作成日
:2022.09.02
2023.03.16 15:30
2022年8月1日、仮想通貨(暗号資産)取引所のBybit(バイビット)は、資産運用サービス「Bybit Shark Fin」をスタートしました。
Bybitには、複数の資産運用サービスがあります。その中でもShark Fin(シャークフィン)は、「元本保証」「手数料無料」などの性質がある、低リスク商品です。また、予想通りに価格が動けば年利が高まる仕組みであり、トレードに近い要素も持ち合わせています。
低リスクで年利数十%のリターンも狙える一方、通常のサービスとは仕組みが異なります。このため、事前にシステムを理解する必要があります。当記事では、Shark Finの仕組みや特徴を解説します。
Bybit(バイビット)のShark Fin(シャークフィン)は、USDTまたはUSDCを一定期間預けると、決済日に報酬が得られる金融商品です。特徴的なのは、利回り(APR)が変動する点です。Shark Finの利回りは、原資産となる仮想通貨(暗号資産)の決済時価格により、3つに分かれます。
番号 |
種類 |
説明 |
---|---|---|
1 |
指定範囲未満 |
利回りは最低限保障額になります。 |
2 |
指定範囲内 |
高い利回りが期待できます。 |
3 |
指定範囲超過 |
利回りは最低保証額よりも高くなります。 |
満期日の原資産価格が「2」の範囲内なら、報酬の利率はサメのヒレのように角度を伴って推移し、最大で年利20%前後になります。満期日の価格が範囲外であっても、いくらかの利回りが保障されています。
当記事執筆時点(2022年9月)において、原資産に選べるのはBTCのみです。同じくShark Finを取り扱うGate.io(ゲート)では、ETHを原資産とする商品も購入できます。
Shark Finは、開催期間が定められているサービスです。2022年9月には、以下の日程でサービスが提供されました。
受付期間 | 9月1日午後5時~9月2日午後5時 |
---|---|
契約期間 | 9月2日午後5時~9月9日午後5時 |
決済時刻 | 9月9日午後5時 |
受付期間を過ぎた商品には申し込めないため、利用するには次回まで待つ必要があります。しかし直近の開催履歴を振り返ると、毎週月曜と木曜に開催されています。
なお、上記の契約期間は7日間ですが、契約期間が14日間や21日間のShark Finも登場する見通しです。
Bybit Shark Finの種類は「ブル Shark Fin」「ベア Shark Fin」の2つです。
金融市場では、強気相場をブル(Bull)、弱気相場をベア(Bear)と呼びます。ブルは雄牛が角を上に突き上げる様子、ベアは熊が前足を振り下ろす様子を表します。ブルやベアが商品名に入っている場合、ブルは価格上昇時に利益が出る商品、ベアは価格下落時に利益が出る商品です。
ブル Shark Finとベア Shark Finは、決済日の原資産価格に応じて利率が変わる、という点では同じです。しかし、どの価格帯のときに利率が高まるかは異なります。2つを縦に並べて確認してみましょう。
価格範囲が44,000ドルから48,000ドルの場合、ブル Shark Finは48,000に近づくほど、ベア Shark Finは44,000ドルに近づくほど利回りが上昇します。決済日の通貨価格が上がる予想ならブル、下がる予想ならベアを利用することになりますね。
Bybit公式YouTubeのShark Finの紹介動画では、ブル Shark Fin・ベア Shark Fin・ノーマル Shark Finの3種類が説明されています。その一方、現状利用できるのは2種類のみです。今後、新たな種類が追加される可能性があります。
Shark Fin(シャークフィン)のメリットを紹介していきます。
Shark Finは、元本が100%保証される商品です。決済日の原資産価格が、設定された価格範囲をどれだけ上回っても下回っても、元本はマイナスになりません。損が出ないばかりか、年率数%前後の報酬を得られます。
リスク回避の観点では、購入や報酬付与にステーブルコインのUSDTやUSDCを用いる点もメリットでしょう。価格が米ドルに連動する仕組みのUSDTとUSDCは、ビットコインやイーサリアムと比べて価格変動リスクが小さいです。
さらに、手数料不要ですので、Shark Finはリスクが比較的低い資産運用サービスといえます。
元本が100%保証されるShark Finですが、決済日の原資産価格によっては、最大で年利20%前後の利回りを獲得できます。ここでは参考として、執筆時点の2022年9月に利用可能なShark Finで得られる推定報酬を紹介します。
ブル Shark Finの利回りの計算式は、以下の通りです。
年間利回り =
保証された最小利回り + (決済価格 - 価格範囲の下限) ÷ (価格範囲の上限 - 価格範囲の下限) × (最大利回り - 保証された最小利回り)
上の計算式を用いると、ブル Shark Fin(価格範囲:19,000ドルから20,500ドル、最大利回り:11.95%)の利回りは、以下のようになります。
原資産の決済価格 | 年間利回り |
---|---|
19,000ドル以下 | 1.00% |
19,300ドル | 3.19% |
19,600ドル | 5.38% |
19,900ドル | 7.57% |
20,200ドル | 9.78% |
20,500ドル | 11.95% |
20,501ドル以上 | 2.00% |
上記の例では、原資産の決済価格が19,600ドルから20,500ドルの間であれば、年利5%以上のお得な利回りを獲得できます。
