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SoulBound Token(SBT)とは?新しいNFTとして注目が集まる

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update 2023.06.12 22:37
SoulBound Token(SBT)とは?新しいNFTとして注目が集まる

update 2023.06.12 22:37

SoulBound Token(ソウルバウンドトークン、SBT)は、デジタルIDとして機能するNFTです。仮想通貨(暗号資産)市場では、新しいNFTとして注目を集めています。

仮想通貨取引所のBinance(バイナンス)が、独自のSoulBound Tokenの導入を発表したことでも話題となりました。Binance版SBTの名称は、「Binance Account Bound Token」(BAB)です。

当記事では、SoulBound Tokenの概要や一般的なNFTとの違い、仮想通貨市場における使用例を紹介します。

SoulBound Token(SBT)とは

SoulBound Token(ソウルバウンドトークン、SBT)は、ヴィタリック・ブテリン氏ら数名の共同論文から広まった概念です。ヴィタリック・ブテリン氏とは、イーサリアム(ETH)の共同創設者です。

このアイディアは、人気オンラインゲーム「World of Warcraft」から発想を得ています。World of Warcraftには、一度拾うと誰かに譲ったり売却したりできないアイテムがあります。このようなアイテムは、その他のアイテムとは異なり、「SoulBound Item(魂に紐付いたアイテム)」と呼ばれています。

ブテリン氏は、この発想を仮想通貨に持ち込みました。SoulBound Tokenには、以下のような特徴があります。

譲渡不可のNFT

NFTは、主にデジタルアートやブロックチェーンゲームのアイテムで使用されるトークンです。OpenSeaなどのNFTマーケットプレイスなどを通じて売買されます。また、NFTはエアドロップ品として人気があり、よく譲渡されています。

一方、SoulBoud Tokenは、譲渡不可のNFTとして発行されます。そして、受け取った本人以外に利用できず、一般的なNFTのように市場価値はありません。また、一度発行されると本人のウォレットから移動できません。ちなみに、SoulBoud Tokenを保有するウォレットは、Soul(ソウル)と呼ばれます。

SoulBoud TokenとSoulの関係

ブテリン氏は、譲渡不可のNFTの利用方法は未開拓だとしながらも、その可能性を論じています。

Web3.0時代のデジタルID

Soulboud Tokenは、Web3.0時代のデジタルIDとして機能する可能性があります。

point Web3.0とは

Web3.0とは、分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では個々のユーザーが重要な役割を担います。

Soulboud Tokenは、証明書、所属組織、資格、信用などと紐付けて発行できます。すなわち、そのウォレットを保有する個人のアイデンティティを示せます。例えば、大学が卒業生にSoulboud Tokenを発行すると、ブロックチェーン上で学歴を証明できるようになります。

企業や学校、公的機関、取引所などの多様な組織やサービスが採用することで、包括的なデジタルIDとして機能すると考えられます。デジタルIDと連動するDApp(分散型アプリ)やDAO(分散型自立組織)を構築することもできます。すなわち、Soulboud TokenはWeb3.0の普及を加速させると期待されています。

SoulBound Tokenのイメージ

なお、自民党が発行した「岸田トークン」は、譲渡不可なNFTとして発行され、出席証明の役割を担いました。これも、Soulboud Tokenの一例と見なせるでしょう。

SoulBound Tokenの主な使用例

ブテリン氏が語るように、SoulBound Token(ソウルバウンドトークン)は、新しいNFTとして多様な可能性を秘めています。その使用例は、Web3.0の普及と共に拡大していくと予想されます。直近の使用例を紹介します。

