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NFTはコピーできる?仮想通貨市場で拡大するNFTの著作権問題

NFTはコピーできる?仮想通貨市場で拡大するNFTの著作権問題

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update 2023.03.16 15:54
NFTはコピーできる?仮想通貨市場で拡大するNFTの著作権問題

update 2023.03.16 15:54

NFTとは、ゲームアイテムやデジタルアートなどのコンテンツをトークン化する技術で、2021年頃から仮想通貨(暗号資産)市場の成長分野として注目されています。

これらのNFTは、NFTマーケットプレイスと呼ばれる取引所で発行したり取引したりできますし、Twitter(ツイッター)がデジタルアートのNFTをアイコンとして登録できるようにするなど、身近な存在となっています。しかし同時に、画像を勝手にコピーされる著作権問題や商標権で大きな問題を抱えています。

NFTで起きている問題

NFTの特徴としてしばしば「コピーできない」といわれることがありますが、実際にはNFTのコピーが問題となっています。

この意味を解説しますと、NFT化された画像等は電子データですから簡単にコピーできますが、コピーされた複製品と本物を見分ける技術がNFTです。しかし、コピーして得た複製品を改めてNFT化すると、コピー元のNFTとは別の新しい「本物の」NFTが誕生します。

NFTの諸問題

この場合、元のNFTの著作権等を持っている人との間でトラブルになる可能性があります。また、元の画像等がNFT化されていなくても、他人の絵や建物の写真などを勝手にNFT化して販売するケースもあり、著作権上の問題が発生します。

NFTマーケットプレイスとは

実際に起きている問題の具体例に進む前に、NFTマーケットプレイスとはなにかについて解説します。

NFTはひとつひとつが唯一無二の存在であり、仮に全く同じに見えるデジタル画像があるとしても、内部データでそれぞれが独立した別の物だと判別できます。

NFTマーケットプレイスはこのようなNFTを発行して流通させる場所であり、新規にNFTを発行してユーザーに販売する一次市場と、ユーザー同士が既に発行されたNFTを取引する二次市場が存在します。そして、誰でも簡単にクリエーターとしてNFTを発行できるので、数多くのNFTが流通しています。

NFTマーケットプレイスの仕組み

また、NFTでゲームアイテムを発行するGameFiなどの影響を受けて、NFTの取引高は増加しており、月間出来高が2021年末から2022年1月にかけて2倍以上に膨れ上がっています。

これに伴ってNFTマーケットプレイス間の競争も激しくなり、OpenSea一強だった状況からLooksRareなどの競合がシェアを獲得しています。その他、イーサリアム(ETH)以外のブロックチェーンでもNFTマーケットプレイスが公開されています。

NFTにまつわるトラブル事例

以下、NFT関連のトラブル事例を3つ紹介します。なぜこのような問題が起きてしまうのかですが、NFTは新しい技術であるため法規制が後追いになっているという理由があるでしょう。

その他には、法制度の不備を突いて、あるいは注目されている新分野であることを利用して稼ぎたいという人が大勢集まっていることも、理由の一つにあるでしょう。

よって、トラブルに巻き込まれないようにするには、他人の著作権や商標権などを侵害していないかどうかを考えながら取引することが必要です。

事例1:80%超のNFTが不正品

最も有名なNFTマーケットプレイスの一つに、OpenSea(オープンシー)があります。OpenSea公式のツイートによると、OpenSeaのNFT制作機能で作られたNFTのうち、80%以上が盗作・ウソのコレクション・スパムで占められています。[1]

すなわち、何の違法性もない正規品は全体の20%未満しか存在しないという意味であり、自分が気に入って買ったNFTが実は盗作など不正品である可能性が高いことを意味します。

OpenSeaで売買されたNFTはどの国の法に従うのか?などの問題はありますが、仮に自分が不正なNFTを買ってしまったとして、本来の権利所有者から削除を求められた場合、厄介な問題に巻き込まれることになります。こういったリスクはNFTの発展の障害になると予想できますので、何らかの解決策が必要です。

