作成日
:2021.03.30
2022.04.20 12:27
日本の三井住友信託銀行株式会社(本社:東京都千代田区丸の内一丁目4番1号
)【以下、三井住友信託と称す】が、国内初となるセキュリティトークン発行を計画していることが明らかになった。報道によると、三井住友信託はクレジットカード債権の資産担保証券(Asset Backed Securities, ABS)に裏付けされたセキュリティトークンを発行および販売することを計画しているという。三井住友信託は格付投資情報センター(R&I)から最上位の短期格付けを取得し、このセキュリティトークンを特定投資家や個人投資家に販売することを視野に入れているようだ。
これまで、通常の証券化商品の販売は流動性の低さから大口顧客に限定されてきた。しかしながらブロックチェーンを用いてトークン化すれば、小規模な債権をまとめて所有権を分割することが容易になり、小口取引にも対応可能になるという。また、セキュリティトークンは従来の証券と比較して管理する手間を省くことができるとの利点も持ち合わせている。
競合他社の三菱UFJフィナンシャル・グループもブロックチェーンの実用化を推し進めており、MUFGは分散型決済ネットワークを2021年中に立ち上げる予定だという。これに対して三井住友フィナンシャルグループ【以下、三井住友FGと称す】も貿易金融分野におけるエンタープライズブロックチェーンの活用を推進するなど、同技術を用いたソリューション開発に注力しているが、日本の金融業界はどのように変化していくのか、今後もこれら企業の動向を見守っていきたい。
release date 2021.03.30
出典元:
ニュースコメント
セキュリティトークン活用に向けて前進する日本企業
改正資金決済法および改正金融商品取引法でセキュリティトークン関連の規制が明確化されて以降、日本では企業がSTO(セキュリティトークンオファリング)実施に向けて積極的な動きを見せている。例えば、SBI e-Sportsの株式を対象にSBIがSTO実施を計画しており、子会社のSBI証券を通じて社債などのセキュリティトークン取り扱いを開始することを念頭に当局への登録変更を完了させているようだ。その他、SBIと三井住友FGはデジタル証券取引所の大阪デジタルエクスチェンジ(Osaka Digital Exchange, ODX)設立を計画し、セキュリティトークンの活用を推進しているという。シンガポールのDBS銀行が仮想通貨取引プラットフォームを立ち上げてSTOに対応する意向を示すなど、グローバル市場でも大手金融機関が同様の取り組みを進めているが、日本企業はプレゼンスを発揮することができるのか、今後も仮想通貨(暗号資産)市場での展開に注目していきたい。
作成日
:2021.03.30
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
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