無担保の仮想通貨ローン

DeFi(分散型金融)は、スマートコントラクトで自動化されており利便性が高く、既存の金融サービスに取って代わる可能性があります。しかし、課題も抱えています。

point スマートコントラクトとは

スマートコントラクトとは、ブロックチェーンを利用した契約の自動履行プログラムを指します。「特定の条件」と「条件が満たされた場合の行動」を記載しておけば、条件が満たされた際にプログラムが自動で実行されます。自動販売機で例えると、「利用者が必要なお金を投入する」、「特定の飲料のボタンを押す」という二つの契約条件が満たされた場合に、自動的に「その飲料を利用者に提供する」という契約が実行されます。

例えば、仮想通貨ローンは、仮想通貨を借り入れることができます。しかし、担保として別の仮想通貨を預け入れる必要があります。一方、既存の金融サービスでは、信用さえあれば無担保でも借り入れることができます。このため、担保の必要性は、仮想通貨ローン発展の阻害要因になっていると考えられます。

匿名利用が基本の仮想通貨では、個人の信用評価は難しいです。しかし、SoulBound Tokenを用いれば、ウォレットの履歴や社会的地位などからクレジットスコアを算出可能です。すなわち、無担保での借り入れも可能になると予想されています。

DAOはシビル攻撃対策で使用可能

DAOとは分散型自立組織の略称で、中央管理者を必要としない組織体系を指します。仮想通貨市場ではDAOが増加しており、コミュニティの投票で意思決定しています。

一見、民主的な方法に見えますが、そこには大きな穴が存在します。DAOはシビル攻撃と呼ばれる不正に弱く、一部のユーザーに乗っ取られてしまう危険性を抱えています。

シビル攻撃とは、投票権が1アカウント1票の場合は多数のアカウントを作成して投票したり、投票権が1通貨あたり1票の場合はガバナンストークンを買い占めて投票したりすることで成立します。

SoulBound Tokenは、アカウントの偽装に強いだけでなく、社会的な信用やコミュニティへの貢献度で重み付けした投票システムを構築可能です。従って、DAOのシビル攻撃への対抗手段として有効だといわれています。

新しい形のエアドロップ

エアドロップとは仮想通貨の無料配布を指し、新プロジェクトの立ち上げ時など、コミュニティの活性化などを目的に実施されます。そして配布方法は、プロモーションへの貢献度や抽選で決定しています。しかし、SoulBound Tokenを活用すると、違った方法でエアドロップできます。

例えば、過去のコミュニティでの実績や特定サービスの利用度、参加するグループなどをSoulBound Tokenで切り分けて、エアドロップできます。このように、SoulBound Tokenを活用したエアドロップを「ソウルドロップ」と呼びます。

SoulBound Tokenの懸念点

SoulBound Token(ソウルバウンドトークン)は、新しいアイディアです。Web3.0の拡大を牽引する可能性を秘めていますが、そこには懸念点も存在します。

悪い履歴に縛られる可能性

SoulBound Tokenは、デジタルIDとしての役割を持っています。それはポジティブな情報だけでなく、ネガティブな情報も履歴に残ることを意味します。アイデンティティが明確になることはプラスですが、過去に過ちを犯した場合、その情報に必要以上に縛られる可能性が懸念されています。

一部では、中国で導入されている信用システムの考え方と同じだとの懸念も出ています。

紛失や乗っ取りのリスク

SoulBound Tokenは譲渡不可能なNFTなので、まず盗まれる心配はありません。しかしウォレットは、アクセスできなくなったり乗っ取られたりする可能性があります。

将来的にWeb3.0の利用が拡大すれば、SoulBound Tokenは様々なサービスに統合されることもありえます。すなわち、SoulBound Tokenを保有するウォレットを失うリスクは、とても大きいです。

ちなみに、ブテリン氏は「SBT Community Recovery」と呼ばれるモデルで、SoulBound Tokenを保有するウォレットを復元する方法を提案しています。所属するコミュニティの承認があれば、論理的にはSoulBound Tokenの入ったウォレットを復元することが可能です。

Binance Account Bound Token(BAB)

