作成日
:2023.07.05
2024.05.16 17:10
スメルトークン(SML)は、スメルマーケット(Smell Market)の独自仮想通貨(暗号資産)です。
スメルマーケットは、香りをNFT化して取引する世界初のマーケットプレイスです。「Smell to Earn(匂いで稼ぐ)」をコンセプトにしており、フレグランス業界に革新をもたらす可能性があります。元セクシー女優の明日花キララ氏とコラボし、日本国内で話題の仮想通貨となっています。
当記事では、スメルトークンの特徴や仕組みなどを紹介していきます。
画像引用:ATIT
スメルトークンは香りを取引できる「スメルマーケット」の仮想通貨で、大手取引所MEXCなどに上場しています。香りはNFTの形で売買され、専用のハードウェアデバイスで実際に匂いを楽しめます。
ドバイに本拠を置くAvalanch Tech IT Solution(ATIS)によって開発されており、この企業は楽天グループ出身のTSAI氏が立ち上げました。
近年、フレグランス業界では、香りのデータ化が実現しつつあります。しかし、標準化されたデータ型式などは存在せず、それがイノベーションの妨げとなっています。
スメルマーケットはその問題に切り込み、標準化規格を採用して香りのデータ化を促進します。
専用のハードウェアデバイスには、プリンターのインクのように香料のカートリッジが仕込まれており、データ通りの香りを再現できます。このデバイスを使って香りを体験できます。
また、データ化された香りはNFTとして発行され、その著作権が保護されます。ホワイトペーパーでは、この仕組みが「フレグランス業界版のJASRAC(日本音楽著作権協会)」になると説明しています。
スメルマーケットは、フレグランス業界の課題を解決しようとしています。
例えば、一般的なディフーザー(香りを拡散させるアイテム)の場合、香りを買うと使い切る必要があったり、価格が高価だったり、さまざまな問題があります。
スメルマーケットならば、音楽をダウンロードして楽しむ要領で、いろいろな香りを手軽に楽しめます。
また、フレグランス業界では、調香師がクライアントごとに香りを調合するビジネスモデルが採用されており、ビジネス規模を拡大しづらいという課題があります。スメルマーケットは、NFTとして香りのレシピを大規模に販売できるので、ビジネスの拡大が容易となります。
スメルマーケットは、「Smell to Earn(匂いで稼ぐ)」の実現を目指しています。
スメルメーケットでは、クリエイターは2種類のNFTを発行できます。香りの所有権であるオーナーカードと、香りを利用できるコモンカードです。
クリエイターは、これらのNFTを投資家やユーザーに販売して利益を上げます。
それぞれのNFTは、次のような使い道があります。
オーナーカードを保有すると、NFT再販の利益の一部が配当として付与されます。二次流通市場で再販して現金化でき、他人にレンタルすることもできます。
一次流通市場は新規発行の仮想通貨を販売する市場です。それに対して、二次流通市場は投資家同士が保有する仮想通貨を売買します。
コモンカードを使うと、専用のハードウェアデバイスで香りを楽しめます。オーナーカードと同じく、二次流通市場で取引したり他人にレンタルしたりできます。
スメルマーケットはNFTを活用して、フレグランスの権利の管理システムを構築します。クリエイターは、フレグランスの利用回数に制限をかけたり、利用回数に応じた課金プランを付与できます。
スメルトークンは、日本国内で積極的なプロモーション活動を展開しており、仮想通貨コミュニティで話題となっています。
特に、元人気セクシー女優の明日花キララ氏とコラボして注目が集まっている模様です。2022年末、明日花キララ氏をイメージしたフレグランスがNFTとして1万個限定で先行販売されました。
Twitter(ツイッター)上では、多数のインフルエンサーがスメルトークンに言及しており、LINEのチャットグループなども登場しています。
また、スメルトークンの公式アカウントは、インフルエンサーと共同でAMAを実施しています。このためスメルトークンは評判を高めており、熱心なファンも付き始めている状況です。
AMAとは、Ask Me Anythingの略称で、日本語で「なんでも聞いてください」という意味です。プロジェクトの創設者や開発者がライブ配信でユーザーの質問に回答します。
スメルトークンは、MEXCなどの取引所に上場しています。
2023年5月にMEXCに上場して以降、右肩上がりで推移しています。当記事執筆時点(2023年7月4日)で1.4円を超えて推移しています。
画像引用:MEXC
スメルトークンは、当記事執筆時点(2023年7月4日)で正式なサービスをローンチしておらず、これから事業を展開する予定です。
