作成日
:2022.09.14
2023.04.21 11:21
仮想通貨のTONコインとは、TONブロックチェーンのネイティブトークンです。TONは「The Open Network」の略称であり、これはもともとTelegram(テレグラム)が開発を始めたプロジェクトでした。そのため、TONブロックチェーンの性質に加えて、Telegramとの関係もTONコインの特徴となっています。
そんなTONですが、2022年末にかけて、価格が上昇しています。当記事では、2022年末に見せた仮想通貨TONの上昇や、プロジェクトの将来性を解説します。
2022年後半、TON価格は仮想通貨市場全体の流れに反して上昇しています。
2022年6月から7月にかけて、TON価格は100円台前半を推移していました。その後、ユーザーネームをNFTとして売買できる「Telegram Auction Platform」や、GameFiのプラットフォーム「TON Play」が公開されたのを背景に、TON価格は大幅に上昇しました。
また、テレグラムは2022年12月にアップグレードし、アプリに電話番号を登録しなくてもアカウント開設が可能になりました。これにより、ユーザーは匿名性を維持しながらチャット機能や仮想通貨関連機能を利用できるようになりました。これらを受けて、12月半ば以降に40%近く高騰して300円台を突破しました。
画像引用:CoinMarketCap
TONは「The Open Network」の略称です。元々はTelegram(テレグラム)が開発を始めたもので、「Telegram Open Network」と呼ばれていました。現在はTelegramの手から離れて、分散型のプロジェクトとして開発が継続しています。
TONのブロックチェーン上には、様々なDApp(分散型アプリ)が展開されています。例えば、ウォレットアドレスをドメイン化するDNS(ドメインネームサービス)や、分散型ストレージ、匿名送金サービス、決済サービスなどが含まれます。
このことから、Web3.0の利用を促進する存在だと期待されています。
Web3.0とは、分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では個々のユーザーが重要な役割を担います。
テレグラムは2018年にICO(イニシャルコインオファリング)を実施して、独自仮想通貨GRAMのトークンセールを行いました。その結果、1,800億円を超える大規模な資金調達に成功しました。GRAMは後に改名されてTONとなりました。
しかし、米SEC(証券取引委員会)により、このICOは違法な有価証券の販売とみなされました。裁判の結果、Telegramは調達資金を投資家に返金した上で、プロジェクトを廃止せざるを得ませんでした。
仮想通貨は新しい技術であることから、その定義が曖昧でした。使い方によっては株式などと同じ有価証券と見なされることもあります。国によっても規制は異なり、状況によって金融当局に届け出る必要があります。このような背景から、仮想通貨市場では違法なICOが摘発されるケースがありました。
TONはプロジェクトとして完全に頓挫しました。しかし、オープンソースとして開発されていましたので、コミュニティがTONのリソースやエコシステムを引き継いで、いくつか後継のプロジェクトが立ち上げられました。
また、TelegramはTON Foundationにウェブサイトのドメインやブランドを継承しました。こうして、現在のTONが形成されています。そのほか、「Everscale(旧Free TON)」などが後継のプロジェクトとして存在します。
Telegramとのつながりが完全に失われたわけではありませんが、TONは分散型のプロジェクトとして生まれ変わりました。
TONはブロックチェーンとして次のような特徴を持っています。
TONのブロックチェーンは、主にマスターチェーンとワーキングチェーンの2種類で構成されています。これらは階層型の構造となっており、それぞれ異なる役割を持っています。
マスターチェーンはメインとなるブロックチェーンであり、システム全体を統括します。一方、ワーキングチェーンはシャーディングを実行するシャードチェーンを管理しながら、トランザクションを処理します。
シャーディングとは、トランザクションの検証を複数のバリデータグループで並行して処理する技術です。スケーラビリティ問題(ブロックチェーンの遅延や手数料の高騰を招く問題)に有効だと考えられています。
PoS(プルーフ・オブ・ステーク)型のブロックチェーンでは、バリデータがブロックの検証と承認を行います。バリデータはPoW(プルーフ・オブ・ワーク)のマイナーのような立ち位置で、報酬と引き換えにネットワークの保全に努めます。
TONは階層型のブロックチェーン構造を活かして、高いパフォーマンスを実現しています。
この点に関して、公式サイトでETH2.0やソラナ(SOL)と比較しています。例えば、TONはシャードチェーンの数が多く、ブロックの生成時間はETH2.0の半分以下で済みます。また、シャード数が多いため各ノードにかかる負荷が小さいのも強みです。
クロスチェーンブリッジとは、複数のブロックチェーンをつないで規格の異なる仮想通貨を利用する技術です。この技術が普及すれば、ブロックチェーンを跨いで仮想通貨をやり取りできます。
主要なブロックチェーンがクロスチェーンブリッジを実装しており、TONも同様の機能を実現しています。当記事執筆時点(2022年9月)において、イーサリアム(ETH)とBNBチェーン(BNB)との間で互換性があります。
また、EVM(イーサリアム仮想マシン)に対応しており、イーサリアムにつながるブロックチェーンとの互換性を構築可能です。
EVMはイーサリアムブロックチェーンとの互換性を高める技術です。EVMを実装すれば、イーサリアムを基礎とする異なる規格の仮想通貨取引や、Dappの移植などがより簡単になります。
TONエコシステムでは、TONサービスと呼ばれる機能が徐々に強化されています。
TON Paymentsはブロックチェーンを用いた送金機能です。TONブロックチェーンは約5秒間で数百万件のトランザクションを処理可能で、高速かつ効率的に送金できます。
送金だけでなく、オンライン決済やブロックチェーンゲーム、DeFi(分散型金融)などの様々なサービスでの利用が想定されています。
TON DNSは既存のDNSサービスと同じ要領で、TONブロックチェーン上のウォレットアドレスを「.ton」形式のドメインに紐付けることができます。TON DNSのドメインはNFTとして発行されており、Getgems.ioなどのNFTマーケットプライスなどで取引可能です。
DNSサービスとは、ウェブサイトに割り当てられる住所すなわちIPアドレスに、ドメインと呼ばれる名前を紐付けるサービスです。IPアドレスは数字等の羅列で人間にはわかりづらい形式ですので、ドメインを紐付けて視覚的に利用しやすくします。馴染み深いドメインとして、「.com」や「.co.jp」で終わるものがあります。
TON SiteはTONネットワーク上にウェブサイトを構築するサービスで、TON DNSと連携できます。TONネットワーク上にプロキシを構築し、ユーザーは安全にTONサイトにアクセスできます。
プロキシは日本語で「代理」という意味で、インターネットの世界ではネットワークへの接続を代理するサーバを指します。匿名性を保ったアクセスを確保したり、安全性を確保するために利用されたりします。
TONはネイティブトークンのTONを発行しています。最大供給量は50億TONであり、当記事執筆時点(2022年12月)で約24%にあたる12億TONが発行されています。時価総額は4,000億円を超えており、仮想通貨市場全体で20位前後に位置しています。
このトークンに関して、マイニングを行なったユーザーに対して配布が行われました。このマイニングは2020年に開始して2022年6月に終了しましたので、現在は行われていません。PoSのコンセンサスアルゴリズムを採用しているにもかかわらずマイニングを実施したため、ユニークな現象として注目を集めました。
なお、TONコインはシステムを維持させるための報酬としてだけでなく、プロジェクトを機能させるガバナンストークンとしての役割も持っています。
TONコインを保有するユーザーは同仮想通貨でステーキングできます。それ以外にもユーティリティトークンとしての側面も持っており、同エコシステム内でサービス利用料として消費可能です。
その例のひとつとして取引手数料が挙げられます。DAppやクロスチェーンブリッジ、送金などのトランザクションには取引手数料が必要となり、TONコインで支払わなければなりません。
また、ブロックチェーンベースのDNSや、「TON Proxy」や「TON Storage」などの新しいサービスの支払いにも利用可能です。
ユーザーはTONを預け入れて収入を得ることができます。大量のTONを保有していればバリデータとして報酬を稼げますが、一般的な個人はプールに預け入れて報酬の分配を受け取ります。TONの公式ホームページから実行可能です。
2022年4月、Telegram(テレグラム)を使ってTONの送金が可能になりました。Telegramユーザーであれば、送金先のユーザー名だけで手数料無料で送金できます。Telegramでの仮想通貨送金の手順は以下のとおりです。
Telegramでの仮想通貨送金は、TONにのみ対応しています。ウォレットにTONがないと送金できないので、あらかじめ用意します。
TONブロックチェーン上では多様なDAppが開発されています。
STON.fiはDEX(分散型取引所)であり、仮想通貨取引や流動性マイニングなどが可能です。
流動性マイニングとは、DEXなどに2種類の仮想通貨を貸し出して流動性を提供することで、イールドファーミングとほぼ同義の言葉として使われます。流動性の提供と引き換えに独自仮想通貨を報酬として獲得できる一方、価格変動で損失を被ることもあります。
TonstarterはTONエコシステム初のローンチパッドです。ローンチパッドで新規仮想通貨が発行され、ユーザーは購入することができます。プロジェクト「Fanzee Labs」がすでにトークンセールを実施しており、10万ドルの資金調達に成功しています。
TONブロックチェーンにはクロスチェーンブリッジが実装されており、TON-ETHやTON-BSCを利用してイーサリアムとBNBチェーン上にTONを送金できます。
Getgems.ioはNFTマーケットプレイスです。デジタルアートのコレクションやTON DNSのドメイン名に加え、Telegramのユーザーネームなどが出品されています。出品者は自分で価格を設定して販売可能で、オークション形式で売ることもできます。
Neocryptoを使うと、クレジットカードで仮想通貨を購入できます。利用可能な通貨は米ドル・ユーロ・ルーブルの3種類で、購入可能な仮想通貨はビットコイン(BTC)・テザー(USDT)・TONの3種類です。シンプルなプラットフォームで、本人確認なども簡単にできます。
Telegramが起訴されて一度はプロジェクトが頓挫しましたが、TONは順調にエコシステムを拡大しています。Web3.0やDAppなどの流行もあり、今後の成長が期待されています。なお、将来性に影響する動きとしては以下のようなものが挙げられます。
Telegramはロシア発のメッセージアプリです。ロシア国内では、2022年2月以降、旧FacebookのWhatsAppの利用者を上回るなど、トップシェアを誇っています。
