳暮プロモを開催することを発表しました。キャンペーン期間中に対象口座へ入金すると、100%の入金ボーナスが付与されます。新規・既存ユーザーの両方が対象です。
update2024.11.12 19:30

Zoomexがあったか冬支度応援キャンペーンを開催!総額76万円相当のビットコインとAmazonギフト券がもらえる

Zoomex(ズーメックス)が、あったか冬支度応援キャンペーンを開催しました。各種条件をクリアすると、総額76万円相当のビットコインとAmazonギフト券を獲得できます。キャンペーン開催期間は、2024年11月19日〜11月25日までです。
update2024.11.07 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル