作成日
:2021.03.11
2022.04.20 12:27
3月9日、ビットコイン価格(BTC/USD)は5万3,000ドル台に復帰し、史上最高値の5万8,000ドル付近を目指して上昇を開始した。
先月末、ビットコイン価格は過去3週間の最安値を記録するなど低迷していたが、5万ドルラインの支持線を背後に再び上昇に転じている。現在、50日出来高加重移動平均線(Volume-Weighted Moving Average)が上昇傾向にあることから、ビットコイン価格が次なる抵抗線となる5万4,000ドルラインをブレイクアウトして史上最高値を目指すとの期待が高まっているようだ。Crypto Finance AGのPatrick Heusser氏によると、その他テクニカル分析でもポジティブな要素が出揃っており、一目均衡表などもビットコイン価格の上昇を示唆しているという。
ここ数週間、連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)【以下、FRBと称す】が金融引き締めを行なったことを背景に、株式や仮想通貨(暗号資産)市場ではリスクオフの流れが生じて売り優勢の状況が続いていた。しかしながら過去数日間、米国債利回りや米ドルインデックスが上昇しているにもかかわらず、ビットコイン価格は強気な値動きを見せている。これに関してStack FundsのMatthew Dibb氏は、市場の相関関係が徐々に解消されていると述べた。
一方、一部アナリストは債券および米ドルの動きが仮想通貨市場に飛び火する可能性があると警告している。直近では、今月中旬に開催されるFRBの政策会議でジェローム・パウエル議長が米国債利回りに対してどのような見解を示すかに注目が集まっており、場合によっては仮想通貨市場のボラティリティ拡大を招く可能性があるという。このような状況下で、Heusser氏はビットコインの売り注文が積み上がっている事実に触れ、大規模なドローダウンの発生を懸念していると言及した。同氏は4万7,000ドルラインが強力な抵抗線になると主張しており、ビットコイン価格がそれを下回る可能性は低いと予想している。
今年に入ってから、仮想通貨取引サービスを拡充しているロビンフッドが600万人のユーザー獲得に成功するなど、仮想通貨市場へのアクセスが拡大している様子がうかがえる。機関投資家による需要の高まりを受け、ビットコイン価格が6万ドルを突破する可能性も出てきているだけに、今後も同仮想通貨の値動きを見守っていきたい。
release date 2021.03.11
出典元:
ニュースコメント
ビットコインを独占する大口投資家
仮想通貨市場ではビットコインの供給不足が顕著化しており、クジラと呼ばれる大口投資家の影響力が強まっている。暗号取引トラッカーのWhale Alertによると、今月9日に合計5つのウォレットアドレスから10億2,000万ドル相当の1万8,500BTCが移動されたことが確認されるなど、仮想通貨取引所からのビットコイン流出が加速しているという。このような大口投資家の行動はビットコイン価格の上昇にも貢献しているが、同時に流動性リスクを高める結果を招いているようだ。現に先月末にビットコイン価格は1万ドル以上の暴落を記録するなど、安定性を欠いた値動きを見せており、仮想通貨市場に混乱をもたらしている。一部の大口投資家による独占が継続すれば、サトシ・ナカモト(ビットコインの考案者とされる人物)氏が描いたビットコイン普及の夢も遠ざかることになるが、同仮想通貨を取り巻く環境はどのように変化していくのか、今後もその動向に注目していきたい。
作成日
:2021.03.11
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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