TONはTelegramの手から離れてオープンソースのプロジェクトとなっていますが、無関係ではありません。Telegramの利用が拡大すれば、TONの需要も高まっていくと予想できます。
特にロシアはウクライナ侵攻で世界各国から制裁を受けており、Telegramを用いた仮想通貨送金は重宝される可能性があります。
今後、2022年第4四半期中に「TON Storage」公開を目標にしています。TON Storageは暗号化したデータを保存する分散型のサービスです。
続く2023年には、「Bitcoin&EVMクロスチェーン」の開発が予定されています。これが実現すれば、ブロックチェーンの互換性が飛躍的に高まっていくと考えられます。
Telegramはアップグレードにより匿名性が強化されています。電話番号の登録が不要になったり、ユーザーネームがNFTマーケットプレイスで売買可能となったりしており、ほとんど個人情報を渡さずに利用できます。これは他の有名なサービスと異なる強みです。
LINEは日本国内で8,000万人以上が利用する最大のメッセージアプリとなっています。過去に個人情報が中国内の委託企業に漏洩していたことが大問題となりました。LINEは条件付きで「パーソナルデータを第三国に移転することがある」ことをプライバシーポリシーに記していることから、個人情報に関わる安全性が不安視されています。
旧FacebookのWhatsAppは、世界一の利用者数を誇るメッセージアプリです。バイナンスCEOのCZ氏のツイートにより、4億8,700万人分の個人情報がダークウェブに流出していることが報告されました。
A new set of 487 million WhatsApp phone numbers for sales in the Dark Web. A sample indicates the phone numbers are legit. Please stay vigilant as threat actors downstream will use this data to conduct smishing (phishing messages) campaigns. Stay SAFU. pic.twitter.com/ZuDVXlzz4F
— CZ Binance (@cz_binance) November 27, 2022
中国最大のメッセージアプリで、約10億人のユーザーを抱えています。日本からも利用できますが、メッセージが暗号化されずに監視対象となっており、個人情報は保護されていないと考えられます。
TONコインは日本国内の取引所で取り扱いはありません。そのため、海外取引所で取引することになります。各海外取引所での、TONコインの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。
仮想通貨取引所 | 現物 | デリバティブ |
---|---|---|
(バイビット) |
〇 |
× |
(バイナンス) |
× |
× |
(ゲート) |
〇 |
〇 |
(メクシー) |
〇 |
〇 |
(ビンエックス) |
〇 |
〇 |
(ビットゲット) |
〇 |
× |
(コインイーエックス) |
〇 |
〇 |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
× | × |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
海外の取引所であれば、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。
Bybitでは、3つの手順でTONを購入できます。
まずは以下のリンクをクリックし、TONの購入ページ(TON/USDT)にアクセスします。
なお、Bybitを利用するには口座を開設しておく必要があります。
ここでは最もシンプルな「成行」での購入方法を紹介します。成行でTONを購入するには、以下のように操作をして「TONを買う」をクリックします。
番号 |
項目名 |
説明 |
---|---|---|
1 |
「買い」または「売り」 |
通貨ペアの左の通貨を買って右の通貨を売るなら「買い」、左の通貨を売って右の通貨を買うなら「売り」を選びます。 |
2 |
注文方法 |
成行を選びます。 |
3 |
注文価格 |
購入したい数量を入力します。 |
TONはUSDTを支払って購入します。そのため、USDTの残高が十分でない場合は、入金や両替が必要です。
内容を確認して「TONを買う」をクリックします。注文は即座に確定し、購入したTONは現物アカウント残高に反映されます。
以下の記事では、買い方に関してより詳しく説明しています。有利な価格を指定する「指値」の使い方なども解説しています。
仮想通貨プロジェクトの中には、各国の規制当局の介入により廃止となったものが存在します。運営会社が罰金を科せられたり制裁を受けたりして存続が難しくなった場合もありますが、TONは分散型のプロジェクトとして生き残ることができました。
しかし、長期間に渡る停滞を余儀なくされて他のプロジェクトに遅れを取ってしまいました。TONは怒涛の勢いで巻き返しを図っており、Web3.0プラットフォームとしての立ち位置を確保しようとしています。
ここからの巻き返しが成功すれば大きく飛躍する可能性があります。Telegram(テレグラム)とも近い関係にあって将来性が楽しみなプロジェクトです。
作成日
:2022.09.14
最終更新
:2023.04.21
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
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