Select Language

バヌアツ、デジタル資産関連の新たな規制枠組みを導入

バヌアツ、デジタル資産関連の新たな規制枠組みを導入

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.04.20 12:28
バヌアツ、デジタル資産関連の新たな規制枠組みを導入

update 2022.04.20 12:28

バヌアツの金融ライセンスで各種デジタル資産関連サービスの提供が可能に

バヌアツは、金融ディーラーライセンス(Financial Dealers Licensing)【以下、FDLと称す】法を改正し、デジタル資産関連の新たな規制枠組みを導入した。[1]

改正されたFDL法は、2021年7月22日に告示された。その中で、デジタル資産は権利や価値を表すと共に、ブロックチェーンなどの分散台帳技術(Distributed Ledger Technology, DLT)を基にして電子的に保存する無形の資産であると定義づけている。また、バヌアツ金融サービス委員会(Vanuatu Financial Services Commission, VFSC)が付与するFDLを保有する国内外の事業者は、デジタル資産関連の投資サービス提供やセカンダリーマーケット(流通市場)での取引、保管などを行えるようになった。デジタル資産は、仮想通貨(暗号資産)を含め、全ての投資商品やデリバティブに対応して用いることができるという。ライセンシー12社が加盟する自主規制機関であるバヌアツ金融市場協会(Financial Markets Association of Vanuatu, FMAV)の会長を務めるマーティン・セイント・ヒレアー氏は、デジタル資産関連の取引需要の爆発的な拡大に対応すべく、適切な規制フレームワークを待ち望んでいたバヌアツの金融ディーラーにとって、FDL法の改正は吉報であると言及している。

また、今回の法改正では金融犯罪に立ち向かうために投資家保護も強化されている。2019年にバヌアツはリテールブローカー向け新規制策を導入しているが、FDL法の下でデジタル資産を取引する企業の経営者は、1年の内で最低6ヶ月以上は同国に滞在するか、金融ライセンスを保有する経営者を雇い入れることが求められている。また、国内外の金融ディーラーはバヌアツで事務所を設立する必要があるという。ヒレアー氏は、FDL法の改正を通じ、金融市場での新たな成長機会の獲得と徹底した消費者保護という2つのポジティブな対策が講じられている他、金融犯罪に対してゼロ寛容な姿勢をとることでサステナブルな成長を期待できると言及している。

バヌアツは、仮想通貨を始めとするデジタル資産関連の規制スキーム整備及びサポート体制の構築を着実に進めている状況だ。今回のFDL法改正に関しては、分散台帳タスクフォース(Distributed Ledger Task Force, DLTF)とバヌアツ準備銀行(Reserve Bank of Vanuatu)【以下、RBVと称す】、バヌアツ商工会議所(Vanuatu Chamber of Commerce and Industry, VCCI)、バヌアツ金融情報部門(Vanuatu Financial Intelligence Unit, VFIU)などが協働したという。また、これらの組織はデジタル資産業界の更なる発展をサポートする新たな法律の作成に取り組んでおり、2021年後半に公表する見通しとなっている。加えて、2020年には非政府組織(Non-Governmental Organization, NGO)のOxfamが、サイクロン「ハロルド(Harold)」の影響を受けたバヌアツ住民を対象に、必需品の購入に利用できるデジタルトークンを付与するUnBlocked Cashプロジェクトを実施した。ブロックチェーンを基にしたデジタル通貨のベネフィットや安全性を示した同プロジェクトは、これまでデジタル資産を違法と見なしていたRBVよりサポートを受けている。

バヌアツはFDL法を改正してデジタル資産関連の新たな規制枠組みを導入することで、デジタル市場の更なる発展に繋がることに今後も期待したい。

release date 2021.08.02

出典元:

  1. Financial Markets Association of Vanuatu

    https://fma.vu/wp-content/uploads/2021/07/FDL-amendment.pdf

ニュースコメント

comment

信頼性を高めるバヌアツの金融ライセンス


バヌアツ当局が健全な金融市場の形成を図るべく、2019年の規制強化に続き、今回新たにデジタル資産関連の規制枠組みを導入したことで、オフショアライセンスの中でも同国の金融ライセンスの信頼性が高まっていると言える。このような中、2021年7月時点で、バヌアツのFDLを取得する企業は125社に上る。有力海外FXブローカーの中では、最狭水準のスプレッドと高い約定力を提供するTitan FX(タイタン FX)や、ベストFXブローカー賞を受賞したFBSグループ傘下にて、日本居住者向けにサービスを提供するMitsui Markets Ltd.などがVFSCの規制下にある。Titan FXに関しては、FMAVにも加盟している他、バヌアツのコミュニティとの共生に向け、バヌアツパラリンピック委員会(VPC)に寄付するなど、企業の社会的責任(CSR)活動にも積極的だ。Titan FXの仮想通貨関連の取り組みに目を転じると、直近でTitan FXは6種類の仮想通貨CFDを追加するなど、仮想通貨関連の商品ラインナップを拡充しており、相対的に優れたトレーディング環境を構築している。一方、FBS(エフビーエス)は現状、仮想通貨取引サービスを提供していない状況だ。バヌアツの仮想通貨規制スキームの整備が進む中、FDLを取得するこれらの海外FXブローカーが、更なる顧客基盤の拡大に向けて如何なるソリューションを打ち出すか今後も注目したい。


Date

作成日

2021.08.02

Update

最終更新

2022.04.20

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingが年末トレード大会を開催!ランク外でも賞金獲得のチャンスあり

Vantage Tradingが、年末恒例となる大型トレード大会「年末ミリオンジャンボ2025」の開催を発表しました。今回のイベントでは副賞も用意されているので、ランク外でも賞金獲得のチャンスがあります。この記事では、参戦を検討しているユーザー向けに、各種条件やルールを説明します。
update2025.11.28 19:00

Bitgetが代替手段に?Bybitが日本撤退で日本ユーザーの新規登録禁止

Bybitが日本ユーザーの新規登録停止を発表しました。Bybitの代替取引所としてはBitgetが挙げられ、Bybitと遜色ないサービスを利用できます。本記事では、Bitgetの特徴や海外取引所への規制動向などを解説します。
update2025.11.25 19:00

Money Charger(マネチャ)情報流出で問われるキャッシュバックサイトの運営体制と安全性

Money Chargerは2025年10月25日、ユーザーの個人情報が外部に流出したことを公表しました。キャッシュバックサイトはうまく活用すれば取引コストを抑えられる一方で、個人情報を扱う性質上、安全管理体制が極めて重要です。本記事では、安全性や透明性の観点から主要なキャッシュバックサイトを比較します。
update2025.11.17 19:00

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

豪華なのに難しい?XMTradingが開催中のクリスマス入金ボーナスプロモーションは「アリ」なのか?

XMTradingで最大$25,000を獲得できる入金ボーナスキャンペーンが開催され注目を集めています。一見すると豪華なキャンペーンにみえますが、一般的な入金ボーナスとは条件が異なり、一部では条件が厳しいとの声もあります。本記事では、参加する価値のあるイベントなのかを説明します。
update2025.11.26 19:00

Exnessの乗り換え先としてXSはアリ?スペックを比較

取引環境の良さから玄人にも人気のExnessですが、最近は出金トラブルなどが発生しており、今後の取引環境に不安を抱くユーザーも増えています。本記事では、有力な乗り換え先であるXS.comと取引環境・条件を比較し、乗り換え先として相応しいかどうかを検討します。
update2025.11.20 19:00

Funded7で出金が認められない事例が増加?ルールの不透明さが原因か

Funded7で出金拒否に関する投稿がSNS上で増加しており、利用者の間で不安が広がっています。「利益が取り消された」「短時間取引が理由で無効になった」などの報告が投稿されています。当記事では出金拒否の原因を整理し、他のプロップファームとFunded7のルールを比較します。
update2025.11.21 19:00

Vantage Tradingが入出金額の上限を変更、100万円以上の出金は自動分割

海外FX業者のVantage Tradingが、銀行振込の入出金額の上限を変更しました。今後は銀行振込で一度に出金できる額が100万円に制限されます。本記事では、変更された条件や高額送金時の注意点などを説明します。
update2025.11.11 19:00

Bybit P2P利用で銀行口座凍結・詐欺容疑者に?海外FXユーザーが知るべき巻き込まれリスクとは

Bybit P2Pを利用したユーザーが銀行口座凍結されたことに加え、詐欺容疑者として取り調べを受けたというSNS投稿が話題になっています。本記事では、話題となった投稿の内容や、海外FXユーザーがP2P取引の利用を避けるべき理由などを解説します。
update2025.11.12 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30
promotion promotion

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル
close
promotion
今すぐ参加する

次回から表示しない