代表のアレックス氏は、YouTubeチャンネル「Coin Club Japan」のインタビューの中で、専用のハードウェアデバイスの開発状況について触れています。
それによると、2023年8月にサブスクリプション形式で販売を開始し、同年度中に最低1万台の販売を見込んでいます。
スメルトークンの著作権管理業務を担うHorizonは、エイベックスエンターテインメントとパートナーシップを締結し、「Lis'mell」というプロジェクトを立ち上げました。Lis'smellは、音楽と香りを融合したエンターテインメントです。
画像引用:Horison
加えて、女優の黒木瞳氏が出演する映画「魔女の香水」とのコラボも実現しています。
スメルマーケットは、2023年から2025年末までのロードマップを公開しています。詳細は次の通りです。
ステーキングとはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)の仮想通貨で採用される仕組みで、ブロックチェーンの維持に貢献する対価として報酬を得ることを指します。また、仮想通貨を貸し出して報酬を得られるサービスをステーキングと呼ぶこともあります。
メタバースとは、インターネット上に構築された三次元空間を指し、主にコミュニケーションツールやゲームとして利用されています。
PoSはブロック生成ルールの1つです。ビットコイン(BTC)などが採用するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)と比較して、電力消費が少ない点や拡張性が高い点などで注目されています。
なお、ロードマップによると、2023年中にステーキングが可能になり、そして2025年にPoSに移行します。一見すると矛盾した内容になっていますが、ステーキングやPoSについて一般的な意味と異なる可能性があります。
事業が進むにつれてサービス内容が徐々に明らかになると期待できますので、公式の発表に注目です。
スメルトークンは、保有するだけでメリットのある仮想通貨です。詳細はまだ固まっていないものの、保有枚数に応じて特典が変化するシステムです。
ある一定以上のスメルトークンを保有すると、スメルマーケットでのNFTトークンセールに早期参加できます。歴史的に価値のあるNFTや、有名ブランドとのコラボNFT、限定版の特別なNFTをいち早く購入できます。
クリエイターとしてスメルマーケットに参加するには、スメルトークンを保有する必要があります。クリエイターになれば、オリジナルフレグランスを作って販売できます。
また、コンテストが定期的に開催されます。優勝者には、セレブリティやキャラクターをイメージしたオリジナルフレグランスを作成する権利が与えられます。
ロードマップでは、スメルトークンのステーキング機能の開発が計画されています。スメルトークン保有者は、ステーキングを通じて、受動的な利益を得ることができます。
スメルトークンは、スメルマーケットのガバナンストークンです。ガバナンストークンは、DAOでの投票券として利用できます。スメルトークン保有者は、運営方針に関する提案に対して、賛成・反対を投票できます。
DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して民主的で透明性が高いと見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用されています。
ATISは、NFT取引の月額サービス「Atodashi」をベータ版として公開しています。
Atodashiは、NFTを仮押さえする月額サービスです。高額になりがちなNFT投資をより手軽にする画期的な仕組みを採用しています。
Atodashiは、NFTを買う権利を売買します。まず、ユーザーは、欲しいNFTを「ホールド」します。その際に購入費用は必要ありません。その後、そのNFTが値上がりすれば、正式に購入、値下がりすれば購入をキャンセルできます。
A例えば、NFT価格が100万円から200万円に値上がりした場合、元値の100万円でNFTを購入できます。すなわち、100万円の利益を手にします。反対に、NFT価格が100万円から50万円に値下がりした場合、購入しなくて良いので損失はありません。
この権利を得るために、月額で費用を支払います。また、プランによってホールドできるNFTの枚数が変わります。2023年6月末時点では月額5,000円のプランのみで、NFT3枚までホールドできるようになっています。
なお、当記事執筆時点(2023年7月4日)で、Atodashiはハッカーの攻撃を受けて緊急メンテナンスを行なっています。
発表によると、2023年6月23日から24日にかけての取引が無効化される見込みです。サービスの利用が一時停止されており、2023年7月4日(火)時点で公式からの発表はありません。
スメルマーケットの技術的な特徴は次の通りです。
