作成日
:2020.10.19
2021.08.31 15:31
Bloomberg L.P.【以下、ブルームバーグと称す】は、ウェブベースのデータマーケットプレイスであるBloomberg Enterprise Access Point【以下、BEAPと称す】を介して、海運業界のビッグデータ分析サービスを手掛けるMariTrace(本社:Waterhouse Square, 138 Holborn, London EC1N 2SW
)が作成したデータの提供を開始した。MariTraceは、世界中の7,500港を往来する5万隻の商業船舶動向やコモディティ関連データを提供している。同社は衛星や地上レシーバーを介して、世界中の船舶から1時間ごとに160万件のメッセージを受信し、膨大な情報を分析した上で、カスタマイズしたデータセットを作成している。
一方、2018年9月にリリースされたBEAPは、データライセンスを契約する顧客に対し、ブルームバーグとサードパーティーのデータ提供業者が作成した高品質のデータコンテンツを提供している。2020年9月、ブルームバーグは、BEAPを介したオルタナティブデータの提供が拡大していることを明らかにした。同社がBEAPをリリースして以来、オルタナティブデータを提供するサードパーティーのデータ提供業者が3倍に増加しているという。
今回、ブルームバーグがBEAPを介してMariTraceのデータを活用することにより、顧客は障害を削減して業務プロセスへの統合や合理化に繋げられるとのことだ。
両社の協働に際し、MariTraceのマネージングディレクターを務めるThomas Owen氏は以下のようにコメントしている。
我々は数年をかけて業務を刷新してきました。膨大なデータを分析し、データセットから価値ある情報を生み出すには、専門性の高いスキルセットが求められるため、我々は懸命に努力してきました。BEAPを活用することで、我が社は直接お客様に対し、シームレス且つ効果的なデータを提供できるようになります。
Thomas Owen, Managing Director of MariTrace - FinanceFeedsより引用
足元において、ブルームバーグは積極的に顧客基盤の拡大を図っている。例えば、ブルームバーグはマレーシア中央銀行よりFXGOの提供に関する認可を取得した他、INTL英国法人がFXGOを活用することを発表している。そして今回、ブルームバーグはMariTraceが有する船舶やコモディティ関連データを提供することで、更なる顧客満足度の向上が期待できそうだ。
release date 2020.10.19
金融業界においては、AIや機械学習などを活用し、取引データの利活用が進められている。中でもブルームバーグは市場取引データ市場シェアで首位に君臨している。またグローバル経済に不透明感が漂う一方、クロスボーダー投資は活発化しており、財務情報やマクロ経済統計など、伝統的な情報以外のデータを総称したオルタナティブデータへの需要も高まっている。オルタナティブデータを提供するブルームバーグのBEAPは、金属在庫量や医薬品の承認プロセス、消費者行動、駐車場の混在状況、建設認可など、多岐にわたるデータセットへアクセスできる。また同ツールはオープンアーキテクチャ設計のため、クオンツ投資家はそれぞれが利用するプログラミング言語や、データベースソフトへシームレスにデータを取り込むことができるという。他方で、ブルームバーグの競合に当たるリフィニティブ(Refinitiv)が、オルタナティブデータ関連レポートを公表した。世界中でオルタナティブデータの活用が進む中、同社は標準化されたオルタナティブデータエコシステムの構築を要望している。複雑化する市場環境下において、金融サービスプロバイダー各社が顧客ニーズにマッチしたオルタナティブデータ関連ソリューションを提供することに期待したい。
作成日
:2020.10.19
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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