作成日
:2020.09.23
2021.08.31 15:31
米通貨監督庁(Office of the Comptroller of the Currency)【以下、OCCと称す】および米証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】が、法定通貨に価値を裏付けされたステーブルコインに関するガイダンスを発行した。
これまでステーブルコイン発行者は米国内の銀行を利用してサービスを提供してきたが、その規制環境は不透明なままだったという。この曖昧さを排除するためにOCCは、銀行にデューデリジェンスの実施やステーブルコイン発行者のリスク評価を求めているようだ。今回のガイダンスはサードパーティ企業の仮想通貨ウォレットで管理されるステーブルコインに焦点を置いている。また、対象企業の準備金口座を抱える銀行に、銀行秘密保持法(Bank Secrecy Act)およびマネーロンダリング防止(AML)を含む規制に沿ってレビューを行い安全性を確保することを促している。
OCCのBrian Brooks氏は、市中銀行および連邦貯蓄金融機関(Federal Savings Association)が毎日数十億ドル規模に及ぶステーブルコイン関連の活動に携わっていることに触れ、連邦銀行システム内の銀行が安全かつ健全な方法でサービスを提供するための規制が必要だと説明した。特にOCCは米ドルに価値を裏付けされたステーブルコインに関して懸念を示しており、これらの仮想通貨を既存の金融システムに統合することを念頭に、仮想通貨取引所やその他フィンテック企業に憲章を発行する案を検討しているようだ。
一方、SECはステーブルコインが連邦法における証券に該当しない可能性があると述べたものの、ステーブルコイン発行者に対して弁護士や専門家に助言を仰ぐことを推奨している。実際に米国では、ステーブルコインのベーシス(Basis)が証券に該当するとの判断を受け廃止されるなど、法解釈の相違に起因する問題が発生しているという。このような事態を避けるために、SECはフィンテック専門組織のFinHubを立ち上げ、仮想通貨を含む新興テクノロジーに対応する姿勢を見せている。
欧州ではEU主要国がECにステーブルコインへの対策強化を要請するなど、現実的な受け入れ体制が整いつつあるようだが、米国の仮想通貨市場はどのように偏移していくのか、今後もその動向に注目していきたい。
release date 2020.09.23
世界最大の仮想通貨市場を抱える米国はステーブルコイン開発の震源地となっており、様々な企業が新しい製品をローンチしている。既に米国にはテザー(Tether)やCircleのUSDコイン(USD Coin)、ジェミニドル(Gemini Dollar)を始めとする主要なステーブルコインが存在するが、大手資産運用会社のWisdomTreeがステーブルコイン発行を計画するなど、既存金融業界からの市場参入も活発になってきているという。これに加え、Facebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)やそれに対抗するCelo Alliance for Prosperityなどのプロジェクトが立ち上げられており、世界的なステーブルコインの誕生も現実味を帯びてきている状況だ。今回、連邦政府機関がステーブルコインに関するガイダンスを発行したことは、これら企業にとって大きな契機になると考えられるが、今後も米国市場での展開を見守っていきたい。
作成日
:2020.09.23
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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