事例2:NIKEのNFTを勝手に販売

次の事例は、米国の有名シューズメーカーであるナイキに関する訴訟事例で、提訴されたのは主にシューズのリセール業をしているStockX(ストックエックス)です。

StockXは、消費者が買ったシューズ等を別の人に売るための仲介をしており、この業態は珍しいものではありませんが、今回訴訟になった理由は、ナイキのシューズ画像NFTを許可なく製造・販売して商標権を侵害しているとみなされたためです。

下はNFT販売ページですが、このNFTを購入すると写っている実物のシューズの所有権も得られます。

NIKE NIKE

画像引用:StockX

果たして、シューズ画像をNFT化して販売するのは違法でしょうか。それとも合法でしょうか。NFTになったシューズは実物が存在しており、その実物はStockXで販売されているものであって、ナイキのホームページ等から画像を勝手に借用したものではありません。

実際にこのNFTを購入したとして、その後このNFTが合法だと認められたら特に問題はありませんが、違法だという結論になった場合、返金対応してくれるでしょうか。

StockXは世界中でビジネスを展開していますから信頼度が高いですが、誰が運営者なのかも分からないような所からNFTを買うと、訴訟トラブルに巻き込まれた末に損することになるかもしれません。

なお、上の画像を取得できたことからも分かります通り、この記事執筆時点でまだ決着はついていません。何かをNFT化して販売したい、あるいはそのようなNFTを買いたいという場合、この訴訟の行方に注目できるでしょう。

point 商標権

商標とは、自分の会社が取り扱っている商品やサービスを他人のものと区別するために使われている印(マーク)です。消費者はマークを見ることで、どの会社の商品やサービスなのかが分かります。そして、このマークを他人が勝手に使えないように保護する権利が商標権です。

事例3:写真のNFTを勝手に販売

次のトラブルも、米国発です。下の画像はそのトラブルの原因となった建物の写真ですが、これは米国にあるファミレスチェーン「Olive Garden」(オリーブガーデン)の建物写真です。第三者がこれを許可なくNFTにして販売したため、Olive Gardenとの間でトラブルとなりました。

他人の物の写真を勝手にNFT化して販売する場合、買った人は実物の所有者が発行した正規品と誤認する可能性があり、買った人との間でもトラブルになる可能性があります。実物所有者との間のトラブルを解決した結果、NFT自体を削除することになった場合、そのNFTを買った人が支払ったお金はどうなるでしょうか。

本来は返金対応でしょうが、インターネットの世界ですから、誰が販売してるのか、そしてその人はどこにいるのか全く分からず返金されない事態もありうるでしょう。簡単にNFTを買える時代となりましたが、思わぬところで損してしまわないように「そのNFTは誰か他人の権利を侵害していないだろうか」を確認する必要があります。

NIKE

画像引用:NFOGツイッター

正規品のNFTを買うと安全

以上、3つのNFTトラブル事例を紹介しました。この内容を踏まえると、リスクが怖くて買うのを控えてしまうかもしれませんが、出品者の身元が確かなNFTならば著作権や商標権の侵害を心配しないで購入できます。

例えば、ある美術館が所有している美術品画像について、その美術館がNFT化して販売していて著作権等の手続きも済ませている場合、安心して買えるでしょう。あるいは、ナイキ自身がナイキブランドのシューズのNFTを販売するという場合も、安心して買えるでしょう。

ちなみに、ブロックチェーンゲームの世界でもNFTが数多く使用されています。ゲームの世界では、詐欺被害の回避が重要です。必ず、ゲーム開発チーム指定のマーケットプレイスで購入しましょう。

実際にあった詐欺のケースには「NFTアイテムの画像をコピーし、それをNFT化してどこかのマーケットプレイスで販売」があります。こうして作られたNFTはゲームに必要な機能を持っていませんので、買ってもゲームで遊ぶことはできません。

詐欺師は、何とかしてお金を盗もうと考えています。正規の方法で買って詐欺被害を回避しましょう。


Date

作成日

2022.04.04

Update

最終更新

2023.03.16

山本鉄壁 | Teppeki Yamamoto

現役トレーダー兼仮想通貨ライター

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山本鉄壁

株やFXをメインとし、投資歴は20年を超える。FX攻略.comでの連載等各種メディアで執筆を担当したほか、書籍も出版。2020年からは仮想通貨投資を始め、主に英語メディアで日々最新情報をチェックしている。TOIEC950点取得。

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