契約期間中に仮想通貨(暗号資産)のボラティリティが高くなった場合、Shark Finの価格範囲と利回りは変更される可能性があります。
ベア Shark Finの利回りの計算式は、以下の通りです。
年間利回り =
保証された最小利回り + (価格範囲の上限 - 決済価格) ÷ (価格範囲の上限 - 価格範囲の下限) × (最大利回り - 保証された最小利回り)
上の計算式を用いると、ベア Shark Fin(価格範囲:19,000ドルから20,500ドル、最大利回り24.38%)の利回りは、以下のようになります。
原資産の決済価格 | 年間利回り |
---|---|
18,999ドル以下 | 1.99% |
19,000ドル | 24.38% |
19,300ドル | 19.70% |
19,600ドル | 15.03% |
19,900ドル | 10.35% |
20,300ドル | 5.68% |
20,500ドル以上 | 1.00% |
上の例では、原資産の決済価格が19,000ドルから20,300ドルの間であれば、5%以上のお得な利回りを獲得可能です。
低リスクなShark Fin(シャークフィン)にも、デメリットとなり得るポイントが存在します。
Shark Finでお得な利回りを得るには、7日後・14日後・21日後の原資産価格が一定の範囲内に入る必要があります。しかし、仮想通貨(暗号資産)は一般的にボラティリティが高く、価格予想は簡単ではありません。
Shark Finでは、決済価格が範囲外になっても、1%から2%ほどの利回りを得られます。しかし、Bybitステーキングや流動性マイニングと比較すると、あまり魅力的とはいえません。
価格を予測できなければ低い利回りしか得られず、他の商品で運用していた方が利益を得られていた、という状況が出てきます。
Shark Finでは、途中解約できません。一度預けた資産は、満期日になるまで完全にロックされます。その一方、Binanceの定期セービングなどは、ロック期間内であっても報酬を放棄することで解約できます。
預ける通貨がUSDTかUSDCであるため、契約期間中に暴落する可能性は低いです。しかし、まとまった金額を預け、途中で引き出したくなることは考えられます。そのため、途中で引き出せないことを念頭において、預ける数量を決めましょう。
Shark Finは開催期間が決まっており、ユーザーが好きなタイミングに利用できる商品ではありません。利用するには、受付期間が始まってから24時間以内に登録する必要があります。
Bybit(バイビット)には、積立ステーキングがあり、こちらも低リスクで運用できます。積立ステーキングなら、ユーザーが好きなタイミングに預けて、好きなタイミングで引き出せます。そのため、柔軟性という面では、Shark Finは積立ステーキングに劣ります。
決済時に原資産の価格変動が激しい場合、スリッページが発生するリスクがあります。
スリッページとは、注文時のレートと異なるレートで約定すること、またはその際に生じた価格のずれを指します。例えば、米ドル/円が105.000円のときに成行注文を出したものの、実際には105.003で約定したとします。この場合、0.3pipsのスリッページが発生したといいます。
スリッページが起こった場合、獲得できる利回りが低下する可能性があります。Shark Finを利用する場合、利回りが悪化するリスクも認識しておきましょう。
Shark Fin(シャークフィン)の使い方を解説します。なお、Shark Finを利用するには、Bybit(バイビット)での口座開設と本人確認レベル1を完了させておく必要があります。
Bybitのホームページにアクセスします。
資産運用にカーソルを合わせて「Shark Fin」をクリックします。
利用したい商品を選んで「利用する」をクリックします。
商品の内容を確認して「利用する」をクリックします。
利用したい通貨をUSDTとUSDCから選び、金額を入力します。入力後に「確認」をクリックします。
預け入れに利用できるのは、資産運用口座の中の通貨です。最低利用金額はUSDTもUSDCも100ドルなので、100USDTもしくは100USDC以上の残高が必要です。通貨ロゴ下の「振替」をクリックすると、現物口座などから資金を移せます。
「注文が発注されました」と表示されると、申し込みは完了です。
なお、「注文を表示する」をクリックすると契約状況を確認できます。右上にある「注文」にカーソルを合わせて、「資産運用」「Shark Fin」と進むことでも確認可能です。
Shark Fin(シャークフィン)は元本が100%保証されており、Bybit(バイビット)の資産運用の中でも低リスクのサービスです。将来の仮想通貨(暗号資産)価格を予測するという、トレード的な要素を持つ点も特徴でしょう。
将来の価格予想は、簡単ではありません。しかし、トレード要素のある商品に低リスクで挑戦できる点はメリットです。自身の状況や他の資産運用サービスを把握した上で、利用するかどうか検討しましょう。
作成日
:2022.09.02
最終更新
:2023.03.16
会社員時代に10万円を元手にFXをはじめるが、カンに頼るトレードで退場。
テクニカル分析を学ぶがそれでも上手く行かない中、趣味でやっていた暗号資産の利益が増大。
戦いのメインをFXと暗号資産の2本(DeFiやNFT)にすることで、会社員から独立し現在は専業トレーダーとして活躍。
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