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テザーゴールド(XAUT)の特徴やメリット・デメリットを解説|仮想通貨市場で人気を二分する金連動型ステーブルコイン

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update 2024.02.16 18:13
テザーゴールド(XAUT)の特徴やメリット・デメリットを解説|仮想通貨市場で人気を二分する金連動型ステーブルコイン

update 2024.02.16 18:13

テザーゴールド(XAUT)は現物の金(ゴールド)を価値の裏付けとするステーブルコインで、パクソスゴールド(PAXG)と人気を二分しています。

当記事では、テザーゴールドの特徴やメリット・デメリット、その仕組みなどを解説していきます。

テザーゴールドとは

テザーゴールド

テザーゴールドは、現物の金に価値を裏付けされたステーブルコインです。

一般的なステーブルコインは、米ドルなど法定通貨の価値に連動します。一方、テザーゴールドは、1トロイオンス相当の金と同等の価値を持つように設計されています。このようなステーブルコインを金連動型ステーブルコインと呼びます。

knowledge 金の基本単位

金の市場では、基本的な単位としてトロイオンスが使用されます。トロイオンスは、常用のオンスと異なり、主に貴金属や宝石の計量に用いられます。1トロイオンスは、約31.103グラムです。

テザーゴールドは、テザープラットフォーム上で発行されています。テザー(USDT)がテザー社によって発行されているのに対し、テザーゴールドは、TG Commodities Limitedが発行会社となっています。

仮想通貨投資家による価値保存手段

テザーゴールドは、仮想通貨投資家の価値保存手段として開発されました。法定通貨はインフレで価値が徐々に減少するのに対し、金は普遍的な価値を持っており、価値を保存する手段のひとつとなっています。

knowledge インフレリスクをヘッジする金

投資家はリスクに留意しながら、多様な資産に投資します。金は主にインフレリスクをヘッジする資産として、ポートフォリオに組み込まれます。金はインフレ時に需要が高まる傾向にあります。

テザーゴールドは仮想通貨を金に交換可能で現金を経由する必要がなく、仮想通貨投資家に重宝されています。また、イーサリアム(ETH)のERC-20トークンとして発行されており、幅広い仮想通貨投資家が利用できます。

point ERC-20とは

ERC-20とはイーサリアムの規格の一種です。規格とは機能を標準化したもので、ERC-20規格で作られたトークンはお互いに互換性があります。また、ERC-20規格に対応したウォレット等で使用することもできます。

主要な金連動型ステーブルコイン

仮想通貨市場では金連動型ステーブルコインが市民権を得ており、当記事執筆時点(2023年7月2日)で時価総額は1,400億円を突破しています。

テザーゴールドは、パクソスゴールド(PAXG)と人気を二分しています。時価総額は当記事執筆時点(2023年7月2日)で約680億円で、仮想通貨市場全体で80位前後の規模となっています。

テザーゴールドの特徴

テザーゴールドの特徴としては、次のようなものが挙げられます。

  • 現物の金と交換できる
  • テザープラットフォームによって管理されている
  • 大手取引所での取り扱いがある

現物の金と交換できる

テザーゴールドは、ロンドン貴金属市場協会の基準をクリアした「グッド・デリバリー・バー」の金を担保としています。テザーゴールド保有者は、トークンと現物の金インゴットを交換できます。

テザープラットフォームによって管理されている

テザープラットフォームでは、テザーゴールドに加え、米ドルやユーロ、中国元、メキシコペソなどを対象としたステーブルコインが発行されています。

これらのステーブルコインは、テザープラットフォームを通じて発行や償還ができます。また、それぞれの準備金や毎月の監査レポートなども公開されています。

大手取引所での取り扱いがある

また、大手取引所を中心に多数の取引所に上場しています。当記事執筆時点(2023年7月2日)では、OKXやHuobi、Gate.io、Bitfinexなどで取り扱いがあります。

テザーゴールドのメリット・デメリット

金への投資は、様々な形で実現できます。身近なものとしては、ETF(上場投資信託)や先物契約、現物投資などがあります。

point ETFとは

ETFはExchange Traded Fundの略称で、日本語では上場投資信託と呼ばれます。その名の通り、上場株式と同様に取引できる投資信託です。

これらの一般的な投資方法と比較して、テザーゴールドには、次のメリット・デメリットがあります。

メリット

テザーゴールドのメリットは、以下の通りです。

  • 24時間取引できる
  • 少額から投資できる
  • 保管手数料がかからない

24時間取引できる

従来の市場の場合、取引所が開いている時間だけ取引できます。

一方、仮想通貨は、ブロックチェーンが稼働している限り24時間取引できます。市場に重大な変化があったら素早く対応できるのがメリットです。

少額から投資できる

テザーゴールドは少額から投資可能です。一般的に、金の現物投資ではインゴットを購入します。1トロイオンス未満のものもありますが、金は高価なので投資額が大きくなりがちです。