スメルマーケットは、香りのデータを定量的に表現するために、世界標準コード「.sme」を採用しています。
このコードには、「カートリッジ番号」、「持続時間」、「強度」などのパラメータが記録されています。専用のハードウェアデバイスは、これらを読み込んで、香りを出力します。
スメルマーケットは、ポリゴン(MATIC)のブロックチェーンで構築されます。
ポリゴンは、イーサリアム(ETH)の主要なレイヤー2です。イーサリアムはトランザクション速度や取引手数料に難を抱えていますが、ポリゴンはこれらの問題をある程度解決しています。
多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。基礎的な役割を担うブロックチェーン層をレイヤー1と呼び、レイヤー1の情報処理を助ける層をレイヤー2と呼びます。
スメルマーケットは、IPFSサーバを活用し、サービスを構築します。
IPFSサーバ/ストレージは、P2Pネットワークで構成された分散型サーバです。中央集権型のサービスと比較して、特定の管理者が存在しないので、データを消されたり、検閲されたり、利用停止になることがないのが利点です。
一般的なNFTは、画像などのコンテンツが外部のサーバに記録されています。それを固有のIDと紐付けして、NFTとして成り立たせています。
多くのNFTは、AWS(Amazon Web Service)などの企業が管理するサーバにデータを記録しています。一方、スメルマーケットは、IPFSサーバを活用してNFTを管理しているので、より分散化されたサービスだといえるでしょう。
当記事執筆時点(2023年7月4日)で、専用のハードウェアデバイスやマーケットプレイスなどのサービスは未公開です。このため、スメルトークンが持続可能かどうかは、まず、サービスをリリースできるかに影響されます。
もし、予告されているサービスがリリースされなければ、スメルトークンは無価値になる可能性があります。サービスがリリースされれば、あとはユーザーが継続的に利用するかにかかっています。
NFTや専用のハードウェアデバイスの販売、ゲームやメタバース、広告事業など、複数の収益源があるので、これらの領域で利益を伸ばせるかが肝になります。
また、スメルトークンの総供給量は、120億SMLに設定されています。事業がきちんと回っている間は、無限の売り圧力に負けて仮想通貨価格が崩壊することは回避できそうです。
その他、いくつかの懸念が考えられます。ただし、情報はこれから徐々に公開されると見込まれますので、公式発表を待って考えたいところです。
Atodashiがハッキングでサービスを停止し、その後どうなったのかについて情報公開がありません。ハッキングは極めて重要な事故であり、これについて長期間にわたって情報公開がないと、事業の安全性について懸念が出る可能性があります。
このプロジェクトはフレグラント業界を変える潜在能力を持っていますが、フレグラント業界との協力関係について情報が公開されていない模様です。
著名人等の支援を受けているものの、まだ情報公開していないだけという可能性もあります。業界事情を知る人材が内部にいるかどうかは、ビジネスの成否に影響するかもしれません。
香りの著作権や所有権に関して、法制度は世界各国で異なるため膨大な知識が必要になります。法律の専門家を内部に抱えているか、世界的に活動可能な法律の専門家と協力関係にあるかどうかは、ビジネスの成否に影響するかもしれません。
新規の仮想通貨プロジェクトはベンチャーキャピタルからの資金調達が重視される面があり、億円の単位の資金調達がしばしば報道されます。
一般投資家から見て、資金調達の有無はプロジェクトの成功確率を判断する基準の一つであり、また、プロジェクト運営者の身元がしっかりしているかどうかを予想する基準でもあります。
スメルマーケットはベンチャーキャピタル等からの資金調達はないように見えます。しかし、資金調達がないとダメだというわけではなく、そこまでの資金を必要としていない可能性もあります。
スメルマーケットは、世界初となるフレグランスNFTのマーケットプレイスだと謳っています。期待通りになれば、フレグランス業界だけでなく世界を変える発明となるかもしれません。どのような使い方ができるのかは、これから模索する必要がありそうですが、可能性はあるといえるでしょう。
スメルトークンは、そのエコシステムの中核となる存在です。スメルマーケットに興味があれば、スメルトークンを調査してみるのも良いかもしれません。
作成日
:2023.07.05
最終更新
:2024.05.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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