作成日
:2022.07.21
2023.03.16 15:54
仮想通貨(暗号資産)市場では、Web3.0がトレンドとなっています。Web3.0は次世代のインターネットとして注目されており、様々な仮想通貨関連プロジェクトが登場しています。
その中のひとつとして話題となっているのが、Ethereum Name Service(ENS)です。Web2.0におけるDNS(ドメインネームサービス)に相当し、Web3.0の根幹的なサービスとなる可能性があります。当記事では、Ethereum Name Serviceの特徴や将来性などを解説します。
Ethereum Name Serviceとは、Web3.0時代のネームサービスです。既存のインターネット環境では、DNS(ドメインネームシステム)が該当します。
DNSサービスとは、ウェブサイトに割り当てられる住所、すなわちIPアドレスに、ドメインと呼ばれる名前を紐付けるサービスを指します。IPアドレスは数字等の羅列であり、人間にはわかりづらい形式です。そこで、ドメインを紐付けて視覚的に利用しやすくします。馴染み深いドメインとして、「.com」や「.co.jp」で終わるものがあります。
Web3.0とは、分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では、個々のユーザーが重要な役割を担います。
一方、Ethereum Name Serviceは、DNSと同じ要領で、イーサリアム(ETH)のウォレットアドレスに「.eth」などのドメインを割り当てます。このようにドメインを割り当てることで、送金の際にウォレットアドレスを間違うことが無くなったり、ウォレットアドレスを公開せずに仮想通貨を受け取れるようになったりします。
Ethereum Name Serviceは、イーサリアムベースのWeb3.0環境をよりわかりやすく、利用しやすくすることを目的としています。
元々、イーサリアム財団の一部として扱われていましたが、2018年に独立しました。その開発はTrue Names LTDが主導しているものの、DAO(自律分散型組織)がある程度の権限を持っています。このことから、Ethereum Name Serviceは自身を「企業に属するオープンなコミュニティ」と位置付けています。
DAOは日本語で「自律分散型組織」と訳すことができます。DAOは、プロジェクトの意思決定をより民主的な方法で行うために利用されています。具体的には、ガバナンストークン保有者の投票を経て、開発方針や投資の判断などを決定します。
Ethereum Name Serviceは、ブロックチェーン上に構築される非中央集権型のネームサービスです。
従来のDNSサービスでは、企業が管理する中央集権型のシステムにドメインや所有者情報などが記録されます。しかし、Ethereum Name Serviceは、それらをブロックチェーンに記録します。すなわち、ハッキングによるドメインの乗っ取りや、規制による利用制限に強いという特徴があります。
その他にも、以下の使い方があります。
取得したドメインは、Web3.0向けのユーザーネームとしても機能します。
ブロックチェーンゲームやDEX(分散型取引所)などのDApp(分散型アプリ)では、ウォレットの接続がログインのような役割を果たします。DAppによっては、NFTを登録してプロフィールアイコンにすることや、ユーザーネームを設定することが可能です。このようなプロフィール機能は、DApp毎に設定する必要があります。
しかし、ウォレットアドレスにドメインやアイコン画像のNFTなどを紐づければ、対応するDAppで共通して同じプロフィールを利用できます。
Ethereum Name Serviceのドメインを利用すれば、従来のDNSサービスと同じく、ウェブサイトを構築できます。
既存のインターネットでは、中央集権型のサーバーにデータファイルが格納されており、それにアクセスすることで観覧可能になります。一方、Web3.0の世界では、分散型ネットワークに共有することでウェブサイトの公開が可能です。Ethereum Name Serviceは、分散型ネットワークでのデータファイル共有ツールも提供しています。
Ethereum Name Serviceは、ガバナンストークンとして仮想通貨「ENS」を発行しています。ENSの総供給量は1億通貨に設定されており、2022年7月時点で全体の2割程度が発行されています。ENSはDAOによるガバナンスに利用可能で、トークンホルダーは組織の意思決定に関わる提案に投票できます。
価格推移は、下のチャートの通りです。上場した2021年当初、ENSは25ドル程度でした。その後、年末にかけて価格を上げ、80ドルを超える最高値を記録しています。それ以降はビットコイン(BTC)の低迷に同調する形で右肩下がりとなり、2022年5月に約7ドルの最安値をつけました。当記事執筆時点(2022年7月)では、12ドル付近で横這いとなっています。
画像引用:CoinMarketCap
なお、Ethereum Name Serviceは、著名な団体から支援を受けています。例えば、イーサリアム財団、大手取引所のBinance、分散型ネットワークを開発するProtocol Labsなどが挙げられます。すなわち、将来有望だと期待されていることが分かります。また、価格低迷にもかかわらず、ENSは以下のトレンドが追い風になっています。
ドメインは、NFTとして発行されます。すなわち、NFTマーケットプレイスなどで取引可能であり、人気ドメインは高値で取引されています。例として、大手飲料メーカーのバドワイザー社が「beer.eth」のNFTドメインを約9万5,000ドルで購入したことが挙げられます。
1990年代後半、ドットコムバブルの波に乗って、ドメインが高額で取引されるようになりました。これはドメインバブルとも呼ばれ、投資家の注目を集めました。それまででは考えられない高値がドメインに付けられるようになり、人気ドメインは現在も取得困難となっています。
過去の再現を期待して、NFTドメインに先行投資する人もいる模様です。
Twitter(ツイッター)は、ウォレットアドレスの連携機能を実装するなど、仮想通貨関連機能を拡充させています。そんな中、仮想通貨コミュニティを中心に、「.eth」ドメインをユーザーネームとして表示させることが流行しています。特にインフルエンサーがこの流行に乗っており、イーサリアムの考案者であるヴィタリック・ブテリン氏も「vitalik.eth」のドメインを登録しています。
また、「CryptoPunks」などNFTのデジタルアートを、Twitterのプロフィールアイコンに設定することも流行しています。これは、Web3.0の文化がTwitterに広がりつつある証です。Ethereum Name Serviceにとって、良い傾向だといえるでしょう。
ENSは、日本国内の取引所で取り扱いはありません。そのためBinance(バイナンス)やBybit(バイビット)などの海外取引所で取引することになります。
ENSの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は、下記の通りです。日本語対応の海外取引所に絞っています。
取引所 | 現物 | デリバティブ |
Binance(バイナンス) | 〇 | 〇 |
Bybit(バイビット) | 〇 | 〇 |
Gate.io(ゲート) | 〇 | 〇 |
MEXC(メクシー) | 〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス) | 〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット) | 〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス) | 〇 | 〇 |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
海外取引所は、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。
CoinMarketCapの集計によると、Web3.0に分類されるプロジェクトの時価総額は、当記事執筆時点(2022年7月)でおよそ200億ドルとなっています。
Web3.0への移行は様々な分野で加速しており、それに伴って、ネームサービスの需要も高まっていくと予想されています。既存のDNSサービスに取って代わる日は、そう遠くないかもしれません。Ethereum Name Serviceは日本語に対応しており、ウォレットさえ保有していれば利用できるので、これを機に自分だけのドメイン取得に挑戦してみるのも良いでしょう。
作成日
:2022.07.21
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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