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国際決済銀行、CBDCのトライアルテストで肯定的な結果を得たと報告

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update 2021.08.31 15:31
国際決済銀行、CBDCのトライアルテストで肯定的な結果を得たと報告

update 2021.08.31 15:31

ホールセール型のCBDCを活用した金融システムの実現可能性を模索

国際決済銀行(Bank for International Settlements)【以下、BISと称す】は、スイス国立銀行(Swiss National Bank)【以下、SNBと称す】およびスイス証券取引所(SIX Swiss Exchange)【以下、SIXと称す】と共同で行った中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】に関するトライアルテストで肯定的な結果が得られたと報告した。[1]

BISおよびSNB、SIXはProject Helvetiaと呼ばれるイニシアチブを立ち上げ、金融機関間の資金決済を目的とする、ホールセール型のCBDCを利用した金融システムのトライアルテストを実施している。今回、Project HelvetiaはCBDCを用いたデジタル資産の決済に加え、分散型台帳技術を基礎としたプラットフォームを、既存の決済システムにリンクすることの実現可能性を検証したという。これに関して、BISはホールセール型のCBDCを利用する潜在的なメリットが存在すると前置きした上で、政策やガバナンス面でいくつかの課題が発見されたと言及している。

また、BISはSNBの銀行間決済ネットワークを始めとする、既存の決済システムを分散型台帳プラットフォームにリンクすることがトランザクションを簡素化し、CBDCを活用するためのハードルを引き下げると主張した。しかしながら、ホールセール型のCBDCを発行するために、中央銀行はその運用やプロセスを大幅に変更する必要に迫られる可能性があるという。これに加え、BISはCBDCを発行する際のリスクとメリットをトレードオフする設計上の選択肢も考慮する必要があると説明している。

ホールセール型のCBDCはトークン化された現金のように機能するため、金融政策などへの影響は限定的なものとなる可能性があるようだ。これに対して、BISはこのCBDCモデルが短期金融市場の細分化を促進することから、その流動性に悪影響をもたらす危険があるとの懸念を示している。Project Helvetiaは、次の段階で勘定系システムとホールセール型のCBDCの統合を視野に入れているようだが、政策的および財政的な影響をよく理解する必要かあると言えるだろう。

今年3月、SIXはSIX Digital Exchange【以下、SDXと称す】と呼ばれるブロックチェーンベースの証券取引所をローンチすると発表した。Project HelvetiaはSDXの立ち上げを補完する役割を担っているようだが、どのような成果につながるのか、今後もこれら金融機関の取り組みに注目していきたい。

release date 2020.12.07

出典元:

ニュースコメント

ECBおよび欧州各国の中央銀行によるCBDC開発が加熱

Facebookが2021年1月にリブラ発行を計画している事実を受け、ここ数か月、世界の中央銀行はCBDC発行に向けて大きく前進しているようだ。特に欧州では、今後2年から4年で欧州中央銀行(European Central Bank)【以下、ECBと称す】がデジタルユーロを稼働すると予想されており、中国のデジタル人民元を追従する形でCBDC開発が加速している。実際に、ECB総裁はデジタルユーロに関するパブリックコメントを募集し、銀行間取引だけでなく、小売業界などでのCBDC利用も視野に入れながら金融システムのあり方を模索しているという。最近ではロシア中銀もCBDC発行に向けて協議を開始するなど、この世界的なCBDCの開発競争に加わっている。クリプトバレーを擁するスイスは仮想通貨市場を牽引してきたが、CBDC開発でどのような動きを見せるのか、今後もその動向に注目していきたい。


Date

作成日

2020.12.07

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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