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東京大学が「メタバース工学部」を設立

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update 2023.08.06 23:53
東京大学が「メタバース工学部」を設立

update 2023.08.06 23:53

2022年7月21日、東京大学の大学院と工学部が「メタバース工学部」の新設を発表しました。正式な学部ではなく、デジタル技術を駆使して、社会人や学生に学びの機会を提供します。これにより、最新情報やスキルの取得が可能になります。

仮想通貨(暗号資産)やブロックチェーン技術の普及に伴い、メタバースは注目の技術となっています。多くの人々や企業の関心を集めているだけに、メタバース工学部の取り組みに期待が高まっています。

そもそもメタバースとは

メタバースとは、インターネット上に構築された三次元の仮想空間です。元は、SF作家ニール・スティーヴンスン氏の著作の中で登場した造語で、「メタ(超)」と「ユニバース(宇宙)」を合成したものだといわれています。

プレイヤーは仮想空間の中を自由に動き回り、会話したり土地を購入して商売したりと、現実空間と似たような行動ができます。下は、メタバースゲーム「My Neighbor Alice」の画像です。二次元の画像ですが、あたかも三次元空間が広がっているように見えます。

My Neighbor Alice

画像引用:My Neighbor Alice

メタバースは、バズワード的に各方面で広がっています。米大手SNSのFacebook(フェイスブック)が、社名を「メタ(Meta)」に変更し、メタバース開発への注力を発表したことも、この流れを反映しているでしょう。

近年、仮想通貨市場では、「ディセントラランド(MANA)」や「ザ・サンドボックス(SAND)」など、Play to Earnゲームが成功しています。これらはメタバース要素を取り込んでおり、開発活動が盛んです。

point Play to Earnとは

Play to Earnとは、遊んでお金を稼ぐことを指します。すなわち、ブロックチェーンゲームで遊ぶと、NFTや独自仮想通貨などの報酬を得られます。

日本におけるメタバースの広がり

元々、日本ではゲーム業界でメタバースが発展していました。しかし、このような背景から、日本でもメタバース関連の取り組みがゲーム以外にも拡大しています。

例えば、金融業界では、みずほ銀行がメタバースに進出しています。直近では、世界最大級のVR(仮想現実)イベント「バーチャルマーケット2022 Summer」への出展を発表しました。

その他、メタバースは政治の世界にも進出しています。2022年の参議院議員選挙前には、自民党など各政党がメタバース内で街頭演説を行いました。

メタバース工学部の詳細

東京大学は、不足するDX人材の輩出を目的に、メタバース工学部を立ち上げます。この背景には、急速な技術の発展や働き方の多様化など産業構造の変化があり、これにより、工学や情報学の需要が高まっていることがあります。

point DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXは、デジタルトランスフォーメーションの略称です。ITを活用した業務の改善、新しいビジネスモデルの構築、古い企業文化や働き方からの脱却を意味します。日本企業がこぞってDXに乗り出していることから、それを実現するDX人材の需要が高まっています。

年齢や性別、居住地などを問わず、工学や情報学を学べるシステムを構築します。特に、女子中高生にその魅力を伝えて、DX人材の多様性を加速していく方針です。下の画像は、バーチャル東大の画像です。メタバース工学部ではありませんが、インターネット空間に作られた三次元空間が表現されています。

バーチャル東大

画像引用:バーチャル東大

提供するサポートやプログラム

東京大学のメタバース学部は、正式な学部ではありません。誰でも参加できる学びの場としての活用が想定されています。具体的には、以下の3つのサポートやプログラムが提供されます。

工学キャリア総合情報サイト

中高生や工学部生などを対象に、工学キャリアに関する情報を提供します。ロールモデルが少ない女性向けの情報なども提供し、人材の多様化を加速させます。キャンパス訪問や疑似入社の体験談、座談会などの情報を発信する予定です。

ジュニア工学育成プログラム

中高生とその保護者を対象に、産業界と大学が連携した教育プログラムを提供します。卒業後のキャリアや商品開発などの体験型演習、研究室の見学などをオンラインとオフラインの両方で行います。

リスキング工学教育プログラム

社会人や学生の学び直しや、リスキング(必要スキルを獲得する工程)を支援するオンラインプログラムです。受講者のニーズやレベルに合わせて、多様なコースが提供される予定です。受講者には、科目毎に修了証が発行されます。

東京大学の取り組みに対する反応

東京大学の取り組みに対して、仮想通貨コミュニティや業界の有識者は好意的な反応を示しています。Twitter(ツイッター)上では、各種報道が著名人によって拡散されて話題となっています。

例えば、ジャーナリストやキャスターとして活動する堀潤氏は、関連する報道記事を共有しています。加えて、自民党の衆議院議員であるあべ俊子氏も、「メタバース工学部の可能性を期待しています」とのコメントを添えてツイートしています。

また、Yahooニュースでは、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が「正式な教育機関・学部でないにしろ、東大がメタバース工学部を設置したことはターニングポイントとなるでしょう」とコメントしています。

その他、教育コンサルタントとして活動する寺裏誠司氏は、「東京大学が以前より取り組みを進めているメタバースでの新たなチャレンジは、国内のメタバースを活用した教育改革をけん引する起爆剤になる取り組みだ」との見解を示しています。

国内仮想通貨市場に追い風となるか

日本は、ゲームや漫画、アニメ、映画など、豊富なコンテンツを産んできました。従って、エンターテイメント系のメタバースでは、日本が世界をリードする存在になり得ます。しかし、仮想通貨市場におけるメタバース競争では、後手に回っている印象があります。

仮想通貨市場において、日本発のメタバース関連プロジェクトがないわけではありません。例えば、Shinwa Wise Holdings株式会社の江戸バース(Edoverse)などがあります。しかし、国産のプロジェクトは少数です。

江戸バース

画像引用:江戸バース

point 江戸バースとは

江戸バースは、メタバース内に江戸の街を再現するプロジェクトです。日本文化や芸術への理解を促しながら、ユーザーにゲームを楽しんでもらうことを目的としています。

その理由として、仮想通貨税制が他国と比べて不利なことや、人材が足りないことなどが挙げられます。このような状況から、企業はシンガポールやその他の国でプロジェクトを立ち上げる傾向があります。

東京大学のメタバース工学部は、メタバースに特化した人材を育成するわけではありません。それでも、情報学や工学の人材がメタバースを理解することは、技術者を必要としている仮想通貨市場にとっても追い風となる可能性があります。

他大学や研究機関に波及する可能性

教育分野でのメタバース活用は、東京大学が初めてではありません。中には、学生向けのワークショップをメタバース内で行う大学も出てきています。

それでも、国立大学トップの東京大学がメタバース工学部を立ち上げたことは、教育に大きな可能性をもたらすことになるでしょう。東京大学に続いて、その他の大学や研究機関にメタバースの流れが波及する可能性もあります。

メタバースが徐々に広がっており、これがどのような変化をもたらすのか、楽しみなところです。


Date

作成日

2022.07.26

Update

最終更新

2023.08.06

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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