作成日
:2023.06.12
2024.06.30 11:15
エリオット波動は長きにわたり投資家に愛用されている理論ですが、使えないと考えるトレーダーも多くいます。一方で、本当にエリオット波動は使えないのか、なぜそのように考えられているのか疑問を持っている人も多いでしょう。
この記事では、エリオット波動が使えないといわれている理由、使える・使えない両方の立場の口コミについて解説します。
エリオット波動は、相場には波動があり5つの上昇波と3つの下降波で1つの周期が形成されるという理論です。
米国のラルフ・ネルソン・エリオット氏が1938年に開発して以降、今でも多くの投資家やアナリストから高い評価を受けています。エリオット波動の各波にはさらに細かい波があるため、実際の相場ではより細かい動きとなるでしょう。
なお、エリオット波動が下降トレンド時に出現する場合、5つの下降波の後に3つの上昇波が出現します。
エリオット波動にはインパルスとダイアゴナルの2つのパターンがあるため、それぞれ条件が変わります。順番に見ていきましょう。
まず、一般的なエリオット波動の形となるインパルスには3つの条件があります。
1波、3波、5波のうち、3波がもっとも短くなることはありません。3波がもっとも短くなること=3波が必ず長くなるとは限りません。1波や5波が長くなるパターンもあります。
2つ目の条件は、2波が1波を超えて安値をつけることはない点です。よって、2波は必ず1波の安値より高値で上昇方向に転換します。
3つ目の条件は、4波が1波の高値よりも下回ることがない点です。深く押したとしても、1波の終わりよりも高値で転換して5波がはじまります。
次にダイアゴナルの条件について見ていきましょう。ダイアゴナルの条件は以下の通りです。
ダイアゴナルは、1波や5波で出現しやすいパターンです。ダイアゴナルには、上の画像のように高値と安値の幅が狭くなる収縮型ダイアゴナルと高値と安値の幅が広くなる拡大型のダイアゴナルがあります。
インパルスとダイアゴナルでは形がまったく違うため、条件も異なります。一般的に多くのインターネット上のサイトや書籍で紹介されているのはインパルスのエリオット波動です。初心者はまずインパルスの条件を押さえておきましょう。
エリオット波動は5つの上昇波と3つの下降波からなります。それぞれの波の特徴について表でまとめてみました。
波 | 特徴 |
---|---|
1波 |
・値固めの段階であり、下降トレンドの戻りに見える
・伸びは大きくないが、長く伸びると上昇トレンドに移行しないケースがある
|
2波 |
・1波の安値を割らなければ本格的に上昇しやすくなる
・1波の上昇に対して懐疑的なトレーダーが多いため深く押しやすい
|
3波 | ・出来高が増加するので大きく伸びやすい波 |
4波 |
・押し目買いあるいは戻り売りとなる局面で複雑な動きをしやすい波
・2波目とは違ったパターンの動きになりやすい
・2波よりも長くなりやすい
(3波がもっとも短くなることはないため)
|
5波 |
・緩やかに上昇しやすい波
・3波が短い場合は5波で大きく伸びやすい
|
a波 | ・上昇5波で利益確定した投資家の動きが反映された波 |
b波 |
・a波の下落を見た投資家による押し目買いの動きが反映される波
・フラット、ジグザグ、トライアングルなどのパターンになる可能性がある
|
c波 |
・上昇トレンドの終了が確定する波
・a波の安値を抜けると下落が本格化する
|
エリオット波動でトレードする場合は、それぞれの波がどのような投資家心理によって出現したのか、フィボナッチでどの目安まで戻すのか分析することが重要です。
フィボナッチとは、フィボナッチ比率と呼ばれる比率を用いて相場分析を行う手法です。フィボナッチ・リトレースメントやフィボナッチ・エクスパンションなどの種類があります。
エリオット波動が使えないと考えているトレーダーは少なくありません。エリオット波動が使えないといわれている理由についていくつか紹介します。
エリオット波動について解説しているインターネット上のサイトや書籍を見ると、以下のように波の形を紹介しています。
しかし、実際の相場では教科書通りのエリオット波動が出現するケースは多くありません。上昇5波では、一直線に上昇や下落を繰り返すのではなく、複雑に動きながら上昇しています。カウントを間違えないように注意が必要です。
エリオット波動では、各波に記号を振ることをカウントと呼びます。カウントを間違えると戻しや伸びを正しく判断できないため、利益を得るのが難しくなります。エリオット波動は、立派な理論ですが出現頻度が少ないので、ほとんど使える場面がないと考えるトレーダーも多くいます。
エリオット波動の理論は、以下のように覚えることが多いため初心者には理解しにくいといった主張もあります。
有名なテクニカル指標である移動平均線のゴールデンクロス、プライスアクションなどと比べると、エントリーや利確・損切りのルールも明確ではありません。
移動平均線におけるゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上へ抜ける現象のことです。ゴールデンクロスが出現すると、価格が上昇する可能性があります。
早くFXでお金を稼ぎたいと考える人にとって、複雑で理解しにくい理論を実践で使うことは簡単ではありません。その結果、エリオット波動は難解すぎて使えないと考える人も多くいます。