大手取引所Binanceは、独自のSoulBound Token(ソウルバウンドトークン)である、「Binance Account Bound Token」(BAB)を発行しています。

Binanceはまずは試験的に、KYC(顧客確認)を完了したユーザーを対象に付与しています。KYCを完了したユーザーは、Binanceのモバイルアプリから取得可能です。

アカウント毎に、1つのトークンが発行可能となっています。譲渡不可ですが、消去や再発行はできます。

付与される特典

BAB保有者には、BNBチェーンのエコシステム内で様々な特典が付与されます。当記事執筆時点(2022年9月)では、以下14のコミュニティで特典が付与されます。

プロジェクト名 プロジェクト概要
ApeSwap 総合的なサービスを兼ね備えたDEX
PearDAO DAOによって運営されるP2Pマーケットプレイス
Galxe Web3.0のデータフィードプラットフォーム
X World Games ゲーム向けのメタバースを開発するプロトコル
Cyberconnect SNSのつながりを可視化する世界初の分散型ソーシャルグラフ
P12 ゲームと開発者向けの環境を提供するプラットフォーム
Summoner's Arena ベトナム発のファンタジー系ブロックチェーンゲーム
Mathwallet 100以上のブロックチェーンに対応するウォレットサービス
Liveart 現物アートとデジタルアートの取引プラットフォーム
OpenOcean DeFiの統合機能を兼ね備えたDEX
TinyWorld 次世代のPlay to Earnモデルを模索するブロックチェーンゲーム
The Harvest 大人数でプレイするバトルロワイヤル形式のブロックチェーンゲーム
Ultiverse VR(仮想現実)に対応した3Dのブロックチェーンゲーム
Appolox 中央集権型取引所と分散型取引所の両方に対応するハイブリッド取引所

Binanceの狙いとCEOのコメント

Binanceは、KYCの促進やBNBチェーン上のエコシステムの活性化目的で、BABを利用しています。しかし、将来的には、エアドロップの権利や意思決定の投票権としての利用も模索していく方針です。

BinanceのCEOであるチャンポン・ジャオ氏は、「BAB トークンには数多くのユースケースがあると予測しており、コミュニティと積極的に協力して、この革新的な分散型社会のビジョンを開発していきます」とコメントしています。

SoulBound Tokenはいつ普及?

SoulBound Token(ソウルバウンドトークン)が広く認知されたのは、2022年1月頃です。しかしそれ以前から、イベントやゲームなどの一部コミュニティでは、譲渡不可のNFTが配布されていました。

例えば、NFTプラットフォームのIdexoは、SoulBound Tokenを簡単に発行できるソフトウェア開発キット(SDK)を実装しています。また、Parallel Marketsは、仮想通貨市場で利用可能な認証サービスをリリースしています。

このように、SoulBound Tokenに関する活動が広がりつつあります。ブテリン氏と共同で論文を公開したGlen Weyl氏は、2022年後半に初期のSoulBound Tokenが登場し始めると予想しています。そして、次の上昇相場が見込まれる2024年に、本格的な普及が期待されるとしています。

Web3.0分野の発展が進めば、デジタルIDの有力な選択肢のひとつとして、SoulBound Tokenにスポットライトが当たる可能性があるでしょう。

仮想通貨市場の変化に期待

SoulBound Token(ソウルバウンドトークン)は、Web3.0の動きを加速させると考えられています。しかし、それだけでなく、ヘルスケア、求人、教育、行政などの分野を巻き込んで、DeSoc(分散型社会)を実現する可能性を持っています。

当記事執筆時点(2022年9月)で、SoulBound Tokenを提供しているコミュニティは少ないです。しかし、今後の発展が見込まれます。関心があれば、BABでその世界を体験してみるのも良いでしょう。SoulBound Tokenを発行するプラットフォームも登場してきているので、今後も仮想通貨市場における発展に期待です。


Date

作成日

2022.09.13

Update

最終更新

2023.06.12

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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