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リップル社が米SECとの裁判で一部勝訴!判決のポイントを解説

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update 2023.07.18 16:37
リップル社が米SECとの裁判で一部勝訴!判決のポイントを解説

update 2023.07.18 16:37

リップル社は、米SEC(証券取引委員会)との裁判で一部勝訴しました。

この裁判は2020年12月から続いており、仮想通貨(暗号資産)XRPが証券に該当するかどうかが最大の争点となっています。裁判所は、取引所でのXRP売却は証券取引に該当しないとの見解を示しました。これを受けて、XRP価格は100%近く高騰しています。

米SECとリップル社の裁判で判決が下る

2023年7月13日、米SEC(証券取引委員会)とリップル社の裁判で判決が下りました。

SECは、リップル社および創業者のブラッドリー・ガーリングハウス氏とクリスチャン・ラーセン氏を訴え、XRPを未登録の証券として販売したとしました。

knowledge 仮想通貨に関する論争

仮想通貨は送金や価値の保存に利用されるなど、さまざまな機能があります。プロジェクトの資金調達などにも利用されるため、仮想通貨が証券に該当するとの見方もあります。仮想通貨は新しい存在であり、法的な取り扱いに関する論争が巻き起こっています。

これに対して、被告側は異議を申し立てていました。その結果、裁判所は、機関投資家に対するXRP販売を除いて、違法な証券取引に該当しないとしました。

その根拠としては、主にHoweyテストが挙げられています。つまり、XRP販売の実態が投資契約に基づいた証券取引だったかが重要なポイントとなっています。

point Howeyテストとは

Howeyテストは、特定の取引が投資契約に基づいた証券取引に該当するか判断するテストです。「金銭の投資があるか」「他者の努力から利益が期待できるか」などの要件を満たしているか検証し、総合的な判断を下します。

それぞれのケースに対する裁判所の判決は、次の通りです。

機関投資家への販売

機関投資家へのXRP販売は、「未登録の投資契約による募集および販売」と判断されました。

機関投資家はXRPの購入を通じて、リップル社に投資しました。リップル社が資金をブロックチェーン開発やエコシステム拡大に投資するのを知った上で、XRPを購入しています。また、契約の中には、ロックアップ期間や再販制限、補償条項などが含まれています。

これらを総合的に判断すると、機関投資家へのXRP販売はHoweyテストの要件を満たします。

プログラマティックセールス

プログラマティックセールスは、「投資契約の募集および販売には当たらない」と判断されました。

プログラマティックセールスは、仮想通貨市場でのXRP販売を指します。機関投資家へのXRP販売とは異なり、購入者は資金がリップル社か売り手のどちらに流れるのかを把握していませんでした。加えて、リップル社との契約もありません。

従って、プログラマティックセールスは、Howeyテストの「他者の努力から利益が期待できるか」を満たすには不十分とされました。

その他の分配

その他の分配は、「投資契約の募集および販売には当たらない」と判断されました。その他の分配には、従業員や第三者企業へのXRP譲渡などが含まれます。これらは、投資には当たりません。

創業者による市場での売却

創業者による市場でのXRP売却は、「投資契約の募集および販売には当たらない」と判断されました。

ブラッドリー・ガーリングハウス氏とクリスチャン・ラーセン氏は、大量のXRPを保有しており、それらを市場で売却しました。構造としては、プログラマティックセールスと同じで、Howeyテストの要件を満たさないとされました。

今回の判決のポイント

今回の判決は、非常に重要なものとなりました。判決のポイントとしては、以下が挙げられます。

取引所での売却は問題ない

裁判所は、プログラマティックセールスが証券取引でないと判断し、少なくとも取引所を通じてXRPを売却するのは問題ないとの見解を示しました。

このXRP裁判の結果は、他の仮想通貨にも同様に適用されると考えられます。つまり、一般的な取引所での仮想通貨取引は、概ね証券法に違反しないと解釈できます。

場合によっては証券になり得る

XRPが証券であるかの判断は、その実態によって異なります。リップル社は、その性質からXRPがコモディティに近いと主張していましたが、裁判所は、単純にXRP自体が証券に該当しないと判断したわけではありません。

point コモディティとは

コモディティ(Commodity)は商品を意味し、金融分野では商品先物市場で取引されている農業生産物・鉱業生産物を指します。

今回はHoweyテストが判断基準となり、その要件を全て満たしたXRP販売が証券取引と見なされました。

リップル社の部分的な敗訴でもある

今回の裁判は、リップル社の部分的な敗訴でもあります。

リップル社は、約7億ドル相当のXRPを機関投資家に販売しており、これが証券法違反と結論付けられています。これに関して、リップル社はペナルティが課せられる可能性があります。