エリオット波動はカウントが難しいため、1つの波の範囲がトレーダーの主観に左右されやすい手法です。
上のチャートのように、3波の上昇中でこれから本格的に上昇すると考える人もいれば1波の途中なので大きくは伸びないと考える人もいます。トレード中に現在の相場がどの波なのか正確に判断するのは難しいため、後からチャートを見た際にようやく現在の波が何波なのか理解できる人が大半です。
都合良く後付けやこじつけで判断できても、トレードで利益を得ることはできないため、エリオット波動は使えないと判断されやすくなります。
エリオット波動を開発したエリオットは、もともとレストランと鉄道会社専門の会計士のため、最初から株式投資の経験が豊富だったわけではありません。相場師でなく研究者としての位置付けが強いエリオットが開発した理論は信頼できないと考える人もいます。
しかし、エリオットの死後もフロスト・プレクター・ボルトンなどアナリストによって研究が行われています。1980年代にはアメリカのダウ平均の強気相場やその後のブラックマンデーを的中させた実績もあります。
現在では、アメリカだけでなく日本をはじめとしたほかの国でもエリオット波動の信奉者が、エリオット波動による分析を行っているのです。こうしたことから、エリオットが相場師ではないという理由だけで、エリオット波動が使えないという主張は正しいとはいえないでしょう。
エリオット波動の使い方が良くわからないと考える人も多いでしょう。実はエリオット波動はさまざまな使い方のできる理論です。エリオット波動の一般的な使い方について順番に解説します。
エリオット波動では推進波と修正波の2種類があります。
上昇トレンド時のエリオット波動の場合、1波、3波、5波は推進波、2波と4波は調整波になります。このうち、調整波である2波・4波と修正波のa波・b波については、フィボナッチ・リトレースメントで戻しを判断します。
調整波と修正波の一般的な戻しの目安は以下の通りです。
波 | フィボナッチ・リトレースメントによる戻しの目安 |
---|---|
2波 | ・フィボナッチ・リトレースメントで1波の38.2%や61.8%まで戻すケースが多い |
4波 | ・フィボナッチ・リトレースメントで3波の38.2%や50%の戻しが目安となる |
a波 | ・フィボナッチ・リトレースメントで5波の38.2%、50%、61.8%、100%が目安となる |
b波 |
・a波が5波動ならa波の61.8%以内になりやすい(38.2%、50%)
・a波が3波動ならa波の61.8%以上になりやすい(61.8%、78.2%、100%)
|
フィボナッチ・リトレースメントによる戻しの目安
2波 | ・フィボナッチ・リトレースメントで1波の38.2%や61.8%まで戻すケースが多い |
---|---|
4波 | ・フィボナッチ・リトレースメントで3波の38.2%や50%の戻しが目安となる |
a波 | ・フィボナッチ・リトレースメントで5波の38.2%、50%、61.8%、100%が目安となる |
b波 |
・a波が5波動ならa波の61.8%以内になりやすい(38.2%、50%)
・a波が3波動ならa波の61.8%以上になりやすい(61.8%、78.2%、100%)
|
たとえば、4波の場合は、3波の38.2%や50%戻すケースが多いです。以下のようにフィボナッチ・リトレースメントを引きます。
実際に上のチャートでは、フィボナッチ・リトレースメントの50%付近で転換して5波へ移行していることがわかります。
エリオット波動のうち推進波や修正波のc波では、フィボナッチ・エクスパンションによりどこまで伸びるのか予測します。
推進波およびc波の一般的な伸びの目安は以下の通りです。
波 | フィボナッチ・エクスパンションによる伸びの目安 |
---|---|
3波 | ・フィボナッチ・エクスパンションで1波の161.8%や261.8%が目安となる |
5波 | ・1波と同じくらいの長さになりやすいが、1波から3波の高値までの1.618倍となる可能性もある |
c波 |
・フィボナッチ・エクスパンションでa波の161.8%や261.8%が一般的な目安となる
・1波から5波の38.2%、50%、61.8%、78.2%、100%になるケースもある
|
フィボナッチ・エクスパンションによる伸びの目安
3波 | ・フィボナッチ・エクスパンションで1波の161.8%や261.8%が目安となる |
---|---|
5波 | ・1波と同じくらいの長さになりやすいが、1波から3波の高値までの1.618倍となる可能性もある |
b波 |
・フィボナッチ・エクスパンションでa波の161.8%や261.8%が一般的な目安となる
・1波から5波の38.2%、50%、61.8%、78.2%、100%になるケースもある
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大きな利益を狙う場合は、推進波やc波を狙います。たとえば、c波を狙う際は、a波の161.8%や261.8%まで伸びるケースが多いです。以下のようにフィボナッチ・エクスパンションを引いてみましょう。
実際にc波はフィボナッチ・エクスパンションの261.8%前後まで下落しています。
エリオット波動の上昇5波のうちもっとも伸びやすいといわれているのが3波です。3波が伸びやすい理由は、売り方の損切り・利確、買い方の新規注文が重なる場所だからです。
1波の上昇時は、まだ下降トレンドの継続を信じているトレーダーが多いので大きく伸びないケースが多くなります。
