Select Language

MAP FinTech、市場濫用規則動向を解説

MAP FinTech、市場濫用規則動向を解説

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.04.20 12:27
MAP FinTech、市場濫用規則動向を解説

update 2022.04.20 12:27

ESMAはスポットFX取引をMARの対象に含めるか否かの決定を先延ばし

英国・ロンドンを拠点とする規制テクノロジープロバイダーのMAP FinTech(本社:34 Lime Street, London, EC3M 7AT, United Kingdom[1])のコンプライアンスディレクターを務めるAlexandros Constantinou氏が、スポットFX取引市場環境を踏まえ、市場濫用規則(Market Abuse Regulation)【以下、MARと称す】に関連した規制動向を解説している。[2]

FXは世界最大規模の市場を形成しており、毎日何十億ユーロもの取引が行われている。しかしながら、FX市場は最も規制が緩く、少数の企業及び個人が大きな影響を及ぼしている状況だ。このような市場環境下において、欧州委員会(European Commission)【以下、ECと称す】は2013年9月、欧州連合の機能に関する条約(Treaty on the Functioning of the European Union)第101条と、EEA協定(European Economic Area Agreement)第53条のカルテル(価格などに関し不正に協定を結ぶこと)及び競争制限的行為の禁止に違反したとして、FX市場で取引を行っていた複数の銀行の調査を開始した。その後の2019年5月、ECは11通貨のスポットFX取引に絡むカルテルに参加した5行に10億ユーロ以上の罰金を科す決断を下している。同委員会の調査によると、これら5行でFX取引を担当していた複数のトレーダーが、2007年12月から2013年1月にかけて、ビジネス向けチャットルーム上で機密情報や取引戦略を共有していたという。ECの競争政策担当委員を務めるMargrethe Vestager氏は、同委員会は金融市場におけるこのような共謀を断じて許しておらず、これら銀行による価格カルテルは、欧州経済及び消費者を犠牲にし、金融市場統合の目的を損なう行為であると言及していた。

2016年7月に導入されたMAR第2条において、その適用範囲が定められているが、スポットFX取引は含まれていない。スポットFX市場規模及び現在生じている問題を踏まえ、ECは欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】に対し、効率的な監督や制裁を行う上で、スポットFX取引もMARの規制対象に含める必要があるか検討するよう求めている。2020年9月23日、ESMAはMARレビューを公表し、欧州に未規制領域があることによって規制上のギャップが生じる可能性を指摘している。その他、透明性の向上や行動規範の遵守、第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive Ⅱ)【以下、MiFIDⅡと称す】と、金融商品市場規則(Markets in Financial Instruments Regulation)【以下、MiFIRと称す】の下における規制レポーティング義務の徹底を促している状況だ。また、MARの適用に関しては、スポットFX取引業者の定義付けや、情報交換面におけるEUと他の規制市場間との調和が求められているという。

ESMAは、スポットFX市場の規模やグローバルな特性、MiFIDⅡやMiFIR改正の必要性を踏まえつつ、MARとグローバル外為行動規範(FX Global Code)【以下、FXGCと称す】間における規制上のギャップを指摘している。グローバルFX市場において適切な慣行に関する一連の原則を示すFXGCに関しては、その効果を検証するためのレビューが行われており、2021年半ばに完了する予定となっている。ESMAはFXGCとの規制上のギャップを考慮し、スポットFX取引をMARの規制対象に含めるか否かの決定を先延ばししているが、引き続き同局の動向を見守りたい。

official release 2021.03.03

ニュースコメント

comment

エンフォースメントの強化を図るグローバル当局


グローバル金融機関による不正行為やサイバーインシデントが相次ぐ中、各国当局がエンフォースメント(法執行)の強化を図っている。例えば、アジア地域の金融ハブとしての地位確立を目指すシンガポールでは、MASがエンフォースメントレポートを公表し、違法行為に対して厳格な措置を講じる姿勢を示している。また、2021年4月より新体制が始動する予定のESMAは財務情報に係る共通エンフォースメントの優先事項を公表し、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響に鑑みた財務報告の透明性確保を要請している。直近では、FCAが投資詐欺被害者に資金を返還するための裁判所命令を取得するなど、エンフォースメント強化に加え、個人投資家保護に向けた取り組みを強化している状況だ。グローバル金融市場で不正行為や投資詐欺が蔓延する中、各国当局が監視の目を強めることで、より健全な市場が形成されることに期待したい。


