作成日
:2022.04.25
2022.04.27 16:23
NFTドメインが仮想通貨(暗号資産)市場で流行し始めています。NFTドメインとは、NFTとして発行されるドメインであり、OpenSeaなどの大手NFTマーケットプレイスでも取引されています。また、一部投資家はこれを好機と見て投資し始めており、価格が1,000万円以上の取引例も出ています。いったい、NFTドメインとはどのようなものでしょうか。
NFTドメインを理解するために、まずドメインを解説します。ドメインとは、インターネットにおける住所のような存在で、各ウェブサイトに割り当てられています。また、決まったパターンの文字列で表され、馴染み深いものとしては「.com」や「.co.jp」で終わるものがあります。
しかし、ドメインは人間が理解しやすいように作られており、コンピュータには理解できません。そこで、IPアドレスを同時に使います。IPアドレスとは、コンピュータが理解できる住所です。インターネットを使用する際、ドメインとIPアドレスが自動で変換されますので、私たちは特に意識しなくてもウェブサイトを閲覧できます。
NFTドメインも同様に「.wallet」「.crypto」「.coin」などの形式で発行され、ウォレットアドレスと紐づけてブロックチェーンに記録されます。例えば、NFTドメインとイーサリアム(ETH)のウォレットアドレスを連携させることができます。
これらのNFTドメインは、通常のドメインと同様にウェブサイト構築などで利用でき、さらには仮想通貨保管等の機能を兼ね備えているので、まさにWeb3.0時代の新しいドメインだといえるでしょう。
Web3.0とは、分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では個々のユーザーが重要な役割を担います。
NFTドメインには、通常のドメインと比較していくつかのメリットがあります。
取得したドメインを保有し続けるには、仲介業者に定期的に手数料を支払う必要があります。その価格はまちまちで、年間数千円前後になります。一方、ブロックチェーン上の記録の管理費用は無料ですし、更新も不要です。すなわち、NFTドメインは更新手続きや更新手数料が不要ですし、手続きを忘れてドメインが失効してしまうこともありません。
従来のドメインは、中央集権型のサーバで管理されています。このため、ハッカーの攻撃が成功するとドメインが乗っ取られてしまいます。これを「ドメイン名ハイジャック」と呼び、いくつもの類型に分けることができます。その一方、NFTドメインの場合、ブロックチェーンのデータ改ざんはほぼ不可能です。このため、自身が管理するウォレットの秘密鍵が流出しない限り、乗っ取りなどの被害が発生する心配はありません。
世界的に見ると、インターネット情報は政府機関などによって検閲されており、不適切だと判断されれば消去されてしまうことがあります。このようなインターネット検閲は複数の国で行われており、言論の自由との関連で問題視されています。
しかし、NFTドメインはデータ改ざんがほぼ不可能なため、インターネット検閲に強いと考えられており、情報の民主化を加速させると期待されています。
NFTドメインはウォレットアドレスに紐付けられているので、仮想通貨取引にも利用できます。通常、仮想通貨を送金するにはウォレットアドレスを入力しますが、長い文字列であるため使い勝手が良くありません。しかし、NFTドメインを使うと、ドメイン名を指定して送金できます。NFTドメインが普及すれば、クリエーターへの仮想通貨での投げ銭などがより利用しやすくなるかもしれません。
1990年代後半、ドットコムバブルの波に乗って、ドメインが高額で取引されるようになりました。これはドメインバブルとも呼ばれ、投資家の注目を集めました。例えば、1999年には「business.com」のドメインが750万ドルで取引されるなど、それまででは考えられない高値がドメインに付けられるようになり、人気ドメインは現在も取得困難となっています。
NFTドメインでも同様の流れが起きており、高額なNFTドメインが現れ始めています。例としては、大手飲料メーカーのバドワイザー社が「beer.eth」のNFTドメインを約9万5,000ドルで購入したことが挙げられます。
なお、NFTドメインはUnstoppable Domainsなどで購入可能です。Unstoppable Domainsでは140万件を超えるNFTドメインを登録しており、安いもので5ドルから購入できることもあり、既に多くのユーザーが購入している模様です。全てが投資目的というわけではないでしょうが、プレミアムドメインの中には10万ドルで売却済みとなっているものもあるので、NFTドメインが少なからず投資対象となっていることは間違いないでしょう。
画像引用:Unstoppable Domains
NFTドメインは投資対象としても注目されている一方、いくつかの問題を抱えています。
ひとつは、セキュリティ上の問題です。ウォレットの秘密鍵を無くしたり外部に漏らしたりすると、それに紐づくNFTドメインを全くコントロールできなくなります。従来のドメインであれば、中央集権型の組織が移管の承認などを行うので、ある程度のセキュリティ機能が働きますが、NFTドメインはそうはいきません。もし、NFTドメインがどこかに送信されてしまうと、それを取り戻すことはほぼ不可能になってしまうため、利用者は高いセキュリティ意識が必要です。
また、当記事執筆時点でGoogleなど大手の検索エンジンが未対応であり、NFTドメインへの将来的な対応方針も不明です。NFTドメインも通常のドメイン同様に利用可能ですが、現状では検索から読者を獲得することはできません。
その他、NFTドメインには、取得するまでの技術的なハードルの高さ、ドメインとしての認知度などの課題があります。前提としてWeb3.0の概念や仮想通貨の普及が必要であり、その上で、これらの課題の解決が求められています。
NFTドメインはメリットが多く、従来のドメインに取って代わるかもしれません。例えば、Unstoppable Domainsは、ウォレット・DeFi(分散型金融)サービス・NFTマーケットプレイスなどと多数提携しており、将来的なサービス拡大を視野に入れています。
また、NFTドメインは一種のデジタルアイデンティティとして利用されており、本来の用途以外の利用価値が注目されています。例えば、イーサリアム創設者のヴィタリック・ブテリン氏は、「vitalik.eth」ドメインを取得し、自身のTwitter(ツイッター)のユーザーネームとしました。ブテリン氏に続いて、多数の著名人がユーザーネームをドメインとリンクさせており、これが仮想通貨コミュニティでのトレンドとなっています。NFTドメインの本格的な流行は先になるかもしれませんが、普及に向けた動きは前に進んでいるといえるでしょう。
作成日
:2022.04.25
最終更新
:2022.04.27
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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