しかし、2波の戻しが1波の始点を下回らなかったことで下降トレンドが終了したと考えるトレーダーが増えるため、売り方の損切りや利確が出現しやすくなるのです。
さらに、下降トレンドの終了により買うチャンスと考えているトレーダーも増えてくるため、3波はほかの波よりも大きく上昇しやすくなります。初心者は、すべての波の特徴を覚えるのではなく、比較的大きな利益を狙いやすい3波でエントリーしてみましょう。
3波を狙う場合は、フィボナッチ・エクスパンションを引いてどこまでトレンドが伸びるのか予測します。
一般的には1波の161.8%や261.8%が目安となります。
エリオット波動は、以下のような使い方もできます。
例えば、5波がどこまで伸びるのか予測する場合、1波と3波が同じ長さになっているのか、3波の長さが1波の何倍になっているのかをチェックすることで、どのようなパターンが出現しやすいのか分析できます。
エリオット波動の知識があれば、伸びの目安を判断しやすくなるでしょう。
また、4波は2波で出現するパターンとは異なる傾向があります。2波がジグザグであれば、4波はトライアングルやフラットが出現しやすいでしょう。
エリオット波動で以前に出現した波を分析することで、予測の精度を高められる可能性があります。
エリオット波動が本当に使えない理論なのか、自分のトレード技術がまだ身についていないのか不安に感じている人も多いのではないでしょうか?
そこで、実際にエリオット波動を使っているトレーダーはどのように考えているのか口コミを探しました。ここからは、エリオット波動が使える・使えないと考えている人の口コミをそれぞれ紹介していきます。
口コミを見る限り、エリオット波動は使えると考えているトレーダーも多いようです。まずは、エリオット波動が使えると考えているトレーダーの口コミをいくつか紹介します。
エリオット波動を使えば、現在の相場環境の認識に使えるという口コミがありました。
加えて、4時間足以上で使う点や200EMAとの相性が良いと考えているようです。
EMA(Exponential Moving Average)とは、日本語で指数平滑移動平均線といい、移動平均線の中でも直近の終値に強く比重をかけて平均値を算出したものです。期間中の終値を単純に平均した単純移動平均線(SMA)よりも、最近の値動きに敏感に反応するよう計算されています。
最初からエリオット波動が使えると考えていなかった人もいます。使えるようになったきっかけは、波動の考え方を使うようになってからだそうです。
このような口コミは複数見つかったため、ある程度の期間使い続けないと理論を理解するのは難しいでしょう。
少数ながら、講師からエリオット波動を学んでから勝てるようになったという人もいます。
さらには、コロナショックのような多くの人が苦手とする暴落相場であってもエリオット波動を役立てています。自分だけで理解するのが難しい場合は、トレードで稼いでいる人から教わると、エリオット波動に対する評価が変わる可能性が十分あるでしょう。
ここからは、エリオット波動が使えないと考えているトレーダーの口コミをいくつか紹介していきます。エリオット波動を使おうか迷っている人は、参考にしてみてください。
エリオット波動が使えない理由として、客観性がない点や値動きが既にわかる過去のチャートで解説しているため勝てるように見えるという意見を挙げている人がいました。
実際、インターネット上のサイトやYouTubeなどで過去チャートを用いて解説している人が多いため否定はできません。
チャート分析には、FX会社が提供するチャートソフトを使用するのが一般的です。各FX会社で、テクニカル指標やラインなどチャート分析に使用できる機能も異なるため、こうした機能が充実しているFX会社は人気があります。また、使いやすさを求めて、TradingViewなどのFX会社が提供するものではないチャートソフトを利用するトレーダーもいます。
エリオット波動の言いたいことはわかるがうまく使えないといった意見もありました。エリオット波動は、開発されて80年以上経っていることやエリオット波動の信者もいるため、理論は体系化されています。
しかし、カウント方法がわかりにくいため、実践に活用しても苦労している人が多いようです。
エリオット波動が使えない理由として、波動の真理を掴んだ人がいない点を挙げている人がいました。
100%稼げる手法がない以上、エリオット波動の真理まで掴めなくても不思議ではありません。しかし、理論が難しいからといってエリオット波動が使えないとするのは、早計かもしれません。
エリオット波動の通りに動いている相場を探すのは簡単ではありません。エントリーや決済するポイントもわかりにくいため、使えないと考える人もいるでしょう。
しかし、エリオット波動は80年以上経った今でも多くのトレーダーが愛用している理論です。エリオット波動を学んで実践している内に、理解できるようになったという口コミもあるので、非常に奥深い理論といえるでしょう。
難しいからといって使えない理論と判断するのではなく、実戦で使いながら学んでいくことをおすすめします。
作成日
:2023.06.12
最終更新
:2024.06.30
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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