作成日
:2022.08.24
2023.03.16 15:30
仮想通貨(暗号資産)市場では、ブロックチェーン開発が活況となっています。ブロックチェーンにはレイヤー1と呼ばれるカテゴリがあり、これはDApp(分散型アプリ)を含むシステム全体の土台となっています。Harmony(ONE)もレイヤー1ブロックチェーンであり、有望なプロジェクトとして注目されています。
当記事では、Harmonyの概要から技術的な特徴、将来性などを解説していきます。また、ハッキング事件についても紹介します。
Harmonyは、2019年にリリースされたブロックチェーンです。米大手IT企業でエンジニアを務めたStephen Tse氏を中心に、12名のメンバーで立ち上げられました。
Binanceの投資部門「Binance Lab」から資金提供を受けただけでなく、同取引所でのIEO(イニシャルコインオファリング)でも資金調達を成功させています。このため、将来有望なプロジェクトとして認識されています。また、しばしば他のイーサリアム・キラーと比較されます。イーサリアム・キラー筆頭のポルカドット(DOT)やソラナ(SOL)などと比べると小規模ですが、パフォーマンスに優れています。
イーサリアム・キラーとは、DAppプラットフォームとしてイーサリアムの座を狙うブロックチェーンを指します。スマートコントラクトだけでなく、より効率的なコンセンサスアルゴリズムを採用して、高速取引や安い手数料を実現しています。すなわち、イーサリアム(ETH)が抱えている課題をある程度克服しているのが特徴です。
なお、HarmonyはネイティブトークンとしてONEを発行しています。ONEはガバナンストークンとしてだけでなく、取引手数料の支払いやステーキングに利用可能です。
Harmonyは、高速かつ安価なブロックチェーンとして開発が進められています。すなわち、約2秒で取引を確定すると同時に、平均取引手数料を1円未満に抑えることが可能です。
これらの性能を実現するために、以下のようなユニークな技術が実装されています。
ブロックチェーンは、ブロックを生成するコンセンサスアルゴリズムに従って稼働しています。コンセンサスアルゴリズムには、大きく分けてPoW(プルーフ・オブ・ワーク)とPoS(プルーフ・オブ・ステーク)が存在します。
PoSはPoWと比較して新しいコンセンサスアルゴリズムです。一般的に、PoSの方が効率的にブロックチェーンを稼働できます。消費電力も少ないことから、多くのブロックチェーンがPoSを採用し始めています。
Harmonyは、PoSの派生系であるEPoS(エフェクティブ・プルーフ・オブ・ステーク)を採用しています。
通常のPoSでは、バリデータと呼ばれる少数のノード(ネットワークに参加する端末)がブロックを検証・承認します。一方、EPoSでは、1,000以上のノードがバリデータとなってブロックの生成に貢献します。例えば、イオス(EOS)が20、コスモス(ATOM)が100程度のバリデータ数であるのと比較すると、その数は圧倒的だといえるでしょう。
一般的なPoSは、少数のバリデータに権力が集中します。一方、EPoSは分散化させることで効率的なブロックチェーンを実現しています。
シャーディングとは、トランザクションの検証を複数のバリデータグループで並行して処理する技術です。スケーラビリティ問題(ブロックチェーンの遅延や手数料の高騰を招く問題)に有効だと考えられており、イーサリアムの新ブロックチェーン「ETH2.0」にも実装される見通しです。
Harmonyは、4つのシャードチェーン(シャーディングを実行するブロックチェーン)を展開しています。Harmonyにおけるシャーディングは、実行者に偏りが出ないように、ランダムにバリデータを選出する仕組みが採用されています。
ホライゾン・ブリッジは、Harmonyにおけるクロスチェーンブリッジです。イーサリアムやBNBチェーンなど、異なるブロックチェーンとの架け橋となります。
クロスチェーンブリッジとは、複数のブロックチェーンをつないで、規格の異なる仮想通貨を利用可能にする技術です。この技術が普及すれば、ブロックチェーンを跨いで仮想通貨をやり取りできます。ブロックチェーンが乱立している現在、クロスチェーンブリッジは仮想通貨市場で重要な存在です。
2022年6月、ホライゾン・ブリッジから、1億ドル相当の仮想通貨がハッキングされました。犯人のハッカーは、ミキシングサービスのトルネードキャッシュ(TORN)を使っており、マネーロンダリングで足取りがわからないように工作しています。