仮想通貨市場に対する影響

今回、裁判所の判決は、仮想通貨市場に大きな影響を与えています。

仮想通貨コミュニティに安堵感

この裁判は、仮想通貨市場の未来を占うイベントとして意識されてきました。今回、ひとまずXRPの法的正当性が認められて、仮想通貨コミュニティには安堵感が広がっています。

仮想通貨メディアがリップル社の勝利を大々的に伝えているのに加え、Twitter(ツイッター)上では、有識者たちがXRPが証券に該当しないとの認識を共有しています。

弁護士のJeremy Hogan氏は、「世界中にあるほとんどのXRPは証券ではありません」とツイートしています。また、業界に精通するAdam Cochran氏は、ICOやIEOなどによるトークンセールでなければ、取引所を通したXRPの販売が問題にならないと言及しています。

point トークンセールとは

トークンセールは、プロジェクトによる仮想通貨の販売を意味します。ICO(イニシャルコインオファリング)やIEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)、IDO(イニシャルDEXオファリング)など、いくつか種類がありますが、いずれもプロジェクトの資金調達を目的にしています。

米取引所でのXRPの取り扱いが再開

SECとリップル社の裁判が始まって以降、米国内の取引所ではXRPの上場廃止が進んでいました。

しかし、取引所でのXRP売買が証券法に違反しないとの判決が下り、米取引所によるXRPの取り扱いが再開されつつあります。

コインベースは、裁判所の判決が出てすぐに、XRPを再上場すると発表しています。同じくクラーケンも、XRPの取り扱いを再開すると発表しています。ジェミニは、XRPの再上場を検討するとコメントしています。

XRP価格が急騰

リップルと日本円の価格チャート

画像引用:CoinMarketCap

今回の判決を受けて、65円付近だったXRP価格は110円を超える水準に急騰しました。これまでXRP価格は、法的リスクへの懸念から低い水準で推移していましたが、それを一気に払拭する格好となりました。

当記事執筆時点(2023年7月18日)では、市場の興奮がやや冷めてきており、100円台で推移しています。

米SECとリップル社の裁判の経緯

米SECとリップル社の裁判は、2020年12月末に始まりました。

SECは、リップル社やその代表者が未登録証券を販売したとして提訴しました。一方のリップル社側はXRPは証券でないと反論しており、「XRPが証券に該当するか」が最大の争点になっています。

反論としては、SECがビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を証券に該当しないと位置付けているのにもかかわらず、XRPだけが該当する理由が不明瞭であることなどが挙げられました。

今回の連邦地方裁判所ではHoweyテストに沿った判決が下り、リップル社側の一部勝訴になりました。これは同時に、SEC側の一部勝訴でもあります。

今後の裁判の展開

SECとリップル社の裁判は、今後も続く可能性があります。和解の道に進む可能性もありますが、両者とも完全な勝利を掴んだわけではなく、上級裁判所で戦いが続くかもしれません。

SECの担当者は、リップル社の主張が部分的に退けられたのを強調しつつ、判決についての見直しを継続するとコメントしており、控訴の可能性をほのめかしています。

専門家の中には、SECが控訴する可能性が高いと考える者も多く、戦いは続くとの見方が強まっています。今後、判決が覆る可能性もあります。

アルトコインバブルのきっかけとなるか

仮想通貨XRPやその他仮想通貨の法的正当性が強まったのを受け、主要なアルトコインは、軒並み価格が高騰しています。ソラナ(SOL)やアバランチ(AVAX)、ポリゴン(MATIC)などは、XRP価格の上昇に伴って、20%から30%程度の値上がりを記録しています。

リップル社とSECの裁判は、完全に決着したわけではありません。リップル社の完全勝利に終われば、これがアルトコインバブルのきっかけとなるかもしれません。


Date

作成日

2023.07.18

Update

最終更新

2023.07.18

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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