その点、テザーゴールドは、0.000001トロイオンスから購入可能です。

保管手数料がかからない

従来の金の現物投資では、カストディアンと呼ばれる管理会社が資産を管理します。

point カストディアンとは

カストディアンとは、投資家に代わって仮想通貨や有価証券等を預かる金融機関です。

カストディアンが安全に金を保管する代わりに、投資家は保管手数料を支払います。テザーゴールドなら、保有していても保管手数料がかかることはありません。

デメリット

テザーゴールドのデメリットは、以下の通りです。

  • 送金手数料が高騰するリスク
  • 価格が乖離する可能性
  • 税制で不利になる可能性

送金手数料が高騰するリスク

テザーゴールドはイーサリアムを基礎とするトークンで、イーサリアムのブロックチェーン上で送金ができます。

しかし、イーサリアムは、慢性的なスケーラビリティ問題を抱えており、送金手数料が高騰するリスクがあります。送金手数料が高騰すれば、ウォレット間での移動が難しくなります。

point スケーラビリティ問題

スケーラビリティ問題とは、ブロックチェーンの処理能力に起因する障害です。ブロックチェーンにトランザクションが集中すると、取引の遅延や手数料の高騰などが発生します。ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンは、慢性的にスケーラビリティ問題に悩まされています。

価格が乖離する可能性

テザーゴールドは、金価格に連動するように設計されています。しかし、それが完全に保証されているわけではありません。

テザーゴールドのようなステーブルコインは、担保となる資産を管理する企業の信用不安やシステムの欠陥などでデペッグする可能性があります。デペッグとは、ステーブルコインが裏付け資産に対して価値を失うことです。

当記事執筆時点(2023年7月2日)で、テザーゴールド価格がデペッグしたことはありません。誤差はありますが、概ね安定しています。

テザーゴールドと金1オンスの値動き比較

画像引用:TradingView

しかし、テザーゴールドがデペッグするリスクは常にあるので、念頭に入れておく必要があります。

税制で不利になる可能性

日本における仮想通貨の最高税率は、所得税と住民税合わせて55%に設定されています。

一方、ETFや先物契約などは、税率が一律で約20%です。また、現物の金の場合は、特別控除額50万円を除いた利益額に課税され、保有期間が5年を超える場合は、50万円を控除した額のさらに半分に課税されます。

テザーゴールドは仮想通貨に分類されるので、利益額が大きくなると税制で不利になる可能性があります。

テザーゴールドの仕組み

テザーゴールドは3社(TG Commodities Limited、スイスのディーラー、カストディアン)によって成り立っています。

テザーゴールドの仕組み

TG Commodities Limitedは、ユーザーの入金に応じてテザーゴールドを新規発行します。

その後、新規発行されたテザーゴールドを担保するために、スイスのディーラーが国内市場から金を調達し、同じくスイスのカストディアンが管理サービスを提供します。

また、ユーザーがテザーゴールドを償還する時には、担保となる金が売却されて、手数料を差し引いた資金が戻る仕組みになっています。

こうすることで、TG Commodities Limitedは、発行されたテザーゴールドと担保となる金のバランスを保っています。

新規発行は大口投資家向け

テザーゴールドを新規発行するには、公式ウェブサイトから口座を作る必要があります。

本人確認を行い、受け取りのウォレットアドレスを指定し、資金を入金すると、3営業日から5営業日で新規発行のテザーゴールドが手に入ります。

しかし、テザーゴールドの新規発行は、最低50XAUTからとなっています。当記事執筆時点(2023年7月2日)で、50XAUTは、1,000万円を超えているので、大口投資家向けとなっています。

一般の投資家は、流通するテザーゴールドを取引所で購入するのが現実的です。

テザーゴールドと金を交換する方法

テザーゴールドを現物の金と交換するには、新規発行と同じく、口座を作って申請する必要があります。

十分なテザーゴールドを保有していれば、金インゴットひとつ単位で交換が可能です。交換に必要なテザーゴールドの数は、実際の金インゴットの重量によって増減しますが、交換レートは1XAUT=1トロイオンスに固定されています。

金インゴットの重量はバラバラですが、通常、385トロイオンスから415トロイオンスの範囲に収まります。最大430トロイオンスの金インゴットもあるので、確実に交換するには、最低430XAUT以上を保有するのが推奨されています。

交換で手に入る金インゴットは、スイス国内の指定された住所に送付されます。手数料として金の時価総額の0.25%と配送料が請求されます。

必ずしもテザーゴールドである必要はない

テザーゴールドは、金投資に便利な選択肢です。しかし、他の手段で金市場へアクセスできるのであれば、必ずしもテザーゴールドを選択する必要はありません。テザーゴールドは、あくまでも仮想通貨市場の資金を金に避難させる、または、仮想通貨ポートフォリオにヘッジをかけるケースで利便性を発揮すると考えられます。

いざという時に使えるかもしれないので、覚えておいて損はないといえるでしょう。


Date

作成日

2023.07.05

Update

最終更新

2024.02.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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