仮想通貨市場では、クロスチェーンブリッジを狙ったハッキング事件が頻発しており、コミュニティが痛手を被っています。Harmonyは、ブロックチェーン分析企業や米FBIと協力して事件解決を目指していますが、当記事執筆時点(2022年8月)で、劇的な進展の報告はありません。
ONEは、Harmonyのネイティブトークンです。BinanceやGate.io、Bybitなどの大手取引所で取り扱われています。当記事執筆時点(2022年8月)の時価総額は380億円程度で、仮想通貨市場全体の100位前後に位置しています。
価格推移を確認しますと、2019年に上場してから2021年に入るまで、ほとんど1円以下の価格帯で小刻みな値動きでした。
画像引用:CoinMarketCap
しかし、2021年初旬から高騰し、2022年1月には、40円超えの史上最高値を更新しました。その後、ビットコインと仮想通貨市場全体の値動きに引きずられる形で、ピーク時と比較して約10分の1付近まで落ち込みました。当記事執筆時点では、3円付近で推移しています。
Harmonyでは、開発活動が活発に行われています。当初からエコシステムが拡大しており、将来性はどのように見込まれているでしょうか。
Harmonyは、2026年までにWeb3.0のインフラ機能を強化し、多くのプロジェクトを呼び込むことを計画しています。
Web3.0とは、分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では個々のユーザーが重要な役割を担います。
具体的には、DAO(自立分散型組織)とゼロ知識証明を活用することで、公平で透明性の高いエコシステムを構築しようとしています。DAOとは、コミュニティの運用をより民主的にできる構造で、ゼロ知識証明はユーザーのプライバシーを保護する仕組みです。
これを実現するために、Harmonyは技術的な開発を進めると同時に、3億ドル規模のエコシステムファンドを立ち上げました。このファンドは、各種プロジェクトに支給される見込みです。既に25のDAOが資金供給を受けています。
2022年1月、Harmonyは最新版のロードマップを公開しています。
その中では、2022年の第3四半期までに取引確定までの時間を1秒に短縮することや、競合でもあるブロックチェーンのコスモスとポルカドットとの互換性を確保すること、メタバース(インターネット上に構築された三次元空間)関連の取り組みを盛り上げるイベント実施などが計画されています。
それ以降は、ゼロ知識証明を基礎にしたソリューションであるzkRollupや、シェーディングのセキュリティ強化なども予定されている状況です。
日本国内の取引所はONEを取り扱っていません。そのためONEを購入するなら、Bybit(バイビット)やGate.io(ゲート)などの海外取引所を利用することになります。
日本語対応の海外取引所における、ONEの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。
取引所 | 現物 | デリバティブ |
Binance(バイナンス) | 〇 | 〇 |
Bybit(バイビット) | 〇 | 〇 |
Gate.io(ゲート) | 〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス) | 〇 | 〇 |
MEXC(メクシー) | 〇 | × |
BingX(ビンエックス) | 〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット) | × | × |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
× | × |
海外取引所は、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。
仮想通貨市場では、レイヤー1のブロックチェーンプロジェクトが数多くあります。また、イーサリアムも、PoSへの移行が間近に迫っています。
Harmonyは、革新的な技術を採用すると同時に、DAppを開発する企業や開発者が利用しやすい環境を整えることで、競争力を高めようとしています。ホライゾン・ブリッジのハッキング事件という不運な出来事もありましたが、主要なレイヤー1のブロックチェーンとして存在感を発揮することができるでしょうか。
コミュニティは活発に動いており、今後も開発や協業などの活動に期待です。
作成日
:2022.08.24
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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