Date

作成日

2021.03.11

Update

最終更新

2022.04.20

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

bitwallet &Titan FX トレードコンテストを開催!賞金総額最大400万円

海外FX業者のTitan FXが、「bitwallet &Titan FX トレードコンテスト」を開催することを発表しました。コンテストでは専用のデモ口座を使用するため、自己資金をリスクにさらすことなく参加できます。上位入賞者には賞金も贈られます。
update2024.05.02 20:30

仮想通貨SUIのステーキング利率は?やり方やリスクを解説

仮想通貨SUIは、レイヤー1ブロックチェーンSuiのネイティブトークンです。Suiでは、PoSの派生系であるDPoSによりSUIのステーキングが可能です。当記事では、SUIをステーキングする方法やステーキング利率、ステーキングのリスクをご紹介します。
update2024.05.02 20:00

仮想通貨REZの将来性は?イーサリアムのリステーキングプロトコルRenzoについて解説

仮想通貨(暗号資産)REZは、リステーキングプロトコルRenzoのネイティブトークンです。Renzoは、イーサリアム(ETH)のリステーキングを簡単に実行できるプラットフォームとして機能します。
update2024.05.01 20:00

リピート注文その1|最良の取引戦略の1つリピート注文とは

リピート注文(グリッドトレード)は、インディケータに関する知識を必要としないシンプルな手法です。注文を設定した後は、単純なルールに従って行動するだけです。
update2024.04.30 20:30

メタマスク(MetaMask)のエアドロップ確認機能とは?特徴や使い方を解説

分散型ウォレットのメタマスク(MetaMask)に、エアドロップ確認機能が追加されました。これにより、エアドロップの受け取り資格の有無を、メタマスク上で簡単にチェックすることが可能になっています。当記事では、エアドロップ確認機能の特徴や、対応しているブロックチェーン、使い方を解説します。
update2024.04.26 21:00

仮想通貨BBの将来性は?ビットコイン向けリステーキングチェーンBounceBitについて解説

仮想通貨(暗号資産)BBは、レイヤー1ブロックチェーンBounceBitのネイティブトークンです。BounceBitは、ビットコイン(BTC)をリステーキングできるインフラとして機能します。
update2024.04.25 20:00

セービングとステーキングの違いとは?仕組みや利率・やり方を解説

仮想通貨(暗号資産)を運用する代表的なサービスとして「セービング」と「ステーキング」があります。よく似た両者には、どのような違いがあるのでしょうか。当記事では、セービングとステーキングの違いや仕組み、利率、やり方などを解説します。
update2024.04.25 19:30

Zoomexがプレイ金額杯を開催!To The Moonをプレイして総額17万円相当の賞金・特典を獲得

Zoomex(ズーメックス)が、プレイ金額杯の開催を発表しました。To The Moonをプレイしてランキングに入賞すると、総額17万円相当の賞金・特典を獲得できます。キャンペーンは、2024年4月30日午前9時(日本時間)までです。
update2024.04.23 20:00

BigBossが新規ユーザー向けの入金ボーナスを提供!最大1万3,700ドルを付与

海外FX業者のBigBossが入金ボーナスの提供を開始します。今回のボーナスプログラムでは累積入金額によって付与率が変化し、最大1万3,700ドルが付与されます。入金ボーナスの付与条件や対象、注意点などをまとめました。
update2024.04.22 20:30

ThreeTraderが3周年を記念したキャンペーンを開催!

海外FX業者のThreeTraderが、3周年を記念したキャンペーンの第一弾を開催しています。キャンペーン期間中に本人確認審査を完了、または初回入金を行うと合計20ドルのキャッシュバックを受け取れます。
update2024.04.19 21:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル